【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

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「伝える努力、サボっていませんか?」

「耳が聞こえない私たちからすると、皆さんは言葉に頼りすぎて、伝えようとする努力をサボっているのではないかなぁという気がします」

ハッとさせられた。
この言葉を投げかけたのは、私が先日オンラインで参加していた手話講座の先生だ。

以前から手話を習ってみたいなと思っていた私に、「オンラインでこんな手話講座があるよ」と友人が教えてくれた。4回連続講座。なんと、無料! モニターとしての役割があり、講座を受けた感想や改善点をアンケートで答える必要がある、というものだった。

申込多数の場合は抽選ということで、申込フォームの「受講のきっかけ」欄には思いを込めて入力した(私が申し込んだのは、平日夜の部という、おそらく倍率が一番高そうな枠)。

なぜ手話を学ぶのか?

私が手話を学びたいと思ったきっかけは、ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)の事務所に週1回ボランティアに来てくださっている久保田典江さんの存在だった。

「生まれつき耳が聞こえない私は、たくさんの方に助けてもらって今があります。
これからは恩返しの時期だと思っていろいろ探す中で、ワールド・ビジョンのボランティア募集を見つけました」

2013年からWVJでのボランティアをスタートされていた久保田さんが、フルマラソンを何度も走っているランナーであることは知っていた。でも、「目が見えない障がいを持つランナーの伴走ができるようになりたい」との思いから走り始めたことは、2019年にインタビューをして初めて知った。

2015年に久保田さん(右端)と一緒にハーフマラソンに参加した筆者(左端)

2015年に久保田さん(右端)と一緒にハーフマラソンに参加した筆者(左端)

同じインタビューで、手話が言語として認められるようになったのがごく最近(2017年)だったことも知った。テレビの「手話ニュース」が珍しくなくなり、最近では公的な会見などで手話通訳がつくのも目にするようになっているが、久保田さんや私が子どもの頃は「手話を使うことは良しとされていない時代だった」のだ。知らなかった…と、衝撃を受けた。

筆者が原稿作成したWVJ公式Facebookページの投稿。9月23日が「手話言語の国際デー」と、今年はじめて知った

昨年の秋、東京五輪のボランティア研修が初めて手話通訳付きで開催されたとの新聞記事を見つけた。なんと、その記事に久保田さんのコメントが載っていた。驚いて久保田さんに連絡したところ、長野パラリンピックでもボランティア経験があったことを教えてくれた。

「長野パラリンピックの時、手話通訳はなかったんですが、手話のできる人が多くて救われたんです。そして会話がすごく盛り上がって楽しかったのが周りに伝わって、手話に興味を持った人が増えました。これこそマンパワーと思いました。今回もそうあることを願います」

この返信コメントを見て、パイオニアとしてこの分野で道を切り開いてきた久保田さんへ尊敬の気持ちと、「私も手話ができるようになりたい」という気持ちがムクムクわいてきた。

以来、NHKで「みんなの手話」を見たり、ネットで手話のことを検索したりはしていたものの、ちゃんと基礎から勉強したいなと思っていた。そこで教えてもらった「オンライン手話講座」。まさに、渡りに船だった。

「伝えるキモチを大切に」

オンライン手話講座の初回、講師の方から「伝えるキモチを大切に」と、心構えを教わった。
正しくなくても、表情とメリハリを大切にしてください、と。

日本語は約25万語なのに対し、手話は約1万語。単に手の動きではなく、組み合わせ、表情、手の動かし方でバリエーションをつけて表現する。

講座の途中、講師であるリョージさんとノブさんは、お二人とも耳が聞こえないということを知り、またまた衝撃を受けた。

この手話講座で、参加者はオンライン会議システムを「ミュート(音声オフ)」に設定して参加している。説明を理解しているか、ところどころで講師から「OKですかー?」という呼びかけがされ、身振りと表情で「OKです!」と伝える。コミュニケーションを成立させるためには、発信する側と、受け取る側とで、お互いに分かりやすい伝え方をすることが大切。伝わることは、嬉しくて心地よい。そんな、当たり前のことを、改めて感じていた。

ちょうどそのタイミングで、さらりと言われたのが
「耳が聞こえない私たちからすると、皆さんは言葉に頼りすぎて、伝えようとする努力をサボっているのではないかなぁという気がします」
という言葉だった。

顔が見えない同僚とのリモートでのやりとり

どうすれば「伝わる」ように「伝える」ことができるのか、私にとって課題であり続けてきた(過去ブログ:「伝える」と「伝わる」)。
でも、「言葉に頼りすぎている」という指摘に、ギクリと思い当たるところがあった。

新型コロナウイルス感染症の予防のため、ワールド・ビジョン・ジャパンでは現在も約7割のスタッフが在宅勤務を続けている。在宅で仕事ができることに感謝しつつ、実は同僚とのリモートでのやりとりに疲れを感じることもある。

テキスト(言葉)でのやりとりが中心となる中で、やりとりする相手の顔色を想像することにエネルギーを使いすぎてしまう。私の場合、これが疲れの原因なのではないかと考えている。

「いまちょっとだけコール(ビデオ通話)していい?」

同僚や上司からそう言われて、断ったことも、嫌だなと思ったこともない。
「話せて良かった」と、スッキリした気持ちでコールを終えることがほとんどだ。

なのに、自分から「コールしていい?」と相談することを躊躇してしまう。
相手が迷惑かもしれないから・・・と思っていた。
でも、もしかしたら私は「伝える努力をサボっている」のかもしれない。

言葉で伝えられることも、もちろんたくさんある。
でも、言葉以外のコミュニケーションでも「伝える」努力をすることが、今の私には必要だ。

ワールド・ビジョンは10月から新年度を迎えている。
新しい自分の挑戦として、頑張ってみたい。

手話講座で聞いた一言からの「気づき」を忘れず、これから自分の行動を少しでも変えるため、ブログで宣言してみました。

同僚とのオンライン・ミーティング(上段の左から2番目が筆者)

同僚とのオンライン・ミーティング(上段の左から2番目が筆者)

コミュニケーション課
與十田 喜絵(よそだ よしえ)

 

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この記事を書いた人

WVJ事務局
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世界の子どもたちの健やかな成長を支えるために、東京の事務所では、皆さまからのお問合せに対応するコンタクトセンター、総務、経理、マーケティング、広報など、様々な仕事を担当するスタッフが働いています。
NGOの仕事の裏側って?やりがいはどんなところにあるの?嬉しいことは?大変なことは?スタッフのつぶやきを通してお伝えしていきます。
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