【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

Read Article

国際協力NGOワールド・ビジョン・ジャパンで働いて感じたこと

ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)のオフィスは丸の内線と大江戸線が交差する駅・中野坂上にあります。改札口を出てから歩いて約3分くらいです。以前は新大久保駅近くの建物に事務所がありましたが、2012年に中野坂上に移転しました。新大久保駅近くにあったときは事務所が2階と3階に分かれていましたが、今は同じ階の広いスペースで海外駐在員以外のすべての職員が働いています。

カンボジアの子どもたち

カンボジアの子どもたち

約80名のスタッフがいますが、組織は大きく4つに分かれています。4つの部とはマーケティング第1部、マーケティング第2部、支援事業部、サポートサービス部となっています。私はその中のマーケティング第1部のスポンサーサービス課に所属しています。私は2000年の秋からWVJで働かせていただいているので、もう15年以上になります。働き始めたころはスタッフも30名弱ほどで大変こじんまりとしていました。それが15年で約3倍にも大きくなったのはチャイルド・スポンサーの皆さまのご支援が増え、支援する国も入団当時は17カ国28地域だったのが、今は22カ国51地域にもおよんでいるからです。

スポンサーサービス課のスタッフ(前列右端が筆者)

スポンサーサービス課のスタッフ(前列右端が筆者)

私の所属するスポンサーサービス課はアルバイトスタッフも含め、15 名のスタッフが働いています。なんとすべて女性!皆スキルの高い、やる気のある人たちばかりです(自分で言うのもナンですが・・・。私を除いてというべきでしょうか。私もスキルはイマイチでもやる気は十分あります!)。中には子育て中の方もいて、仕事と家庭を両立させる大変さはほかの職場と同じです。

私が所属する課以外の部署を見ても女性の数が圧倒的に多いです。そのせいもあるのでしょうか介護休業・育児休業などの規則もきちんと整っています。日本には小規模なNPO(非営利活動法人、WVJもNPOです)が多い中では、働く上での制度がきちんと整っている団体の一つと言えるでしょう。

皆さまからのご支援金は確定申告などで申告できる「寄付金控除」の対象となっています。この「寄付金控除」対象の団体として認められるためには、所在地の都道府県の認定を受ける必要があります。この認定を受けるためには厳しい審査があります。定められた申請書類の審査のみならず、東京都の職員が実際にWVJ事務所に来て、組織運営や経理処理、事業活動が適切に行われていることを確認し、さまざまな書類を見たり、質問をしたりして、その団体が認定を与えるのに適しているかを審査します。WVJは2002年からこの認定を与えられている団体です(最初は、国税庁が認定機関でした)。そのことからもWVJが皆さまに信頼していただける団体と思っていただけたら嬉しいです。

さて、長々と団体の説明をしましたが、私の担当している仕事についてお話しましょう。スポンサーサービス課ということからも分かるようにチャイルド・スポンサーとチャイルドを結びつける仕事です。その一つにリプレイスという業務があります。それはチャイルドが何らかの理由で支援を卒業し、スポンサーと離れなければならなくなった時、チャイルド・スポンサーにご支援の継続をお願いし、新しいチャイルドをご紹介するという仕事です。

スワジランドの支援地の子どもたち

スワジランドの支援地の子どもたち

皆さまのチャイルドはずっと同じチャイルドですか?私のチャイルドは途中で変わったわという方もおられるのではないでしょうか。私自身のことを言えば、最初に紹介されたタンザニアのンゲレンゲレ地域の女の子は幸いにも支援から離れることなく18歳まで支援を受け(昨年の9月にWVJが地域から離れても自分たちで村の自治を運営できるようになって支援が終了となるまで)ずっと私のチャイルドでした。その後新しいチャイルドが与えられ、今はスワジランドの小さな男の子のチャイルド・スポンサーです。

私の場合はそのような形でチャイルドとのお別れとなりましたが、いろいろな理由でチャイルドが支援を卒業する事があります。たとえば、チャイルドが支援地域から家族とともに引越しをして支援地域から離れた。学校を卒業し、働けるようになって自分で収入が得られるようになった。進級するためほかの土地にある学校に通うことになった、等と理由はさまざまです。

しかし一番心を痛めるのはチャイルドが不幸にして亡くなったという知らせが入った時です。その理由はマラリアにかかったとか、池や川で溺れた、病気で亡くなったなど本当にさまざまです。以前もチャイルドが毒蛇に噛まれて命を落としたということがありました。インドに住んでいたチャイルドです。9歳の女の子でした。寝ている間の夜中の2時過ぎ、家の中で蛇に噛まれ、すぐ両親が病院に連れて行ったそうですが、治療の甲斐なく朝7時過ぎに息を引き取ったということです。今の日本では身近に毒蛇がいて、それに噛まれることなどあまり考えられないことです。もしそんなことがあれば大きなニュースになるでしょう。しかしこのチャイルドの住んでいた地域ではそのようなことがあるのです。

スポンサーに新しいチャイルドをご紹介する時、いつも思います。この子どもとチャイルド・スポンサーがこれから長いお付き合いをしていくことが出来ますようにと。

南スーダンの子

南スーダンの子

WVJでの経験でいつも思うことは、自分が日本に生まれたということです。身近に戦争の恐怖もない、貧困で食べるもの・水でさえも手に入らないということはない、水道の蛇口を開けば当然のようにきれいな水が出てくる。そのような環境にいるということは当然のこととして受け入れています。

でも、もし、生まれる国が違っていたら、このチャイルドのように身近に毒蛇がいるようなところだったなら…。私たちは自分で生まれる国、土地、生まれる時代を選ぶことは出来ません。WVJでは紛争のある国・地域で働いているスタッフも多くいます。そういう土地だからこそ支援が必要とされている場合が多いからです。そういうスタッフから悲惨な現状を見聞きする時、私が日本に生まれた理由に考えがおよびます。日本にいる私に出来ること、WVJで働く私に出来ること、それを考えながらスポンサーの皆さまとともに進んでいきたいと願っています。

スポンサーサービス課 滑川 陽子

この記事を書いた人

WVJ事務局
世界の子どもたちの健やかな成長を支えるために、東京の事務所では、皆さまからのお問合せに対応するコンタクトセンター、総務、経理、マーケティング、広報など、様々な仕事を担当するスタッフが働いています。
NGOの仕事の裏側って?やりがいはどんなところにあるの?嬉しいことは?大変なことは?スタッフのつぶやきを通してお伝えしていきます。
Return Top