シリアの内戦が始まり2年。170万人を超える人々が周辺のレバノン、ヨルダン、トルコ、イラクなどに避難しています。私の7歳と1歳の甥や5歳の姪と同じ年頃の子どもたちが置かれている厳しい状況を考えると、胸が締め付けられるぐらい悲しくなります。
先日、ワールド・ビジョンのスタッフが、シリアからレバノンに逃れている双子のファラックちゃんとアブダラ君(8歳)に、レバノンでの生活について聞いてみました。
「あっち(シリア)では、とっても怖かった。でも、もうミサイルや銃の音が聞こえなくなった」とファラックちゃん。
「ここ(レバノン)では、もう怖くない」とアブダラ君。
子どもたちは、シリアで自転車に乗ったり、サッカーをして遊んだりして、楽しかった時のことや、シャワーを浴びたり、ちゃんとご飯を食べたことを思い出して話をしてくれました。子どもたちから繰り返し聞いたことは、「お友達や先生に会えないからさびしい。学校に行きたい」という言葉でした。
「どこに住んだり、何を食べたりするかは構わないけど、子どもたちには、なんとしても学校に行ってほしい」と母親のサファーさん。
サファーさんの言葉は心にずっしりときます。今日のことだけを考えているのではなく、これから先のことを考えてのこと。戦争という暴力を経験し、多くのものを失った子どもたちが、いま教育を受けていないと、日常生活に戻った時にどうなるんでしょうか?子どもたちがいま教育を受けることができなかったら、将来、子どもたちが安心して暮らせて、銃声やミサイルを恐れないで済むような未来を築いていくことが出来るんでしょうか?こう考えていくと、紛争下にあっても、食糧・水などと同じく教育を支援することの大切さを改めて気付かされました。
ワールド・ビジョンでは、ファラックちゃん、アブダラ君やそのほかのシリア難民の子どもたちが、レバノンの小学校に編入できるように、レバノンのベッカー高原で教育プログラムを実施しています。また、教育支援のほか、水・衛生、子どもの保護、生活物資の支援を行っています。
「子どもたちはシリアの未来。いま子どもたちが教育を受けなかったら、どうやって社会を変えていくことが出来るのでしょうか?」といった母親のサファーさんの言葉が忘れられません。シリアでの内戦が早く終結し、子どもたちが安心して暮らせるような平和な国になるように願っています。
ワールド・ビジョンがシリアで行う支援事業は、「夏期募金」へのご寄付で実施しています。
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この記事を書いた人
- 大学でスワヒリ語(東アフリカの言語)・アフリカ地域学を学んだ後、在ケニア日本大使館において在外公館派遣員として勤務。そこで、ストリートチルドレンへのボランティアを経験したことから、困難な状況にある子どもたちへの支援がライフワークに。留学、タンザニアでの協力隊を経て、2003年2月よりワールド・ビジョン・ジャパンに勤務。リベリア、スーダン、南スーダン駐在を経て、2010年5月より東京事務所勤務。現在、緊急人道支援課長。関西に住む3人のかわいい甥っ子・姪っ子たちの成長が元気の源。
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