【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

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食糧支援に取り組むスタッフが共有する思いとは?

こんにちは!南スーダンの教育支援事業WFP(国連世界食糧計画)の食糧支援事業を担当している千田です。

昨年11月下旬のこと。年齢、国籍、母国語、業務経験、働く国、担当業務の内容、何から何まで『異なる』メンバー100人近くが一同に集う機会がありました。こんなに『異なる』にもかかわらず、アットホームに感じることができる環境でもありました。その理由は、参加者全員に多くの共通点があるから、でした。ワールド・ビジョンの食糧支援に関わっており、食糧支援を通じて、脆弱な立場に置かれている子どもたち・コミュニティの人々を支援することに強いパッションをもっている!!! という共通点です。

会議に集まった食糧支援担当スタッフ(右端が筆者)

会議に集まった食糧支援担当スタッフ(右端が筆者)

この機会とは、約2年ぶりに開催された、World Vision Food Assistance Community of Practiceの会議のことです。Food Assistance Community of Practice???私も入団当初は、なんのことかさっぱり分かりませんでした。簡単にご説明すると、『食糧支援のプロフェッショナルのネットワーク』です。
各国で食糧支援を行っているワールド・ビジョン・ジャパンのスタッフも、この『ネットワーク』のメンバーです。私は、今回ワールド・ビジョン・ジャパンを代表してこの会議に参加する機会をいただき、世界各国で活躍する同僚たちから多くを学ぶ貴重な経験を得ることができました。
今回のブログでは、この会議での学びをふまえて、ワールド・ビジョンの食糧支援についてご紹介できればと思います。

栄養強化ビスケットの配給を受けた子どもたち

栄養強化ビスケットの配給を受けた子どもたち。ワールド・ビジョンはWFPと連携して食糧支援を実施しています

1,030万人。これは、2018年度、ワールド・ビジョンが必要な食糧支援(現金給付支援を含む)を届けた人々の数です。そのうち半数以上の560万人が、特に脆弱な立場に置かれている子どもたちです。世界32カ国で、今この瞬間も、ワールド・ビジョンのスタッフが、干ばつ、水害紛争など様々な理由から、健全な生活を脅かされている子どもたちを救うため、奮闘しています。

栄養治療食を食べる子ども(重度急性栄養不良の特徴である浮腫(むくみ)が見られる)

栄養治療食を食べる子ども

今回の会議では、事業地(フィールドとも言います)で事業実施を担当するオペレーション・スタッフ、財務管理を担当するファイナンス・スタッフ、報告業務・データ管理を担当するモニタリング・評価・スタッフ、テクニカル・インプットやファンドレイジングとの連携を担当するスタッフ、それぞれの角度から、それぞれが抱える課題を挙げ、今後ワールド・ビジョンの食糧支援をより効果的に展開していくにはどうすればいいのか、戦略や解決策について協議しました。加えて、1年間の実績の振り返りをし、それぞれの国・ポジションで活動するスタッフが協力できていることを皆で確認する時間も持ちました。

一方で、そう簡単には変えられない厳しい現実があることを、同僚が発表の中で私たちに伝えてくれました。彼は、イラクのプロジェクト・マネージャーです。イラクでは、武装勢力に追われて国内避難民になった人々を対象に、主に食糧支援事業や現金給付事業を実施しています。現金給付事業は、配布を受けた家族が基本的ニーズを満たし、被災状況から立ち直り、健全な生活を取り戻すために使われることを前提としており、実際に、ほとんどの受益者が家族みんなのための食糧、家賃などの支払い、子どもの学費などに充てています。
しかし、ある時、プロジェクト・マネージャーが、現金給付を受けたひとりの男性に、このお金を何に使いますか?と聞いてみたそうです。するとこの男性は、「できれば、武装勢力に売られてしまった娘を取り戻すために使いたい」と、静かに答えたそうです。

ワールド・ビジョン創設者 ボブ・ピアス

ワールド・ビジョン創設者 ボブ・ピアス

この男性のように、やりきれない憤りと深い悲しみを抱え、毎日を過ごしている人がまだ大勢いることも忘れてはいけません。そんな時、思い出すのが、ワールド・ビジョンの創設者ボブ・ピアスのこの言葉です。

“何もかも”はできなくとも、
“何か”はきっとできる

2015年7月からワールド・ビジョンで働き始めて4年目の私は、経験も知識も足りず、できないことがまだまだあります。同僚から学ばなければならないことも、山ほどあります。ワールド・ビジョンのプロジェクト・チームでどんなに注力して活動しても、解決できな厳しい現実を目の前にして、打ちのめされそうになることもあります。ワールド・ビジョンは他団体や多くパートナーと協働しながら、食糧支援に限らず、保健・教育・水・衛生など様々な支援を包括的にかつ長期的に展開していますが、それでもなお、世界には解決できていないことが多くあります。

けれども、私たちに『今』できることを、精一杯尽くす。そのような姿勢で世界中で活躍する同僚たちとともに、これからも、過酷な環境にいる子どもたちに支援を届けていきたいと思います。

子どもたちに支援を届けるため、このブログを読んでくださっている、あなたの応援が大きな力となります。
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水・食糧のための募金

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【関連ページ】
食糧危機が続く南スーダンからの活動報告
ワールド・ビジョン・ジャパンの食糧支援
世界の問題と子どもたち – 保健・栄養
SDGs達成に向けて ~ワールド・ビジョンの「栄養改善」への取り組み~

この記事を書いた人

古賀(千田)愛子
大学卒業後、民間企業に2年間勤務したのち、NGOのキャンペーンスタッフやインターンとして開発支援に関わる。
その後、一般社団法人での南スーダン能力開発プロジェクトのコーディネーターを経て、2015年7月にワールド・ビジョン・ジャパン入団。
南スーダンの教育支援事業とWFP(国連世界食糧計画)の食糧支援事業を担当。
2020年2月家庭の都合により退団。2021年7月に再入団。マーケティング第2部サービス開発課に所属。
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