【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

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『喉かわいたね』が招いた愛~NGOスタッフの記憶に残る「ギフト」(2)~ある難民からのプレゼント~

先日、ウガンダのビディビディ難民居住地に出張へ行ったとき、1人の青年に出会いました。
彼は、今年の2月に紛争の続く南スーダンから逃れて来て、現在ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)の運営しているピースクラブ(Peace Club)に所属しています。

Peace Clubの活動の様子

ピースクラブの活動の様子

その日、私たちは、ウガンダの大統領夫人が私たちの運営しているチャイルド・フレンドリー・スペースを視察訪問するということで、朝8時からチャイルド・フレンドリー・スペースにて夫人の歓迎準備をしていました。
ピースクラブのメンバーは、夫人に披露する歌や踊りの練習をしていました。
子どもたちもたくさん集まり、スポーツをしたり、遊具や泥粘土で遊んだりしながら今か今かと夫人を待ち続けました。

チャイルド・フレンドリー・スペースの遊具に乗り、笑顔を見せる子ども

チャイルド・フレンドリー・スペースの遊具に乗り、笑顔を見せる子ども

大統領夫人の訪問ということで、具体的な訪問時間は誰にも知らされておらず、貴重品以外の物を持ち込むこともできず、25度を上回る炎天下の中、食べ物も飲み物もない中で、ひたすら夫人を待ち続けました。

午前11時、大統領夫人はまだ来ません。

午後12時、大統領夫人が来るという噂だけが流れました。

午後1時、まだまだ大統領夫人の姿は見られませんでした。

ビディビディ難民居住地の子どもたちと筆者

ビディビディ難民居住地の子どもたちと筆者

気がつけば、あふれていた活気は薄れ、疲労感が現れはじめました。
歓迎準備を終えた私は、1人のピースクラブの青年と話をしていました。

南スーダンのこと、彼がどうやってウガンダへ来たのか、将来のこと、日本のこと・・・

一通り話をして、話題がなくなった頃、私は「のどが渇いたね」とこぼしました。

その時、現地スタッフたちは、チャイルド・フレンドリー・スペース内に蓄えていたわずかなジュースとお菓子を子どもたちに配り始めました。
するとピースクラブの青年が立ち上がり、「ちょっと待っていてね」と言って、どこかへ行ってしまいました。
しばらくすると、彼は現地スタッフの配っていたジュースを1本持って私のところへ戻ってきました。

「これは君のだよ」と言って、彼のジュースを私に譲ってくれました。

私は、「これは受け取れないよ。これは私たちがあなたたちのために用意したものだから」と言って断るも、彼は「君はさっき喉が渇いたと言っていたでしょう。僕は喉が乾いていないからあげるよ」と言って、ジュースを私の足元に置いて、友だちのところへ行ってしまいました。

飲みたいときに水を飲めない環境下で、今出会ったばかりの私に貴重な飲み物を迷うことなく譲る彼の優しさはどこから来るのでしょうか。

彼は、母国で、そして今暮らしているこの場所で、過酷な生活を送ってきました。
だからこそ、彼は誰よりも、他人の苦しみを理解できるのだと思います。

人は、他人の苦しみや悲しみを分かち合えた時、他人に優しくなれるのだと改めて気づかされました。

その日、結局大統領夫人が来たのは午後2時過ぎでした。

そのため、私は一口だけジュースをいただいて、彼にお礼を言って、ジュースを返しました。私たちは、「またね」と言ってお別れをしました。
私は、心優しい彼らと、嬉しいことや楽しいことも分かち合っていきたいな、と思いました。

ビディビディ難民居住地の住民によって草花で作成された「LOVE」の文字と作成者

ビディビディ難民居住地の住民によって草花で作成された「LOVE」の文字と作成者

紛争で難民となった子どもたちを、日本から支援する方法があります

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避難生活が長期化する子どもたちの未来をつくるために。
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この記事を書いた人

岡田 航ウガンダ駐在 プロジェクト・コーディネーター
大学在学時に1年間休学し、タイのミャンマー難民キャンプでインターンを経験。大学卒業後、サセックス大学大学院(イギリス)で教育開発を専攻。平和構築と教育、難民教育を中心に学ぶ。国際機関でのインターンを経て、2017年4月にワールド・ビジョン・ジャパン入団。2019年3月末よりウガンダ駐在。2020年3月退団。
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