もう、3週間休まずに旅をしている。バックパッカーの支援スタッフとして、被災した島から島を巡り続けている。多くの場所に行けば行くほど、打ちのめされそうなほど山積みの、支援を届けるための仕事と直面する。台風30号(ハイエン)で被災したの何万という被災者の膨大なニーズに応えていくこの仕事が、長期戦になることは間違いない。
もう2週間になるのに、荒廃は癒えることのない傷のようで、道端は瓦礫の山だ。子どもたちや家族は拾ってきた瓦礫で、利用できるものは何でも使って作った当座しのぎの住み家で寝起きしている。住む家を失った家族たちの状況は、時間が経つにつれて悪化する。収入の道がなくなり、支援物資に頼るほかなくなっている。
今課題なのは、どれだけ速く支援物資を現地に届けられるかだ。ぎゅう詰めの港と、渋滞の道路、船の不足が、トラックに積まれた支援物資を約束した時間に配布場所へ運ぶことを妨げる。今はいろんな支援者が政府機関と一致して、被害甚大な地域に支援物資を配ることを優先することが不可欠だ。問題が山積みな中、必要なロジスッティックを整えることが緊急に求められている。
オルモックでは政府の助けを借りて高速船に支援スタッフが乗る場所を確保し、支援地に派遣することができた。でも十分ではない。被害がもっとも深刻な被災地に支援物資を迅速に運搬するため、船や、C130輸送機、ヘリコプターなど、様々な運搬手段の確保すること、そして、物資の安定供給に必要なルート確保のため、道の瓦礫の撤去作業のために、政府のサポートを求め続けている。支援物資を載せたトラックを、早く孤立した地域へ走らせることができれば、緊急に支援を必要としているより多くの人たちに物資を届けることができる。
旅の道での出来事は、物資運搬のロジスティックスと同じぐらい大変な状況だ。次はどこに着くのかわからないので必要なものはすべて背負う。運転手と話して目指す方向、旅程、食事やトイレ休憩について調整する。頼れる仲間だ。彼らが伝えてくれる情報と、手持ちのペットボトルの数や食料の量が、我々がどこまで行けるかを決定する。
道が私の家になった。寝て食べて、ノートや写真をチェックし、車(バン)の中で機器類の充電をしながら、セブ島北部に物資を運ぶトラックの車列と一緒に走る。次の日、朝4時までには準備を完了して出発。混雑と混乱の中、港へ向かい、先を争ってオルモック行きのフェリーのチケットを手に入れる。フェリーは愛する人に生活物資を届ける人々でいっぱいだ。フェリーに乗っている間に次の旅程を練る。経路の検討、車両の確保、チーム全員の食料と必要な物を準備する。皆の安全を守ることが最優先課題だ。
毎朝、海岸で日の出を見る。混乱の広がる田畑・野原と山を越えてセブ島北部に向かう。チャイルド・フレンドリー・スペースに集まっている子どもたちの笑顔に迎えられほっとする。写真や動画を撮り、子どもたちから話を聞き、オルモックの被災地を訪問して一日の仕事が終わり、帰路について港へ戻る。疲れきった体で港に向かう時、夕日が燃えるように輝いて、私に微笑みかけている。まるで、決してあきらめるなと言っているかのように。
11月26日
アーロン・アスピ
(ワールド・ビジョン・フィリピン 緊急支援コミュニケーション専門スタッフ)
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