【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

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世界のクリスマス(3)~ネパール:誰かを想うクリスマス~

ネパールは国民の多くがヒンドゥ教徒で、文化としてクリスマスを祝う風習はありません。
ただ、国としてはそれぞれの民族や宗教を尊重しその記念日は祝日になるので、クリスマスもその一つとして祭日になっています。

事業地の子どもたちと

事業地の子どもたちと筆者

ワールド・ビジョンが事業を実施しているようなネパール僻地では「クリスマス」という言葉さえ聞いたことがない人々が大半ですが、元来お祭り好きな人々なので、ここ数年、都会では若者の間でお祭りの一つとして盛り上がりを見せているようです。それでも、多くの人々にとってはクリスマスは「祝う」というより「楽しむ」もののようです。

ネパールの女の子たち

ネパールの女の子たち

そんな中、先日、ネパールで学校に通う息子(6歳)が、学校から赤い大きなバッグを持って帰ってきました。その学校では経済的に余裕のない家庭の子どもたちが多く通う同じ地域の学校と交流しており、そのバッグはクリスマスのこの機会に「素敵なもの」を入れてその学校の子どもたちに贈るというコンセプトです。息子のバッグに貼られていたシールには女の子用とあり、贈り物には「例えば」として新しいもの、おもちゃやアクセサリー、もし購入するなら500円以下のものなど若干の指定が書かれていました。

息子は、あれこれ考えた末、新しいペンギンのぬいぐるみをあげることに決めたようでした。その翌朝、学校にそのバッグを持って行こうと持ち上げるとバッグの中にはあれこれいろいろなものが!開けてみると、ぬいぐるみの他に裏紙で折った船(水に浮かべて遊んだらしく濡れていて重たい)や、しぼんだ風船が貼られた厚紙など、彼の作品がいっぱい。

新しくないし、裏紙だし、これはもらっても嬉しくないよ、これは置いていった方がいいよと諭すと、そうじゃないんだとうまく言葉にならず、挙句の果てに泣き出す始末。結局、その日はバッグを学校に持っていくのはやめることになりました。

その晩、いろいろ話し合いました。
友だちのお兄さんと一緒にその船をつくって水に浮かべて遊んだのが楽しかったこと、受け取る女の子がどんな子か分からないけど風船もらったとき自分がすごく嬉しかったから、おんなじように嬉しくなるんじゃないかなと思ったことなど。

結局、あれこれ絵やメッセージを描いた雪だるまのクリスマスカードを作り、ペンギンのぬいぐるみとともに赤いバッグに収められ、翌日学校へ旅立っていきました。今頃、どんな女の子がそれを手にして、どんな気持ちでいるのでしょうか。

準備したカード

準備した雪だるまのカード

息子にとってそれらのガラクタは彼の元にやってきた過程(想い出)とともにとても大事なもので、誰にとどくか分からないその贈り物を一生懸命考えたんだろうなと思います。そんな気持ちを親の常識でつぶしてしまいそうになったことをとても申し訳なく思いました。

ネパールにも他の国と同様にいろいろなレベルでの不平等があり、私たちの活動は少しでもその差がなくなることを目指しています。神様からの贈り物がみなに届けられたことを祝うこのクリスマスに、あらためて皆が等しくかけがえのない存在であること、愛されるべき大切な存在であることを確認すると同時に、周りの人を大事に想う気持ち、かけがえのない存在として愛すること、そんな気持ちが、私も含め多くの人々の中により一層育まれていくときとなるといいなと願っています。

ネパールの女性たち

ネパールの女性たち

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この記事を書いた人

加藤 奈保美ネパール駐在 シニア・プログラム・コーディネーター
神奈川県生まれ。早稲田大学・同大学院理工学研究科にて、アジアの建築史について学ぶ。在学中に阪神淡路大震災でボランティアを経験したことから、防災や被災地支援がライフワークに。卒業後は建設コンサルタント会社に勤務。自然災害を中心とした国内外のインフラ事業に従事する。2008年6月、ワールド・ビジョン・ジャパンに入団。サイクロン後のミャンマー、大地震後のハイチで復興支援に取り組む。東日本大震災後は、一関事務所の責任者として岩手県に駐在した。2014年4月から、アフリカのスポンサーシップ事業を担当後、支援事業部 開発事業第2課に所属。2017年1月から2019年12月までネパール駐在。2020年1月退団。2024年4月、ワールド・ビジョン・ジャパンに再入団。ネパール駐在。
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