【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

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クリスマス募金箱の物語

モノづくりには、ストーリーがあります。ドラマチックな展開があり、関わる人々の「出会い」があり、「想い」があります。これは、今年の「クリスマス募金箱の物語」です。

「クリスマス募金箱」とは、クリスマスを待ち望む12月1日〜24日までの間、アドベントカレンダーのように毎日一つずつ窓を開け、お金を入れていく募金箱です。集まった募金は、ソマリアやスーダン、タンザニア等の国々でワールド・ビジョンが行う食糧支援支援に役立てられます。
クリスマス募金箱

2022年版 クリスマス募金箱

アーティストの輪島貫太さんが絵に込めた想い

今年7年目を迎えるこの募金箱、今年は、「みんながつながり、笑顔が広がる」というコンセプトで作りました。これは、募金箱本体にデザインされた作品を描き下ろしてくださったアーティストの輪島貫太さんの集合絵から導かれたものです。

発達障がい(自閉症)を伴うアーティストの輪島貫太さん。2006年9月石川県金沢市生まれ

発達障がい(自閉症)を伴うアーティストの輪島貫太さん。2006年9月石川県金沢市生まれ

貫太さんの作品の特徴のひとつでもある「集合絵」とは、一枚の作品の中にたくさんの登場人物たちが、ぎゅっと集合して描かれているものです。人間に限らず、動物やロボットたちが集合していることもあります。共通点は、仲良く集まっているということ。そこには、「みんながしあわせになってほしい」という貫太さんのあたたかい想いが込められています。貫太さんの集合絵と出会った時に、「この方にお願いできたら、きっと素敵な募金箱になる!」と確信しました。ご紹介くださった福島デザイン様には、感謝しかありません。そして、夏の暑い日、貫太さんによって『クリスマスだよ、全員集合!』という作品が誕生したのです。

クリスマス募金箱の原画:「クリスマスだよ!全員集合!!」輪島貫太 2022年

クリスマス募金箱の原画:「クリスマスだよ!全員集合!!」輪島貫太 2022年

福島治さんの想い

7年前に「クリスマス募金箱」をスタートした頃から企画に携わってくださっている有限会社福島デザインのグラフィックデザイナー福島治さん。
ソーシャルデザインの第一人者で、東京工芸大学 芸術学部デザイン学科の教授でもいらっしゃる福島さんは、ライフワークとして障がいのあるアーティストへの活動支援を行っています。

クリスマス募金箱の製作に毎年多大なるご協力をいただいている福島デザインの福島治さん

クリスマス募金箱の製作に毎年多大なるご協力をいただいている福島デザインの福島治さん

「輪島家とはカンタさんが小さい時に知り合っています。二人の兄妹はアートを描くことが大好きで、すでにアーティストとしての才能が現れていました。障がいを持つ兄妹をどのように育てれば良いのか悩まれていましたが、個性を大切に伸ばす子育てを『個育て』と名付けて二人を育てられました。二人はグングン才能を伸ばし、展覧会や仕事の依頼が次々に舞い込む人気アーティストになりました。カンタさんのアートは老若男女すべての人を笑顔にしています」

小学生の皆さんの想い

募金箱の製作部数は3000部。この封入作業を担ってくださったのは、小学生・中学生・高校生の皆さんです。

小学生の皆さんは親子でボランティア活動に参加してくださり、小さな手で丁寧に一枚一枚募金案内に払込票を挟んで、募金箱と重ねて、説明書と一緒に封筒に入れるという作業をしてくださいました。

6組14名の親子の皆さんが封入作業にご協力くださいました

6組14名の親子の皆さんが封入作業にご協力くださいました

シンプルな作業に聞こえるかもしれませんが、重ねる向きや封入時に折れてしまうことがないように気を付けながら進める必要があります。重複や入れ忘れを防ぐために10セットずつ資材を数え、保護者の方と確認し、封入を終えた10セットをスタッフのところへ運びます。持ってきてくださる皆さんが「終わりました!」と少し緊張しながら責任感を持って手渡してくださる表情に、こちらが襟を正す思いでした。

