エチオピアに来てみて驚いたのは、みんな挨拶に非常にていねいに時間をかけるところです。「サラムノ!(あなた(の心)は平安ですか?)」「エグザビエル ユメスガン(おかげさまで。神に感謝)」「デナノ?(お元気ですか?)」「デナネン(元気です)」と言いながら、握手をしつつ右肩と右肩を合わせるハグをし、女性同士だとお互いの頬に片方ずつ交互に計3回キスをして挨拶をします。
その様子はまるで、数年間会えなかった友達にやっと会えた喜びを表現しているかのように見えます。(実際は、毎日顔を合わせている同僚なのですが)部屋に違う部署の人が尋ねてくると、ほぼ必ず部屋にいる人全員に挨拶をして回ります。
お昼ご飯に行くために同僚と道を歩いていて、同僚の知り合いとばったり会った時には、大変です。挨拶から始まり、お互いの健康、最近の家族の様子のお話が始まり、なかなか立ち話が終わりません。(おしゃべり好きな同僚が多いということもありますが)
エチオピア人は手で食事をするため、食前の手洗いがすんだ後、もしくはご飯を食べている最中に知り合いに会った場合は、自分の手首を差し出して相手に握ってもらう、という握手の変形パターンも存在します。
エチオピアには律儀な人が多く、公用語のアムハラ語には尊敬語もあり、年長者を尊重し、会釈やお辞儀をしたりという慣習もあるので、少し日本人と気質が似ているかもしれません。(地域によっては、もっとオープンでダイナミックな性格の人が多い民族もいるそうですが)
エチオピアでも、NHK WORLDというチャンネル通して日本の番組を観ることができるため、日本に対して親近感を持っている人も多く、エチオピア人からも「エチオピアと日本の文化って、ちょっと似てるでしょ?」とよく言われます。
支援地に行くと、外国人が珍しいのか、こちらをジッと見つめてくる人も多いですが、私が会釈をすると、皆あわててぴょこっと会釈を返してくれます。日本から遠く離れたエチオピアで会釈が通じるのは、なかなか不思議な感覚です。
いろんな国にいろんな挨拶の仕方がありますが、どれも友好、尊敬の印という点では同じだと思います。違いはあったとしても、世界中の人々がお互いに心の平安、健康と幸せを祈りあい、友好の挨拶を交わすことができたら、どんなに素晴らしいことだろうと思います。
これを読んでいる皆様が、心安らかなクリスマスと年末年始を迎えることができますように、エチオピアよりお祈り申し上げます。
- 【関連ページ】
- ・国情報:エチオピア
- ・チャイルド・スポンサーシップとは
この記事を書いた人
-
上智大学比較文化学部卒業(専攻:社会学・文化人類学)。ロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院でMSc. Reproductive & Sexual Health Research修士を取得。
2010年1月 ワールド・ビジョン・ジャパン入団。2012年12月より2016年3月までベトナム、2016年4月から2018年3月までエチオピア駐在。専門領域は母子保健。
このスタッフの最近の記事
- アフリカ2021年12月20日希望の光~エチオピアの「小さな命」に向き合う人びと
- 事務局2020年11月17日エールの達人
- 事務局2018年10月26日NGOスタッフが見た光(1)~あなたはわたしの光~
- アフリカ2017年12月21日あなたの心は平安ですか?~エチオピアのあいさつ~