ワールド・ビジョン・ジャパンに入団して一年以上が過ぎ、出張に行く機会も徐々に増えてきました。先日も、事業のモニタリングと研修参加のため、3週間ほどかけて南スーダンとエチオピアに行ってきました。
出張の際に、私が密かに楽しみにしているのが、その国の食事です。エチオピアは紀元前から続くアフリカ最古の国であるためか、食文化が独自で特に面白かったので、そのことについて書こうと思います。
エチオピア料理の中でも特徴的なのが、インジェラという食べ物です。穀物を練って発酵させたクレープのようなもので、ご飯や、辛く味付けされた牛肉や野菜などを包んで食べます。大抵は大きなプレートにインジェラを一枚敷いて、具を上に敷き詰めて、複数人で手を使って食べます。
肝心のお味は…発酵させているため妙に酸っぱく…完食することができませんでした。外国人はインジェラが苦手な人が多いそうです。
エチオピア人のスタッフ曰く、この酸味がまたクセになるそうです。エチオピア人は、地域差はあるものの、昼も夜も、ときには朝にもインジェラを食べるそうです。インジェラで包む中の具も、インジェラを細かくして辛く味付けしたものであるときがあります。私には「インジェラのインジェラ巻き」のように見えてしまうのですが、辛いソースとインジェラの酸味が、なんとも言えない不思議なハーモニーを口の中で奏でるのでした。
また、エチオピアでは生肉を食べる文化があります。辛いソースにからめて生のまま食すようですが、それが現地スタッフいわく、たまらなく美味しいそうです。ちょっと試食したかったのですが、お腹を壊す予感がしたので、これは断念してしまいました。「郷に入っては郷に従う」ことと、自分の体調管理のどちらを優先させるかはいつも悩むところです。
食後には、エチオピアのコーヒーをいただきました。コーヒーを出すことを、エチオピアのスタッフは英語で「コーヒーセレモニー」と説明してくれました。
コーヒーを出す前に、少量の炭にお香を振りかけたものが出されます。その香りを楽しみながら、小さなカップでコーヒーを飲みます。味は濃いめでしたが、コーヒーとお香の香りが妙に心地よかったです。
日本の報道を見ていると、アフリカと言えば、飢餓や貧困、紛争といったイメージが先行しがちです。(そもそもアフリカのことがあまり報道されていないのですが。) しかし、アフリカにも、それぞれの国や地域で「普通の生活」があり、エチオピアの食文化のように、そこに住む人々が誇りを持っている独自の文化があります。
国際協力の仕事をしていると、その国の問題や課題に目が向きがちですが、こうした「日常」のアフリカを伝えることも、出張や駐在で現場を訪れて現地と日本をつなぐ架け橋となるNGO職員の使命かもしれないと思い、今後も遠くの国が身近に感じられるような発信をしていきたいです。
この記事を書いた人
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【経歴】
2010年、北海道大学法学部卒業。
2012年1月、英国のエセックス大学大学院(人権理論実践学)修了。在学中は札幌のNPO法人やガーナ、バングラデシュの人権関連NGOにてボランティア、インターンを経験。
2012年1月ワールド・ビジョン・ジャパン入団。支援事業部緊急人道支援課 プログラム・オフィサー。2014年8月より10カ月間、南スーダン難民支援事業担当駐在員としてエチオピア駐在。
【趣味】
音楽鑑賞、歌うこと、卓球
【好きな言葉】
ある舟は東に進み、またほかの舟は同じ風で西に進む。ゆくべき道を決めるのは疾風ではなく帆のかけ方である(『運命の風』E.W.ウィルコックス)
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