6組14名で550部の完成。やり遂げたよろこびとともに「つかれた~」「思っていたより大変」との声もあがりました。また、保護者の方からは「誰かのために何かをしようと思ってもらえたら嬉しいと思い参加しました」「自分もアクションを起こせると感じてもらいたかった」との言葉がありました。そして、小学4年生のお子さんからは「サマースクール(WVJが実施している小学生向けの夏休みのイベント)に参加して困っている子どもたちがいることを知って、子どもたちを助けたいと思って今日参加しました」と発表がありました。思いを行動に移してくださった皆さん、「世界の子どもたちのために何かやってみたい」という思いで一歩を踏み出してくださいました。

中高生の皆さんの想い

そして、中学生・高校生の皆さんにもボランティアにご参加いただきました。
学校の授業が終わってから放課後にワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)の事務所に来て封入作業をしてくださった玉川聖学院高等部の皆さん、学校の取り組みの一環として封入作業をしてくださった恵泉女学園中学校の皆さん、授業の一環としてWVJ事務所に来て封入作業をしてくださった実践学園中学校の皆さんです。

学校の取り組みとして1年生全員で封入ボランティアをしてくださった恵泉女学園中学校の皆さん

学校の取り組みとして1年生全員で封入ボランティアをしてくださった恵泉女学園中学校の皆さん

授業の一環として封入ボランティアをしてくださった実践学園中学校の皆さん

授業の一環として封入ボランティアをしてくださった実践学園中学校の皆さん

玉川聖学院高等部の皆さんに2つの質問をしてみました。

◆ボランティアに参加しようと思ったのは、どのようなきっかけですか?
「生徒会活動などを通してワールドビジョンの活動に興味があったから」(高校1年生)
「前から世界規模の問題に興味を持っていて、それらを解決するべく尽力されているNGOやNPOなどの団体にも関心があり、知りたかったから」(高校2年生)

◆ボランティアに参加した感想を教えてください
「実際に支援をしてみようと考える人のもとに届くものを一つひとつの丁寧にやることが、少しでも子ども達の支援に繋がるものになればいいなと思いました」(高校1年生)
「事務所はアットホームな雰囲気で、とても過ごしやすかったです。お金がどんなところに行き、何に使われるのか、参加してみて分かり、募金への考えが変わりました」(高校2年生)

放課後にワールド・ビジョン・ジャパンの事務所に来て封入ボランティアをしてくださった玉川聖学院高等部の皆さん(右端が筆者)

放課後にワールド・ビジョン・ジャパンの事務所に来て封入ボランティアをしてくださった玉川聖学院高等部の皆さん(右端が筆者)

皆さんとは封入作業をしながら、国際協力の仕事に就こうと思ったきっかけやスタッフはどんなキャリアでNGOに就職したのか等の質問を受けました。私も皆さんに「どんな参加方法があったら高校生の皆さんが国際協力に参加しやすい?」等の質問を投げ、お互いに聞きたいことを聞いてみる貴重な時間にもなりました。

話は尽きませんが時間は限られており、高校生の仲間に入れてもらったおばちゃん(私)を含む異年齢の女子会のようなひと時は、たくさんの成果物を残し、終わりを迎えました。一日の授業を終えてから電車を乗り継いでNGO事務所に足を運び、ボランティア活動をして、帰宅後には授業の予習・復習をされるという皆さんからエネルギーを分けていただいたような思いがしました。

資料請求くださった皆さまの想い

こうして封入された募金箱たちがいよいよ発送されるのが11月中旬以降です。10月12日にホームページで資料請求の受け付けを開始し、少しずつ資料請求が届き始めました。
私が心を打たれたのは、その件数ももちろんですが、資料請求をしてくださる方が添えてくださる“メッセージ”でした。

