ブログが書けない。
2カ月前にブログ担当の同僚に依頼を受けてから、何を書こうかずっと考えているのに、びっくりするくらいアイディアが浮かばない。
これまでブログは何度も書いていて、毎回時間はかかるものの、「これを書きたい!」と思うネタは浮かんできたのに。そうこうしているうちに締切を過ぎてしまった。心優しき同僚はまったく急かさないし怒らないが、編集者を待たせている作家もしくは漫画家の気分(大げさ)。
どうしてこんなに筆が進まないのだろう、と考えてみると、「できれば『新しい』や『変化』をテーマに書いてみて」と依頼を受けたことが、自分にとってハードルになっているのかも知れない、と思った。
新型コロナウイルス(以下コロナ)によって、世界が大きく変化している2020年。私たちの日常生活でも、「新しい」や「変化」を意味する言葉がひんぱんに登場するようになった。新しい生活様式、新しい働き方、ニューノーマル、ポストコロナ、etc…。メディアでは、コロナをきっかけに様々な変化を決断した企業や個人のストーリーが紹介されている。ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)も、たくさんのチャレンジと変化を経験している最中だ(詳しくは事務局長のブログをご覧ください)。
いっぽう私は昔から、世の中の情報や動向に対するアンテナが低い。時代はもう5Gだけど、私のアンテナはたぶん3Gくらい。関心のあることにじっくり長く取り組むのは好きだけど、先を読んだり、フットワーク軽く動くことはなかなかできない。そんな自分なので、今年に入ってからの「新しい」と「変化」の千本ノックに、いつのまにか息切れしていたのかも知れない。
心の体幹を鍛える
そんなことを考えていると、ふと思い出した言葉があった。WVJも参加した、今年9月に開催された「遺贈寄付ウィーク2020」で、あるNGOの方が言っていた言葉だ。その方は自団体での経験をふまえ、遺贈を受ける団体にとって大切なこととして、「寄付者が何を求めているのかを感じとる感性と、寄付者の希望に応えられる組織の準備」とおっしゃった。とても心に残り、思わず手帳にメモしていた。
「組織の準備」には、社会の情勢やニーズを読み、スピード感をもって変化をしていくことが必要だ。でもその変化で、寄付者や支援を届ける子どもたちが置いてけぼりになってしまったら、本末転倒。だからこそ、「寄付者(と受益者)のニーズを感じとる感性」との両輪が大切なのだと思う。
じゃあ、感性ってどうやって育つものなのだろう。人によっていろいろな考え方があると思うが、私にとっては、あえてすぐには答えを出さない、もしくは、答えを出せないような経験をすることが必要なように思える。試行錯誤しながら、モノゴトや関係がどう変化していくか見つめることで、少しずつ、時間をかけて育った感性というか、鍛えられた心の体幹みたいなものが、見落としてしまいがちな小さな変化を見つけて、必要な変化を起こす助けになるような気がしている。
新しい気づき
コロナが本格化した3月以降のことを考えてみると、新しい気づきや再発見もあった。よく行くコンビニの店員さんの笑顔や、自宅近くにあった公園、ラジオのおもしろさ。人と会って話せることの楽しさや、ご支援者とお話しをしていて、こちらを気遣っていただいたときのありがたさ。一つひとつは小さなことかも知れないが、それなりの不自由さや緊張を経験しているなかで、こういった気づきを得られたことが嬉しかった。
「止まない雨はない」じゃないけれど、いまの状況はずっとは続かない。なかなかすぐには、分かりやすく新しくなれない自分だけど、いまの経験や試行錯誤が、その先に進んで行くために必要な成長を与えてくれるものだと信じて、歩んで行きたいと思う。
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この記事を書いた人
- 恵泉女学園大学卒業後、2006年7月にワールド・ビジョン・ジャパン入団。国内でのファンドレイジング、広報を担当した後、2013年4月より支援事業部スポンサーシップ事業課に所属。南アジア諸国での支援事業の監理を担当。2018年4月よりマーケティング第1部に所属。
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