「この手紙は本当にチャイルドが書いたのですか?達筆すぎて、大人が書いたのに違いないから、確認してほしい」 チャイルド・スポンサーから、少々お怒りのご様子でお問い合わせがありました。 手紙のベトナム語は、確かに美しく流れるように書かれていました。チャイルドが幼くて書けない場合など手紙が代筆の場合は、代筆者が明記されますが、その手紙には代筆者の名前がありませんでした。 現地に問い合わせたところ、確かにチャイルドが書いた手紙とのこと。お問い合わせくださった方に現地からの回答を伝えると、驚きながらもチャイルドの成長を喜んでくださいました。
ベトナムからの手紙は、現地語のベトナム語とその英訳の両方が届くのが通常です。文字を書けない場合はチャイルドが描いた絵も届きます。昨年ベトナムでは「手紙コンテスト」が行なわれ、子どもたちが手紙の書き方や、丁寧に手紙を書くことを学ぶ機会となりました。ベトナム語の手紙の多くは美しい筆跡で書かれており、ベトナム語を読めない私の目も楽しませてくれます。
日本の皆さまにご支援いただいているチャイルドは、22カ国50地域。独自の文化・歴史が私たちと同じようにあり、それぞれの環境の中で成長している子どもたちがいます。 たとえば、ベトナムのお隣の国のラオス。ベトナムとラオスは、よく似た国のようにイメージしてしまいますが、チャイルドからの手紙は大きく違います。 ラオスの支援地域の子どもたちの多くは、文字を持たない言語を母語とする少数民族です。そのため、小学校に入って国語のラオ語を学んで初めて「文字を書く」という経験をする子どもたちも少なくありません。中には、チャイルド・スポンサーに書く手紙が、初めてラオ語を書く機会ということもあるほどです。こうした背景を知ると、短い文章にもチャイルドが頑張って文字を書く様子が見えてくるようで、ベトナム語の流暢な手紙とは別の感動を覚えます。
インドのチャイルドは、「日本のチャイルド・スポンサーが送ってくれるものは、何でも嬉しくて、紙のにおいまで嗅ぐ」そうです。支援地域に暮らすチャイルドにとって、海外に住むスポンサーからの手紙がどれほど大きな喜びかと思います。 最後に、かつてチャイルドとして支援を受けていたベトナムのタンさんの手紙を紹介させてください。今は外科医として活躍しているタンさんが、「チャイルド・スポンサーに支援のお礼を言いたい」と2012年に来日しました。
チャイルド・スポンサーと感動的な対面の様子をご紹介したイベントを開催したので、ご記憶の方もいらっしゃるかもしれません(イベントの様子はこちら)。タンさんは、15年前のスポンサーからの手紙を大切に保管しており、チャイルド・スポンサーの手紙に励まされ、一生懸命に勉強することを決心したことを語ってくださいました。
ITが発達して世界が目まぐるしい速さで動いていく一方、ゆっくりあるがままを大切にする「スローライフ」という言葉が聞かれるようになって久しいですが、チャイルドからの紙の手紙もまさに「スローライフ」の1つだと思います。スマートフォンからメッセージを送って返事がすぐに来ないと不安になるような昨今ですが、チャイルドからの手紙は返事を受取るまで4~5カ月以上かかることもあります。日本から遠く離れた地域に住むチャイルドが時間をかけて書き、英訳され、海を越えて運ばれてくる紙の手紙。 目には見えない大切なものを、私たちの心に届けてくれているように思えます。
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【関連ページ】
・チャイルド・スポンサーとは
・ベトナム:国情報
・エチオピア:国情報
・エクアドル:国情報
・ケニア:国情報
・インド:国情報
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