【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

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世界食糧デーによせて ~南スーダンの食糧危機に想うこと~

皆さんは、「食」と聞いて何を思い浮かべますか?
私にとって、「食」=「喜」です。旬な食材、旅行先の名物料理、美味しい手料理、友人との楽しい外食、海外での新しい味との出会い…。
普段の生活の中でも、今日は大好きな○○が食べられるから頑張ろう!なんて「食」がモチベーションになることがあります。皆さんもそんな経験はないですか?

10月16日は、世界食糧デーです。今回のブログでは、世界食糧デーによせて、南スーダンの食糧危機とワールド・ビジョンの活動について、改めて考えてみたいと思います。

突然ですが、まずはクイズから!こちらの写真は、私が2013年に行った南スーダン出張の際に、同僚と一緒に食べたお昼ご飯です。どんな食材が使われていると思いますか?

南スーダンで食べたお昼ご飯。どんな食材が使われていると思いますか?

南スーダンで食べたお昼ご飯。どんな食材が使われていると思いますか?

時計の12時の位置にあるのは、オクラを使ったシチューです。ネバネバ系食材が好きな私の1番のお気に入り!(友人の日本人も好きだそうで、日本人の口に合うみたい?!)写真にも写っているコッペパンのようなパンや、時計の9時の位置にある南スーダンで一般的に食べられている白いクレープのようなキスラ(紙ナプキンじゃないですよ!笑)に付けていただきます。他にも、ティラピアという白身魚の丸揚げ、細かく刻まれたナス、玉ねぎ等の野菜の炒めもの、日本でいうお味噌汁のように一般的なピーナッツペーストを使ったスープなどもあります。こんなにメニュー多彩なランチを毎日食べていたわけではないのですが、この日のランチは、どれも味付けがしっかりされていて、とっても美味しかったです!(でも、正直なところ、出張が長くなると、やっぱり日本の味が恋しくなるのも、本音です。)

さて、こんなに豊かな食文化をもつ南スーダンなのですが、2017年の今日、独立以来最も深刻な食糧危機にあります。どういうことかと言いますと、今、南スーダンに暮らす2人に1人が十分に食べることができません。100万人以上の子どもたちが急性栄養不良に陥っているのです。

深刻な栄養不良になってしまったアキールちゃん(10カ月) と母親のアデレさん

深刻な栄養不良になってしまったアキールちゃん(10カ月) と母親のアデレさん

私が先ほどご紹介した様々な食材がふんだんに使われた南スーダンのお昼ご飯。今日の南スーダンで、このようなご飯を食べることができる家族は非常に限られています。お母さんが子どもたちを喜ばそうとお料理に腕を振るったり、子どもたちが今日の夜ごはんは何かな?とワクワクしながら帰宅したり…、そんなあたりまえの毎日が、南スーダンでは日常ではありません。何日もご飯を食べることができず、母乳が出なくなってしまったお母さんたちが、お腹を空かせて泣く子どもを前に何もできなくて、でも何かをしてあげたくて、苦しんでいる…というのが、そこにある現実です。

深刻な栄養不良になってしまったアキールちゃんと母親のアデレさんもそんな母親と子どもです。アデレさんは、アキールちゃんと同じように栄養不良になってしまった上の子ども2人を家に残して、アキールちゃんを連れて何時間も歩いて、ワールド・ビジョンの支援する食糧支援プログラムを訪ねてきました。

南スーダンの食糧支援プログラムでは、アデレさんのような十分に食事を取ることができない家族に対して、穀物(トウモロコシの粉)、豆、食塩、食用油等を配布しています。そして、特に、忘れてはならないのが、栄養不良からの回復のために効果抜群の栄養補助食や治療食です!南スーダンの旧北バハル・アル・ガザール州では、栄養治療支援センターで栄養治療食による治療を受けた子どもたちの96%にあたる8,985人の栄養状態を改善することができました。

プランピーナッツという栄養治療食を食べる南スーダンの子ども

プランピーナッツという栄養治療食を食べる南スーダンの子ども

南スーダンがこれから紛争のない平和な国として発展していくためには、包括的な支援が必要です。教育、農業、職業訓練、栄養・保健、インフラ支援など、他にも多くが必要です。その中でも食糧支援は、紛争の影響を受けて命の危険と隣り合わせにある人々、そして、特に脆弱(ぜいじゃく)な立場にある子どもたちの命をつなぐ支援(ライフ・セービング)です!

ここで、皆さんも想像してみてください。人々が栄養のある食事を毎日食べることができ、身体も心も健康でないと、南スーダンが平和な国として発展していくことはできないですよね?!ワールド・ビジョンでは以前から南スーダンの教育支援にも取り組んでいますが、すべての子どもたちが栄養不良になることなく、元気に学校に通い、そして下校時には「家族みんなで食べる美味しい今日の夜ご飯は何かなぁ?」なんて考えたりできる日がくるように、子どもたちの命をつなぐ食糧支援でも南スーダンを支えていきます。

ぜひ、皆さんも、そんなワールド・ビジョンの活動に参加してください!

 

子どもたちに食糧を届けるためのクリスマス募金にご協力ください。
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この記事を書いた人

古賀(千田)愛子
大学卒業後、民間企業に2年間勤務したのち、NGOのキャンペーンスタッフやインターンとして開発支援に関わる。
その後、一般社団法人での南スーダン能力開発プロジェクトのコーディネーターを経て、2015年7月にワールド・ビジョン・ジャパン入団。
南スーダンの教育支援事業とWFP(国連世界食糧計画)の食糧支援事業を担当。
2020年2月家庭の都合により退団。2021年7月に再入団。マーケティング第2部サービス開発課に所属。
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