2016年3月11日、私はワールド・ビジョン・ジャパンのオフィスで4月から赴任する福島の子ども支援事業の計画書をとりまとめていました。事業の先輩が海外出張でおらず、なんとかその間に計画書と予算書をまとめなくてはいけませんでした。そしてこの日は福島出身の両親をもつ私の父の誕生日でもありました。5年前の私にとって、5年後に国際NGOワールド・ビジョン・ジャパンのスタッフとして福島で子どもたちのために仕事をすることになるとは思ってもいませんでした。
遡ること2015年10月、ワールド・ビジョン・ジャパンは福島子ども支援事業をスタートさせました。震災から5年が経過しようとしていても、長引く避難生活や原発事故などにより福島県の多くの子どもたちは生活や学び、心身に困難や制約を抱えていました。そこで、福島の子どもたちが安心して生活すること、学ぶ機会が十分に得られること、地域の中で孤立せずに暮らすことを目的に事業が始まりました。この事業は1999年から福島県で子ども・若者支援をしているNPO法人ビーンズふくしまと、ともに活動をしていきます。
2016年1月、私はワールド・ビジョン・ジャパンに入団。そして2016年4月、駐在するため福島県郡山市へ引っ越しました。引っ越しから数日は暖かな春の日和が続きましたが、しばらくすると風がビュービュー吹きひんやりした空気に包まれ、4月の下旬になっても事務所ではストーブとエアコンを両方使っていたぐらいの日々でこれが福島の気候なのだと感じていました。さて、今回の事業の活動内容は主に3つです。
それは①仮設住宅等で生活する子どもの支援(放課後の学習支援や遊び、イベント開催など)
②生活困窮家庭の子どもの支援(主に生活保護世帯の家庭訪問や相談支援など)
③事業の学びを発信するということです。
4月は主に仮設住宅等での支援を中心に実際に子どもたちと関わりながら活動をしていました。一つひとつの現場でたくさんの気づきや学びがあるので、これから毎月紹介していこうと思います。
今月は4月始めに開催した「子ども研修会」という遠足の模様をお届けします。これは福島県の県北地域(福島市、二本松市)の4つの仮設住宅で実施している学習支援に参加している子どもたちが合同で1台のバスに乗って、郡山市にあるスペースパークと本宮市にあるキッズパークに出かけたものです。この県北地域の仮設住宅の子どもたちはほとんどが浪江町から避難してきています。
この行事は普段別々の場所で学習支援に参加している子どもたち同士の交流と、近隣の小学校へ通う子どもたちも参加し、その子たちとも交流することを目的に行われました。その地域に避難している子どもたちと、もともと住んでいる子どもたちが孤立せずに一緒に仲良くなれたらいいなぁという思いがありました。
子どもたちはこの日1日ノンストップで動きまわり、どちらの施設でも笑顔が絶えず皆とても楽しんでいました。キッズパークには屋外と屋内にたくさんのアスレチックや遊具があるのですが、ビーンズふくしまのスタッフはそこで思う存分走り回って遊ぶ子どもたちを見て「この子たちが普段こんなに体を動かす機会はそんなにないのですよ」と話していたのがとても印象的でした。体を動かして思い切り遊ぶとこんなに笑顔になれるのだと学んだ1日でした。
この記事を書いた人
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アメリカ、メイン州立大学子ども発達・家族関係学専攻卒業。「子どもとたくさん関わって経験を積む」ため、大学卒業後都内の学童施設や福祉団体に勤務し、子ども家庭支援センターや知的障がい者の入所施設で働く。「途上国での子どもを取り巻く問題を改善したい」「世界の平和に貢献する仕事をする」と予てから抱いていた思いのため、退職後イギリス、イーストアングリア大学大学院で教育開発を学び卒業。2016年1月にワールド・ビジョン・ジャパンに入団し、支援事業部開発事業課で福島子ども支援を担当している。新聞を隅々まで読むことが好き。
2018年3月退団。
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