「毎年家族で楽しみにしています!」
「ことしも がんばって たくさん(募金を)あつめます!」
「いつも子どもと一緒に楽しみながら募金する意義を学んでいます」
「友だちにも呼びかけてみたいと思います」
「世界の子どもたちの現状を我が子に話したいと思って情報を探していて見つけました。子どもたちと一緒に“何かはきっとできる”をやってみたいと思います」
「子どもが募金箱で募金したがっています」
「素敵な募金箱に家族全員で気持ちを込めて募金させていただきます」
「アドベントカレンダーは中にお菓子が入っているものが殆どですが、これは逆に毎日誰かにプレゼントをあげるものですね」
「募金箱が貫太さんの作品で、楽しそうな図柄なので、みんなで笑顔になれる気がして」
「水や食糧が不足している子どもたちのたくさんの笑顔が見たいです」
「貫太くんの作品を通して、今、困っている世界の子どもたちが少しでも温かなクリスマスを過ごせるようお手伝いをさせてください*」

*11月11日 東京新聞に掲載された記事をご覧になった方からのメッセージ

ご紹介しきれませんが、本当にあたたかいメッセージをお寄せいただきました。資料請求をしてくださった方が募金箱を通して世界の子どもたちとつながってくださっているのです。貫太さんの作品が新しい方をつないでくださっていることも伝わってきます。

担当者である、私の想い

募金箱を受け取られた皆さんの笑顔を思い浮かべながら、送付状を入れて封をしました。この募金箱が12月1日から24日に3000個それぞれの場所で物語の続きを紡いでいってくれることと思います。そして、その先は、過去40年で最悪の干ばつに直面しているソマリアやスーダン、タンザニア等で飢餓に陥っている人々への食糧支援へとつながっていきます。

親子ボランティア参加者の皆さんに向けて、水と食糧が十分になく困っている子どもたちの話をする筆者

親子ボランティア参加者の皆さんに向けて、水と食糧が十分になく困っている子どもたちの話をする筆者

年明けに感謝状をお届けし、この「クリスマス募金箱の物語」は一度エンディングを迎えます。「わたしがお手伝いをしてお小遣いを集めたお金で、食べ物が届けられたんだね」と笑顔で報告を受け取ってくださる皆さんを思い浮かべながら感謝状をお届けしたいと思います。

すべての子どもが「豊かないのち」を生きることができる世界の実現が、物語の最終的なエンディングと言えます。4秒に一人、飢餓によって命を落とす子どもたちや人々がいる、これが今、わたしたちが生きる世界の現状です。気候変動、新型コロナウイルス感染症、そして、紛争。飢餓を拡大させる要因を解決する術はあるのか、このまま急性飢餓人口は増加の一途をたどるのか、希望が見えないように感じてしまうこともあります。

でも、このクリスマス募金箱を使って「何かはきっとできる」とアクションを起こしてくださる方々がいます。封入作業のボランティアをしてくださる小学生・中学生・高校生の皆さんがいます。みんなで募金を集めてくださるご家族がいます。お友だちに呼びかけてくださる方がいます。初めて募金をしてみようと思ってくださった方がいます。

私はそんな皆さんの存在を「暗闇の中の光(聖書ヨハネによる福音書1章5節)」だと感じます。「クリスマス募金箱物語」は、みんながつながることによって、笑顔が広がるということを私に教えてくれました。ご一緒にこの物語を紡いでいってくださる方を募集中です。


最後までお読みくださり、ありがとうございました。

マーケティング第1部 コミュニケーション課
松本 謡子


関連リンク:
クリスマス募金箱
クリスマス募金/水と食糧のための募金
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「“何もかも”はできなくとも、“何か”はきっとできる」
クリスマスまでに3000人のチャイルド・スポンサーを募集しています。

 

この記事を書いた人

WVJ事務局
世界の子どもたちの健やかな成長を支えるために、東京の事務所では、皆さまからのお問合せに対応するコンタクトセンター、総務、経理、マーケティング、広報など、様々な仕事を担当するスタッフが働いています。
NGOの仕事の裏側って?やりがいはどんなところにあるの?嬉しいことは?大変なことは?スタッフのつぶやきを通してお伝えしていきます。
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