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あるNGO職員の初めての体験 - その2

バヤン・ウルギ県県庁の方々とカザフスタンの民族衣装を着て記念撮影

バヤン・ウルギ県県庁の方々とカザフスタンの民族衣装を着て記念撮影

* 飛行機は定刻どおり2時にウランバートルに着いた。因みにその日は水曜日であったがなんと翌日はモンゴルの祭日で役所は全て休みということだった。まさに泣き面蜂とはこのことである。少なくとも明日が通常の日であれば、旅券用写真を取得、大使館での旅券取得、入国証明書の発行、航空券の再発行等を大急ぎで進める事ができる。そして何とかその夜の帰国便に間に合うかもしれない。しかし、それを2時から5時までの間に済ませる事は殆ど不可能に近い。従って帰国は2、3日遅れるであろう事は覚悟しなければならない。しかし、出来るところまで済ませておかなければ、帰国日はさらに伸びる危険性もある。WVモンゴルの事務所から私の緊急事態に対応するために、いかにも仕事の出来そうなキャリア・ウーマンの総務課長が車とドライバーと共にアサインされた。

* まず、旅券用の写真を取るために写真館に向かった。店に入ると記念写真をとるために民族衣装を着たモンゴルの女性達でごった返していた。この分だと写真をとるだけで1時間はかかる状況だった。が、そのとき総務課長は列に並んでいる女性たちをかき分け店員の前に行くと私の方を指差して鬼気迫る顔で何か説明している。そして私を手招きすると、そのままカメラの前に座るよう指示した。さすがキャリア・ウーマンだ!
あっという間に二枚の写真を得て、日本大使館に向かった。

* 総務課長は私を日本大使館で下ろすと自分は国境警察へ向かった。時間をセーブするため私が大使館で旅券を取得している間に必要な証明書を書いてもらおうと言うのだ。
なんと彼女は5時までに全てを済ませ、私が予定通りに帰ることを諦めていない。
うーん、さすがキャリア・ウーマンだ!

* 厳重な警備の大使館の入り口から連絡を取っていた担当の方と電話で話し、館内で会うことが出来た。なんとそのお方は一刻も早く旅券を発給できるよう必要な申請書に電話でお伝えしていた名前や生年月日そして取られたパスポートの情報を全て記入して下さり、あとは盗難の状況の様子を書き入れるだけになっていた。こんなに親切で仕事の速い大使館員に出会ったのは始めてであった。表現は適切では無いかもしれないが一般的にはこれを「地獄に仏」と言うのだろうか、、。 兎に角その方の親切と仕事ぶりに日本人として心から感動していた。 結果的に通常2~3時間かかるところを30分程度で旅券を発給して頂いた。

* 丁寧にお礼を言い大使館を出た後、暫く門の前で待つと総務課長が国境警察から戻ってきた。しかし入国の証明書はまだ貰っていなかった。証明書にサインが出来る役人がいなかったのでとりあえずは私を迎えにきてくれたのだった。そのとき時間は3時30分をまわっていた。総務課長と私は、1分1秒の時間も無駄にすることなく大使館から大韓航空へ行き、帰国便の航空券の再発行を済ませた。そして国境警察へ再び到着、幸い2回目に訪れた際はサインの出来る役人がいたので直ぐに証明書をもらうことが出来た。時はすでに4時10分になっていた。

* この間ウランバートルの市内を東奔西走したわけだが、そこここで交通渋滞に巻き込まれ車はスタックし、ハラハラドキドキさせられた。こんなゆったりとした街でも交通渋滞は大きな問題だという、、。草原の国と思っていたモンゴルだが、国民の約半数が交通渋滞で苦しんでいるとは驚きだった。

-つづく

この記事を書いた人

高瀬一使徒
大学卒業後オーストラリア留学などを経て、青年海外協力隊に参加モロッコに2年間滞在。1989年にワールド・ビジョン・ジャパン入団。タイ駐在などを経て、1997年より支援事業部部長(旧 海外事業部)。現在までに訪れた国数約85カ国。4人の子どもの父親でもある。2014年3月退団。
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