毎年この時期は、アカデミー賞の季節。今年は、日本映画が史上初となる作品賞ノミネートを果たし、注目を集めていますね。
近年、アカデミー賞自体が批判を受けることもありますが、私は、受賞した監督やスタッフ、俳優・女優さんが壇上から届けるスピーチが好きです。少し前の例になりますが、主演女優賞を受賞したケイト・ウィンスレットが受け取ったトロフィーを掲げながら、興奮気味に「8歳の頃はお風呂のシャンプーボトルで受賞スピーチを練習していたけれど、ついにシャンプーボトルではなくなったのね!」と語り、ゲイの人権活動家を演じ主演男優賞を受賞したショーン・ペンは、冒頭自虐ネタで会場を沸かせたかと思ったら、終盤には真面目な顔で「We’ve got to have equal rights for everyone!(すべての人々を平等な権利を!)」と訴えました。
受賞した人が想い描いてきた未来が現実になった喜びや、想い描く未来を全世界の人々に伝える姿が刺激的で、その美しさと力強さに憧れ、ついつい繰り返し見てしまうのです(今年は昨今の情勢を受けて、平和を願うスピーチが語られるのではと思います)。
ハリウッド女優や俳優なんて、私からはどう考えても遥かかなたにいる遠い存在。人生の酸いも甘いも少しは分かり始めてきたお年になったのに、ハリウッド女優に“憧れ”なんて、まったく純粋無垢な子どもじゃないんだから・・・と、とても恥ずかしくなってしまうのですが(笑)、今日は恥を恐れずに“憧れ”の存在について書いてみたいと思います。
「子どもたちのために尽くしてきた人」
皆さんは、1950年代から70年代にかけて活躍し、銀幕の妖精と言われたハリウッド女優をご存知ですか? そう! あの有名な映画、「ローマの休日」で主演を演じた、オードリー・ヘップバーンです。
おそらく小学生低学年くらいだったと思うのですが、あるテレビ番組でオードリー・ヘップバーンが紹介されていて、それが最初の“出会い“だったと記憶しています。番組では、女優としての活躍だけではなく、オードリー自身が子どもの頃に戦争を経験していること、そして晩年にはユニセフの親善大使としての活動に情熱を注いできたことが紹介されていました。
子どもながらに、「このとっても美しい女優さんは、世界の厳しい環境にいる子どもたちのために尽くしてきた人」という強い印象を受けました。
ヘップバーンが愛した詩との出会い
その後、そんなオードリー・ヘップバーンに憧れを抱き始めた私は、“オードリー・ヘップバーンが愛した詩“に出会いました。詩の一部を紹介します。
“魅力的な唇のためには、優しい言葉を伝えること
愛らしい瞳のためには、人の素晴らしさを見つけること”
“人は年を重ねると、自分にふたつの手があることに気づきます。
ひとつは自分自身を助けるため、もうひとつは周りの人を助けるため”
Sam Levinson 作 Time-tested Beauty Tips より。 翻訳:古賀
オードリーは、その詩を自分の子どもたちに読み聞かせていたそうです。少し大袈裟な表現ですが、その詩は人生に迷った時の私をそっと支え、目指すべき姿を示してくれる大切なものになりました。
例えば、こんなことがありました。真っ白なA3用紙1枚に「自由にあなたを表現してください」という、全くもって何から手を付けたらいいのか分からない大学のAO入試の事前送付書類があったのですが、その詩を書き写してかなりのスペースを埋め、なんとか体裁を整えることができました。
また、ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)に送った採用応募書類の記入でも、この詩に助けられました。「キリスト教精神に基づくWVJで働きたいと思う理由を含めて(志望動機書を)作成してください」という問いは、キリスト教や教会とはこれまで縁がなかった私にとって難しい問いでした。「この詩って、聖書の言葉みたい?」という安易な考えで、またしてもこの詩を引用し、今ここで働くに至ります。
正直なところ、当時も今も、「好きな詩があるなんて、ちょっとおしゃれでかっこよくない?!」という気持ちが先走っていることは否定できません。(ブログの担当スタッフに「私が見たい未来」をテーマにブログを書いてとお願いされましたが、全部自分の言葉で埋めるなんて、難し過ぎます!汗)
けれど、この詩を愛したオードリー・ヘップバーンに憧れ、「この詩が示す人物像を目標としています」と繰り返し宣言してきたことで、この詩は目指したいロールモデルとして私の心にピン止めされています。
もし、私にもアカデミー賞の授賞式でスピーチを届ける機会があったとしたら・・・この詩を暗唱して、私が想い描く未来を全世界の人々に伝えたいと思っています。
自分自身と他者を助ける
世界中の人々が、オードリーのように外面だけではなく内面的な美しさを、そして、自分には自分自身と他者を助けることができるという揺るぎない自信を持っていたら、貧困、紛争、暴力といった恐怖の中にいる子どもたちが今よりもずっと減るはずです。
私も、“憧れの存在”に1ミリでもいいから近づけるよう努力したいと思います。
ワールド・ビジョン・ジャパンでは、月々1,000円から始められるご支援で、紛争や自然災害など恐怖の中にいる子どもたちの命を守り、心身の傷を癒し、未来を築くプロジェクト・サポーターにご参加いただける方を募集しています。
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この記事を書いた人
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大学卒業後、民間企業に2年間勤務したのち、NGOのキャンペーンスタッフやインターンとして開発支援に関わる。
その後、一般社団法人での南スーダン能力開発プロジェクトのコーディネーターを経て、2015年7月にワールド・ビジョン・ジャパン入団。
南スーダンの教育支援事業とWFP(国連世界食糧計画)の食糧支援事業を担当。
2020年2月家庭の都合により退団。2021年7月に再入団。マーケティング第2部サービス開発課に所属。
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