ワールド・ビジョン・ジャパンでジュニア・プログラム・オフィサーとして働き始めて、あっ!という間に半年が経ってしまいました。
6月中旬から二週間ほど、出張で初めてバングラデシュを訪れる機会を得たので、バングラデシュで見たもの、感じたことを書きたいと思います。
バングラデシュの首都ダッカから北西に位置するディナスプールへ移動中の車内から、外を見ていて、あることに気がつきました。
「なんでこんなにたくさん国旗が飾られているんだろう?しかも、バングラデシュの旗じゃない国旗が…」
みなさんもご存知、バングラデシュの国旗は、緑の下地に、真っ赤な太陽が中心よりやや左寄りにあるというデザインです。
でもバングラデシュの澄んだ青空の下、どんより雨雲の下、堂々とはためいていたのは、ブラジルとアルゼンチンの国旗でした。
ただ今、世界中がワールド・カップシーズン。
バングラデシュでもその熱風は吹き荒れています。バングラデシュには、ブラジルとアルゼンチンの熱烈なサポーターがたくさんいて、そのサポーター達が国旗をあちこちに飾っているようです。
都市のガラス張りのビルの屋上にも、農村の家の屋根の上にもたくさんブラジルとアルゼンチン国旗が飾られていました。旗が手に入らない人たちが作ったのか、自己流アレンジの加わったお手製の旗も見かけました。 現地オフィスの方によると、バングラデシュではマラドーナやペレの伝説的な活躍時代から、ブラジルとアルゼンチン人気はずっと続いているそうです。
ボール一つで遊べるサッカーは、バングラデシュでも大人気のスポーツ。
村に向かう車の中から、原っぱで泥んこになりながら、サッカーに興じる子どもたちの姿や、テレビのある家や店に大勢の人がつめかけてサッカー観戦をしている光景を何べんも見かけました。
ワールド・ビジョン・バングラデシュのオフィスにも、掲示板に対戦表が張ってあったり、「メッシ・コーナー」があったり。
現地オフィスの方によると、しょっちゅう起こる停電にも慣れっこのバングラデシュ人でも、サッカーの試合放映中に停電でテレビ画面が消えたら、さぁ~大変!!
熱狂したサッカーファン達の激しいブーイングを受けないよう、店の人たちはワールド・カップシーズンになると、極力停電を起こさないように、起きてもすぐ復旧できるように気をつけるそうです。
こうしたワールド・カップ人気を利用して、ワールド・ビジョン・バングラデシュでは対戦日程表と共にHIVエイズの啓発のメッセージを印刷したチラシを各地で配布するプロジェクトを展開。サッカー人気国ならではの取り組みだなぁと感心しました。
さて、ブラジルやアルゼンチンも大人気ですが、バングラデシュ人は同じアジアの国として、日本と韓国も応援しているそうです。
日本にとっては残念な結果に終わったパラグアイとの試合でしたが、「ジャパンは、とても見事なプレーをしていた。PKは運だからしょうがない。今度は、きっともっと良くなる」と、現地オフィスの方が温かいフォローとエールをくださいました。
世界中の人々の夢と希望を託されたサッカー選手たちには、これからもぜひ活躍してほしいですね!!
こんなに多くの人を夢中にさせるサッカーのスゴさを思い知るとともに、貧しく困難な生活の中でも、大好きなサッカーに熱中して、サポートする国の国旗を掲げる、バングラデシュ人の燃えるような熱いハートを今回のワールド・カップシーズン中の出張で感じました。
この記事を書いた人
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上智大学比較文化学部卒業(専攻:社会学・文化人類学)。ロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院でMSc. Reproductive & Sexual Health Research修士を取得。
2010年1月 ワールド・ビジョン・ジャパン入団。2012年12月より2016年3月までベトナム、2016年4月から2018年3月までエチオピア駐在。専門領域は母子保健。
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