「スリランカではテレビでちびまる子ちゃんを放送している(しかも平日の夜九時台に!!)」というのは、もしかするとスリランカ通の日本人の中では常識なのかもしれません。でもスリランカ通ではない自分にとってそれは結構衝撃の発見でした。懐かしさもあり、途中からでしたが見ることにしました。しかし動揺したのか、まる子があの少し抜けてのんびりした声ではなく妙に華奢なインド英語をしゃべっているのを聞くのはとても違和感があり全然ストーリに入り込めませんでした。
インド英語をしゃべるまる子に対する違和感と同様に異様なのが街中に立っている機関銃を持った兵士たちです。以前,某合衆国在住時に、同居していた友人が銃を持っていたり、鹿狩りに借り出されたりしたこともあり比較的銃に慣れていたつもりですが、やはり機関銃を持った兵士の前を通るのはいい気がしません(現在は兵士たちも緊迫した感じはないので特に不安になる必要はない)。ワールド・ビジョン・ランカのスタッフであるスリランカ人が、銃をもった人たちが沢山いるのは不快感を与えてしかるべきで、それに慣れてしまい不快ではなく普通になるというのは、実は悲しいことだという趣旨のことを言っていましたが同感です。この国の人たちが近い将来、銃を持った兵士がいるのが普通ではない生活を送れるようになればと思います。
そもそも何故、スリランカ、特にコロンボ市内に兵士が沢山いるかというと(すでに知っている方もいるかもしれませんが)今年の5月まで20年以上にわたり内戦が行われていたからです。スリランカ、又はセイロンというと、紅茶とビーチで有名なインド洋の島国ですが、小さい国にしてはシンハラ語とタミル語という二つの公用語をもち、宗教上でも仏教、キリスト教、イスラム教、ヒンズー教と多様性を持った国でもあります。しかし同時に民族間の関係が良いとは言えず、特にタミル系の反政府グループと政府軍の間で前記の内戦が繰り広げられていました。
この内戦に伴い30万人弱の戦闘からの避難民がおり、終戦後4ヶ月近い今でも大部分の人たちが避難民キャンプに残されています。避難民は、ほぼ何も持たない状態で避難民キャンプに来ているため、国連、NGO、スリランカ政府によるさまざまな援助が生きるために欠かせません。そこでWVJでもジャパン・プラットフォーム(JPF)という助成金のスキームを通じて援助を行っており、その事業のために自分が今スリランカにいるわけです。
職場で同僚が「戦争は終わったが平和ではない」と言っていました。この一言を自分が本当に理解できるまでどれくらい時間がかかるのでしょうか? 何かと考えさせられる事を言う人たちがいる国です。
PS
ちなみに違う日にテレビをつけたらパーマンが、更に違う日には忍者はっとり君が放送されており、オープニングの歌も日本版を半ば無理やり英訳して使っていました。ちびまる子ちゃんのテーマ曲も英訳されているのでしょうか?知っている方がいたら教えて下さい。
この記事を書いた人
- 米国Washington and Lee大学理学部化学科卒業。在学中にケンタッキー州の都市貧困にかかわるNPOでインターンをした事でNPOの働きに興味を持つ。一般企業で勤務後、帰国し2008年9月にワールド・ビジョン・ジャパンに入団、支援事業部緊急人道支援課に配属となる。2009年から2011年までスリランカ駐在、2013年から2015年5月まで東ティモール駐在。2015年8月に退職し、ロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院でMSc. Public Health in Developing Countries(途上国における公衆衛生)修士号を取得。2016年10月に再びワールド・ビジョン・ジャパンに入団、支援事業部開発事業第2課での勤務を開始。現在、バングラデシュ事業担当。2018年3月退団。
このスタッフの最近の記事
- アジア2018年2月14日置かれた場所は途上国|バングラデシュで人をひとつにするスポーツとは!?
- アジア2017年8月17日バングラデシュを、いろいろな角度から眺めてみると
- アジア2014年5月13日「欲しい」から始まる水道建設
- アジア2013年10月31日ボボナロ漫遊(湯)記