前回のブログでご紹介した保健クラブの9カ月後の様子をお伝えします。
この日のトピックは、「出産に向けての準備」。今回も会場は村落保健員のおじさんの家。今回の参加者は、母親21名、父親5名と子どもが15名。
そして今回は、村落出産介助者の女性が、トピックの説明を行っていました。9カ月前は、自信がなさそうに、コミューン保健センターの助産師の後ろに立っていた彼女ですが、今ではにこやかに笑いながら、啓発教材を参加者に見せ、参加者に質問をし、出産に向けて何を準備すればいいのか、参加者の話し合いを促していました。
参加者も前のようにただ説明を聞いているのではなく、おしゃべりのように自然に話し合う様子が見られ、クラブはとても和やかで話しやすい雰囲気に包まれていました。
今回の保健クラブでは、村落保健員のおじさんは、参加者の記録を取る係りを担っていました。村落女性組合の女性は、以前よりもっと積極的に会場の整備や参加者の呼びかけを行い、参加者も自主的に会場の準備を手伝っています。
前回は、コミューン保健センターの助産師のサポートがないと活動を行うことができませんでしたが、今回は、助産師は後ろでクラブ活動の様子のメモを取るのみ。それでも、クラブ管理者だけでスムーズに活動を行うことができており、9カ月前よりもはるかに素晴らしいチームワークを見せていました。
保健クラブ終了後、また「反省会」を行いました。以前よりかなり改善されていると私は思いましたが、保健センターの助産師も、クラブの管理者本人たちも「もっとこうしたらよかったと思う」「今度からはこうしようよ」と真剣に話し合っていました。
この村落の保健クラブは、ほかのクラブに比べて課題の多いクラブであったため、この地域担当のプロジェクト・アシスタントはより頻繁に村落を訪問し助言を行ってきました。そのクラブが、今ではこうして自分たちだけでも、どのようにしたら参加者がもっと楽しんで参加しやすいクラブになるのかを話し合い、いろいろ試してみることができるようになっています。
継続的に助言と励ましをもらうことで、クラブ管理者は、自分たちの弱みや強みを把握し、新しいことにチャレンジする勇気を得て、協力しながら活動ができるようになったのだと思います。また、自分たちの変化によって起きた参加者の反応の変化も、クラブ管理者のやる気を持続させている要因なのかもしれません。
ある小さな村に起きた小さな変化ではありますが、本人たちにとっては、大きな自信につながったのだと思います。この変化は、少しずつではあっても、さらに参加者の意識や行動の変化につながっていくことでしょう。
クラブ管理者たちは、9カ月前の私のコメントを覚えてはいないかと思いますが、この小さな変化を見たことで、なんとなく「私の思いが伝わった」と感じ、とてもうれしく思いました。
この記事を書いた人
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上智大学比較文化学部卒業(専攻:社会学・文化人類学)。ロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院でMSc. Reproductive & Sexual Health Research修士を取得。
2010年1月 ワールド・ビジョン・ジャパン入団。2012年12月より2016年3月までベトナム、2016年4月から2018年3月までエチオピア駐在。専門領域は母子保健。
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