南スーダン共和国内では、昨年12月に生じた武力衝突により内戦状態に陥り、約130万人が避難生活を余儀なくされています。
ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)は、最大の激戦地の一つであったマラカルを州都とするアッパーナイル州内でも特に、避難先となったファショダ郡コドック村の避難民約2万9千人を対象に水・衛生関連物資を配布しました。本事業は、ジャパン・プラットフォームの助成を受け、2014年2月中旬に開始し6月末に終了しました。
【配布物】
本事業の主な目的は、避難している方々が安全できれいな水を得るための手段を提供することです。そこで、川などの汚れた水を浄化するための物資を配布しました。
まず、1包で10リットルが浄化できる粉末浄水剤を約50万包、浄水に必要となる布そしてバケツなどの貯水容器を各約2,000個配布しました。
川から汲んできた水にこの浄水剤を入れかき混ぜ、バケツに布を張らせろ過をすると、汚染水から微生物や汚物・病原菌・ウィルス・寄生原虫を除去することができます。同時に、石鹸も約4,000個配布しました。
あわせて、1基で約2,000人の生活水を提供する能力をもつ水浄化システムを、川沿いの集落付近に2基設置し、さらに、学校や教会などの施設には、1基10万リットルを浄化することができる簡易浄水フィルターを合計150基提供しました。
【ナイロビから物資調達】
これらの物資は、主にケニア共和国首都ナイロビで調達され、トラックで約4日から1週間程度かけて南スーダン共和国首都ジュバまで輸送します。ジュバからマラカルまでの物資輸送には、基本的に2つの方法があります。国連がとりまとめている輸送便(団体費用負担なし)に他団体物資と一緒に混載してもらうか、団体独自に輸送機を借り上げるかのいずれかです。
マラカルは3月末まで激戦地であり、それまでヒトとモノのアクセスが途絶えていたので、4月には、国連のとりまとめる便のマラカルへの就航本数が限られており、上記2つの方法を組み合わせて輸送していました。マラカルの治安が比較的改善した5月半ばには国連輸送便の就航本数が増え、当事業でも利用回数が増えました。マラカルからは団体のボートで数時間かけてコドックに輸送します。
このような物資調達・輸送プロセスは緊急人道支援の要といえます。このプロセスがいかに迅速かが問われます。物資調達・輸送を担当するスタッフとともに私は日々、物資調達・輸送そして配布の状況を確認し、お預かりした助成金・寄付金が確実にかつ適切に避難している方々の元に届くようにと業務をしています。
避難民の6割は女性と子どもです。現地で物資を受け取っているのも多くが女性です。その一人ひとりと彼らの家族が、川の汚れた水や周囲にある排泄物さえ混じる汚れた水を直接飲む以外の選択肢を一日でも早く得ることができることを目指し、ナイロビージュバーマラカルーコドックの通過を一日でも早く予算内でできるように、各地点のスタッフが連携して調整してきたといえます。
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