東日本大震災の発生から、もうすぐ3年が経とうとしています。
ワールド・ビジョン・ジャパンの直接的な復興支援活動は、2012年12月をもって終了しましたが、現在も、私たち国内子ども支援チームが中心となり、「南三陸町まちづくりプロジェクト」の支援や、奨学金支援などを継続しています。
「南三陸町まちづくりプロジェクト」で、私たちとともに活動しているのは、「南三陸町ボランティアサークルぶらんこ(MVCぶらんこ)」のメンバーである中高生たち。
彼ら彼女らは、地域のために率先して活動するハートと行動力を持つ、頼もしい中高生たちです。震災発生直後から、避難所で物資の配布を手伝ったり、小さな子どもたちの面倒をみたり遊んだり。誰に頼まれたわけでもなく、自分たちが地域のためにできることは何か考え、取り組んできました。
そんなMVCぶらんこのメンバーも、震災のときから、皆、学年が3つ上がりました。
高校卒業とともに、活動から卒業していったメンバーもいる一方で、当時小学生だった子が、中学生になり、新メンバーとして参加するようにもなりました。中学生メンバーの中には、震災発生直後、小学生のときに、ワールド・ビジョン・ジャパンが行っていたチャイルド・フレンドリー・スペース(CFS)を利用していた子もいるようです。
3年ほど前にCFSで楽しく遊んでいた子どもたちが、今はボランティアサークルに参加して、地域のためにさまざまな活動をするようになっているんですね。
時の経つのは早いもので、子どもたちの成長も、本当にあっという間です。
さて、そんなMVCぶらんこのメンバーから、最近、思いがけないものを手渡されました。
それは…、こんな封筒でした。
実は、私たち国内子ども支援チームでは、2013年10月12日~14日に、中高生交流イベント「南三陸を学ぶ~いま私たちにできること~」を開催しました。
東京・神奈川の中高生21人が、南三陸町を訪問し、MVCぶらんことともに南三陸町のことを知り、体験し、考える…というもので、参加した中高生同士、お互いにさまざまな刺激を受け、私たちスタッフにとっても、学びの多い3日間となりました。
そのイベントの最終日。
南三陸から仙台に移動するためのバスに乗り込もうとしたときのことです。
見送りに来てくれたMVCぶらんこのメンバーが、東京・神奈川の中高生と、私たちワールド・ビジョン・ジャパンそれぞれに、「サプライズプレゼント」を渡してくれたのです。そのとき、私たちがもらったのが、この封筒だったのです。
ちなみに、封筒に入っていたのは、イベント参加者の集合写真(裏面にMVCぶらんこからのメッセージ付き)。
一緒に過ごした時間から生まれた、素敵な笑顔が溢れる集合写真。
そして、封筒の裏面に大きく書かれた「やられたらやり返す… 恩返しだッ」のメッセージ。
枚数もかなりのもので、忙しいスケジュールの中、いつの間に用意してくれていたんだろうとまず驚きました。
そして、流行りのドラマのフレーズを借りたメッセージの奥には、MVCぶらんこのみんなの温かさと優しさが詰まっているのを感じました。
MVCぶらんこのみんなから「恩返し」だなどと思ってもらうようなことは何もなく、むしろ、よそから来ている私たちを温かく受け入れてくれていることに、私たちが感謝しているというのに。
そんな様々な思いが一瞬で頭の中を駆け巡りました。そして、皆が安心して安全に過ごせるようにと神経を張り巡らせていた自分の心がふと和らぐのを感じました。
この気持ちは私だけがひとり占めしていてはいけない、ワールド・ビジョン・ジャパン事務局のスタッフにも、私たちの活動を支えてくださっているご支援者の皆さまにもお伝えしなくては!と思い、このブログを書かせていただいています。
私たちの使命は、皆さんからのお気持ちを大切にお預かりして、それをできる限りよい形で、必要とする人のところへ届けることなのではないか、と思います。
それは何か見返りを求めるものではありません。
それでも、こんなふうに、思いがけないところで、思いがけない形で、気持ちの“お返し”をいただくと、やはり嬉しく、元気づけられました。
MVCぶらんこのみんな、どうもありがとうございました。みんなからの温かい“気持ち”、しっかり受け取りました。こちらこそ、いつも感謝しています。
このブログが、私なりのささやかな「恩返しだッ」!
支援事業部 国内子ども支援チーム 髙橋 布美子
※東日本大震災緊急復興支援の活動報告はこちら
※「南三陸町まちづくりプロジェクト」の報告書はこちら
(本ブログは、2021年2月に一部の内容を見直し、加筆しました)
この記事を書いた人
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青山学院大学国際政治経済学部卒業、政策研究大学院大学修了(国際開発学修士)。
国内自治体の行政経営・戦略計画策定支援のコンサルタントとして活動後、国際協力銀行/JICAにて南アジア地域の開発援助に従事。
家族と米国生活中に東日本大震災が発生したことから、復興支援への思いを胸に帰国し、2013年1月にワールド・ビジョン・ジャパンに入団。
東日本大震災緊急・復興支援部を経て、現在は支援事業部国内子ども支援チームのチームリーダーとして、日本社会における子どもの権利の実現に向けて活動中。保育士。
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