【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

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NGOスタッフの記憶に残る「ギフト」(1)~小さくても豊かな贈り物~

私がワールド・ビジョン・ジャパンに入団したての頃の出来事ですから、もう25年以上前になりますが今でも心に残っている出来事があります。

それは、バングラデシュの地方の小さな飛行場での出来事です。
私は乗る飛行機の到着時間が遅れたために、することがなく、飛行場の周りを歩いてみることにしました。
飛行場のすぐ前には幹線道路があり、トラックや自動車が埃(ほこり)をまき散らしながら、ひっきりなしに走っていました。その幹線道路のすぐわきに、小さな茅葺(かやぶき)の小屋が建っていました。道端の小屋ですから、水道も電気もトイレもないような小さな小屋です。

バングラデシュの地方の小さな茅葺の小屋

バングラデシュの地方の小さな茅葺の小屋

その小屋の方から何やら子どもたちの声がします。私はその子どもたちの声に呼ばれているような気がして、そちらに向かって歩いて見ることにしました。
近づいてみると、兄弟らしき5~6歳と思える2人の子どもが楽しそうに話しています。
しばらくすると、お兄さんは道から離れ、林の中に向かって歩いて行きました。妹らしき少女は小屋の奥に入ったかと思うと、小さな女の赤ちゃんを抱きながら出てきました。そして、小屋のわきに置いてある桶から水を取り出し、赤ちゃんを洗い始めたのです。

しばらくするとお兄ちゃんが煮炊き用に集めたと思える小さな枝をたくさん背中に担いで戻ってきました。そしてその枝を小屋の中に入れると、すぐに妹を手伝い、赤ちゃんの体をふき始めました。

私は何とも麗しい子どもたちの様子を見ていて心に笑顔が湧いてきて、ニコニコ気分になり、言葉は通じないけど話したいな、と思ったのです。
そこで、子どもたちの所に近づいて行き、あらんばかりの笑顔を作って「かわいい赤ちゃんだね。君たちの妹? 妹の世話をしたり、家事を手伝ったりして偉いね!」と話しかけました。子どもたちは私が何を言っているのかは分からないので初めはきょとん、とした顔をしていましたが、私の笑顔の効力か、笑顔を返して来たのです。

「よし!」と思った私はポケットの中にあった、少しばかりのキャンディーやチョコレートを出して、あげようとしました。
ほんのお近づきのしるし、小さなプレゼントのつもりです。子どもたちはニコニコしてその小さな贈り物を受け取ってくれました。

私はチョコレートの包みを開けて食べるしぐさをして、「どうぞ食べて。甘いよ」と言ったのです。するとどうでしょう、子どもたちはそれを食べるのではなくて、手に持ったまま小屋の中に入ってしまったのです。
「ああ、人前で食べるのは恥ずかしいので小屋に中に入ったんだ」
それもかわいいな、と思ったのです。

ブログ内容とは直接関係は無いが、当時のバングラデシュの家族写真

バングラデシュの家族と(ブログの内容とは直接関係ありません)

でも少しすると、子どもたちがニコニコしながら小屋から出てきました。なんと子どもたちの後から、お母さんとおばあちゃんもニコニコしながら出てきたのです。
そして、おばあちゃんの手にはキャンディーとチョコレートがあります。

子どもたちはもらったプレゼントを自分たちで食べるのではなく、お母さんとおばあちゃんに分かち合ったのです。

その後、みんなでキャンディーとチョコレート、それに日本から持って行ったお煎餅も出して、みんなで分け合って頂きました。その何と美味しかったことか。

自分のために用意されたプレゼントをもらうのは嬉しいけれど、それを他の人と分かち合うことができれば、その喜びは更に大きく豊かになることをこの子どもたちから教えられました。たとえそれがどんなに小さなプレゼントでもです。

クリスマスはプレゼントを贈ったり、受け取ったりする時期です。
日頃いろいろなものを受けている私たちが、その受けている感謝や喜びを他の人にも与え、分かち合うことができれば、私たち自身も更に豊かにされるのではないでしょうか。
途上国の子どもたちのチャイルド・スポンサーになるのは、プレゼントを贈る一つの形になると思います。

当時:バングラデシュのチャイルドと

バングラデシュの子どもと(ブログの内容とは直接関係ありません)

当時:バングラデシュの子ども(男の子)たちと

バングラデシュの子ども(男の子)たちと(ブログの内容とは直接関係ありません)

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この記事を書いた人

片山信彦 理事長ワールド・ビジョン・ジャパン理事長
大学卒業後、三井住友海上火災保険株式会社(旧大正海上火災)入社。1982年同社を退職し、キリスト者学生会(KGK)の関東地区主事となる。海外との文化交流事業、日本人学生の海外派遣事業、在日留学生の支援事業等も行う。フィリピンにおける2カ月間の研修および中国、タイ、インド、インドネシア等の視察を行う。
1992年同会を退会し、特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン入団、2000年から2017年まで事務局長。2017年4月から常務執行役員、常務理事などを歴任。2023年10月より現職。
その他の役職: 社会福祉法人キングス・ガーデン東京 理事長
公益財団法人国際開発救援財団 理事
福音主義医療関係者協議会 顧問
1999年イギリス マンチェスター大学大学院IDPMにて「社会開発」と「NGOマネージメント」を学ぶ。
2020年 立教大学大学院キリスト教学研究科修了(神学修士)
共著:「連続講義 国際協力NGO」(日本評論社)、「国際NGO が世界を変える」(東信堂)
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