【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

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NGOスタッフの記憶に残る「ギフト」(4)~今日は贈り物~

11月も終盤となり、クリスマスや年末の足音が聞こえる季節になりました。
まだ少し気が早いですが、2018年/平成30年は、皆様にとってどのような一年でしたか。

私にとっては、国内での活動を中心に様々な経験をし、目まぐるしくも濃密な一年でした。
昨年秋から今年の前半までは、「福島子ども支援事業」で協働したNPO法人ビーンズふくしまさんのもとで、子どもの貧困対策支援等の実践的なスキルを学ぶ日々を過ごしました。

そして福島県での活動が一区切りを迎えた矢先の7月、西日本豪雨災害が発生。
直後に岡山県倉敷市で、8月から9月にかけては広島県坂町で、災害により日常を奪われてしまった子どもたちが安全に過ごせる居場所を、現地の行政や児童会等と協力して運営しました。

広島県坂町の子どもの居場所にて、子どもたちが粘土と折紙で作った「小屋ラ食堂」はとても丁寧で綺麗な出来栄え

広島県坂町の子どもの居場所にて、子どもたちが粘土と折紙で作った「小屋ラ食堂」はとても丁寧で綺麗な出来栄え

また、現地の方々からお声掛けいただき、災害後の子どもの心のケアについて保護者向けの座談会を広島県内で複数回開催。

その後も、被災した保育所・幼稚園・学校等の再開・復旧をサポートするための備品購入支援等、状況の変化を見守りつつ活動を継続しています。

これらの活動を通じて、私は多くの子どもたちに出会いました。出会った子どもたちは皆、置かれた状況の中でそれぞれ懸命に頑張っていました。その子どもたちが少しでもほっとする時間を持てるように、周りの大人たちも一息つけるように。たくさんの方に力を分けていただきながら、必要なところに必要な情報やサポートを届けようと奔走しました。

広島県内で開催した子どもや保護者の心のケアに関する座談会の様子

広島県内で開催した子どもや保護者の心のケアに関する座談会の様子

 

それでも、うまくいかないことや、自分の力不足に落ち込むことはたくさんありました。
そんなときにたびたび思い起こされたのが、映画「カンフー・パンダ」に出てくる印象的なフレーズです。(…ちなみに、調べてみたところ、歴史家のアリス・モース・アール、人権活動家のエレノア・ルーズベルトなどが残した言葉のようです。)

Yesterday is history,
tomorrow is a mystery,
and today is a gift;
that’s why it is called the present.

訳してみると、このような意味合いになるでしょうか。

昨日は過去のもの、
   明日は未知のもの、
      今日は贈り物、
         だから今日をプレゼント
             (present=現在)と呼ぶのです。

豪雨災害の影響でグラウンドが使えない中、日々工夫して練習に励む広島県三原市の高校生たち

豪雨災害の影響でグラウンドが使えない中、日々工夫して練習に励む広島県三原市の高校生たち

「今日は贈り物」- 
だからこそ、変えられない昨日や、どうなるかわからない明日を思い悩むよりも、今日できることを精一杯やろう。

自分に贈られた今日も、誰かに贈られた今日も、それぞれ貴重なプレゼントなのだから、どちらも大切にしよう。出会った子どもたちの今日が少しでもよい時間になるように、全力を尽くそう。
そんなふうに自分を奮い立たせることができました。

置かれた状況も違えば、個性や価値観も異なる私たちが、誰かの今日を自分の今日と同じように大切にするということは、難しいようで、案外簡単なことなのかもしれません。

困りごとについて一緒に考えたり、ただ一緒に楽しく遊んだり、話を聞いたり、手助けをしたり、がんばったねと認め合ったり。そんなちょっとした温かい関わりによって、誰かのしんどい今日が少し和らぎ、その関わりの積み重ねで笑顔が増えてゆくことを、この一年の中で私は学びました。

今日がどのような日になるかは蓋を開けてみるまでわからない、それでも困った時は誰かが自分を支えてくれるし、自分も誰かを支えられる。そう思うと、少し晴れやかな気持ちになり、未知の明日へ向かう勇気が湧いてきませんか。

今この瞬間も、世界の様々な場所で、貧困、暴力、災害紛争など厳しい環境に置かれながらも懸命に生きる子どもたちがいます。
その子どもたちは今日どんなふうに過ごしているのだろうか、どんな一年だっただろうか – 子どもたちが今日を生き、明日へ向かう力を失わないように、子どもたちの今日を大切にする人が世界中にたくさん増えることを願います。

クリスマスの希望の星

クリスマスの希望の星

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【関連ページ】
西日本豪雨支援:子どもが安心して過ごせる場所づくりを実施
【報告】福島子ども支援事業終了報告会
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この記事を書いた人

髙橋 布美子支援事業第2部 国内支援・アドボカシー課 課長
青山学院大学国際政治経済学部卒業、政策研究大学院大学修了(国際開発学修士)。
国内自治体の行政経営・戦略計画策定支援のコンサルタントとして活動後、国際協力銀行/JICAにて南アジア地域の開発援助に従事。
家族と米国生活中に東日本大震災が発生したことから、復興支援への思いを胸に帰国し、2013年1月にワールド・ビジョン・ジャパンに入団。
東日本大震災緊急・復興支援部を経て、現在は支援事業部国内子ども支援チームのチームリーダーとして、日本社会における子どもの権利の実現に向けて活動中。保育士。
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