【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

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スポンサーシップ・ボランティアのお仕事

数年前の話になってしまいますが、ベトナムのスポンサーシップ・ボランティア研修に参加した時のことをシェアしたいと思います。

スポンサーシップ・ボランティアとは、

チャイルド・スポンサーさんからのお手紙をチャイルドに渡し、その返信を回収し、チャイルドの健康状態や学校の出席状況を定期的に確認し、ワールド・ビジョンが催すイベントへの参加を促す重要な役割を果たしている人たちです。また地域住民にチャイルド・スポンサーシップ事業について理解してもらうために説明を行なうことも大切な任務としています。

ベトナムでは、地域住民から選ばれた青年たちや小学校の先生、20代前半の若いお母さんやお父さんがボランティアを務めています。

みんな「子どもと関わるのが好き」「地域の人のために役に立ちたい」、「いろいろ学びたい」という理由でボランティアを志望した人たちばかりです。

研修に参加するスポンサーシップ・ボランティア

研修に参加するスポンサーシップ・ボランティア

ベトナム・トアンザオ郡で行なわれた研修には、トアンザオ地域開発プログラム(ADP)、ムオンチャADPとその他ディエンビエン省から2つのチャイルド・スポンサーシップによるADPのボランティアの代表者約40名が参加しました。研修は金~日曜日の3日間、朝7時から午後5時までみっちり行なわれました。(昼休みは、お昼寝時間を含めて2時間ですが)

今回の研修のテーマは、「さまざまなコミュニケーション方法を活用した啓発方法」。参加者の平均年齢が20代前半と若いためか、とにかくみんなノリがよく、陽気でフレンドリー、盛り上げ上手で、会場はいつも笑い声であふれていました。こういう人たちなら、子どもたちや若い保護者たちと関わるのが上手なんだろうな、と思いました。そして新しいスキルをどんどん取り入れて、吸収するのがとても早いことに関心しました。

研修には「誕生日のお祝いの仕方」というセクションもありました。少数民族が多く住むディエンビエン省では「誕生日を祝う」という習慣があまりないそうです。(出生登録が遅れたため本当の誕生日を知らない人もいます)

ワールド・ビジョン・ベトナムでは、保護者が子どもの健やかな成長を願い、子どもたち自身も大人に大切にしてもらっている、と実感する機会として、月ごとに誕生日会を地域住民と行なっています。参加者の中には、誕生日会を経験したことがない人も多く、歌やゲームの練習を通して「誕生日のお祝いの仕方」を学んでいました。

お誕生日会会場で使う「お誕生日おめでとう」のバナー。スポンサーシップ・ボランティアの手作りです。

お誕生日会会場で使う「お誕生日おめでとう」のバナー。スポンサーシップ・ボランティアの手作りです。

その他には、「モン族の幼稚園生の父兄20名が、『チャイルド・スポンサーは物資支援をしてくれる人だ』と勘違いしている場合」や「子どもクラブに参加する小学5年生のチャイルド30名たちが、手紙の書き方を知らない場合」など、いろいろなシチュエーションの「お題」が出され、地域ごとに分かれて実演し、お互いを評価しあいました。

それぞれのグループが、研修で学んだ寸劇やクイズなどの手法を使って、工夫を凝らして楽しくスポンサーシップについての説明を行なっていました。

発表中、「チャイルド・スポンサーシップは養子制度なの?自分の子どもはどこかに連れて行かれるの?」「チャイルド・スポンサーシップは、奨学金制度で、チャイルド・スポンサーさんは里親なの?」「チャイルドに選ばれるのは、特別な存在だから?」と、実際にコミュニティから出た質問が出され、ボランティアたちが直面する課題が垣間見えました。

興味津々の支援地域の子どもたち

興味津々の支援地域の子どもたち

研修最終日には、ある村落で実際にチャイルドたち(小学校1-4年生)とその保護者に、村のコミュニティーセンターに集まってもらい、「スポンサーシップ説明会」を行いました。

村長さんからの説明の後、まずは「あなたはスポンサーシップについてどれくらい知っていますか?」というゲームを開始。

「トアンザオADPを支援しているのはどこの国の方でしょう? A)日本 B)アメリカ C)ベルギー 」 という質問には、

「知ってるよ!日本だよ!」と子どもたちは、迷わずAのカードを選んでいました。

「はい、そのとおり。日本です!」との回答に、正解した子どもたちはうれしそうに拍手していました。

クイズの様子

クイズの様子

説明会の最後は、こんなメッセージで締めくくられました。

「スポンサーシップは、手紙のやり取りを通じた友情です。」

参加者とボランティアたち全員で復唱し、一回目はバラバラでしたが、2回目はみんなで声を合わせて言うことが出来ました。

 

ワールド・ビジョン・ジャパンは多くのボランティアさんたちに支えられていますが、チャイルドの住む地域でもスポンサーシップ・ボランティアという人たちの働きに支えられて支援事業が進められています。

今度、チャイルドからお手紙が届いたときには、「この手紙はスポンサーシップ・ボランティアの手も通ってきたんだな」と考えてみるのも面白いかもしれませんね。

 

この記事を書いた人

木戸梨紗プログラム・コーディネーター
上智大学比較文化学部卒業(専攻:社会学・文化人類学)。ロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院でMSc. Reproductive & Sexual Health Research修士を取得。
2010年1月 ワールド・ビジョン・ジャパン入団。2012年12月より2016年3月までベトナム、2016年4月から2018年3月までエチオピア駐在。専門領域は母子保健。
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