暑い日が続き蝉の声も騒々しくなってきた先日、遠くに見える陽炎をぼんやり見つめているうちに、ふと幼い頃に仲良くしていた幼馴染のことを思い出しました。
彼女とは家が近所で年齢も同じだったため、夏休みは朝から日が暮れるまで、人形遊びをしたり、小川で遊んだりしたものです。
ところがそんな夏のある日、私は父の仕事の関係で遠くに引っ越しをすることに。
まだ幼かった私たちは、必ず手紙を書くからね、と言い、あまり別れを惜しむこともなくそのまま別れました。
当時は携帯もメールもLINEも無かったので、私たちを結ぶものは唯一手紙だけです。もちろん、その後どうなったかは皆さんがお察しする通りで、1、2度手紙を交わしたのみでした。あれから彼女がどうしているのか、今は知る由もありません。
私は、ボランティアの方々と協力しながら、チャイルドからの手紙をチェックしたり手紙発送の手配をしたりしています。
ワールド・ビジョン・ジャパンでのボランティア活動について
毎日多くの手紙を目にしますが、手紙に書かれた文字や絵から、チャイルドがどんな子で、どんな気持ちで書いた手紙なのかを想像することはとても楽しく、心が和みます。
以前、少し泥が付いたような跡がある手紙を見つけました。文面は長くありませんでしたが、覚えたての文字を一生懸命書いたことが伝わってくる、心温まる手紙でした。この子は何か家の手伝いをしていたのかな、それとも遊んでいたのかな、などと思いを巡らし、その想像を元に返事を書く。手間は掛かりますが、相手を思いやる気持ちがより一層込み上げてきますよね。
今は、メールやテキストメッセージで、遠方にいる者同士でも気軽に連絡し合うことが出来る時代ですが、タイプされた無機質な文字からは、相手の感情や状況を読み取ることは難しいです。そのために、絵文字やスタンプを添える必要が出てくるのかもしれません。
手紙のやり取りは時間を要するため、自分の手紙がきちんと届いているか不安にもなりますが、時間と手間を経て辿り着いた手紙を手にした時の喜びはひとしおです。微力ながら、チャイルドとチャイルド・スポンサーとの架け橋の一端を担えることを嬉しく思います。
ああ、あの幼馴染ともう少し文通を続けていればよかったな、と後悔しつつ、遠い夏の日を懐かしく思います。
チャイルドにとっても、手紙のやり取りを通して生まれるチャイルド・スポンサーとの思い出が、いつまでも心に残る大切な物になるよう願っています。
スポンサーサービス課 森 揚子
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