こちらは、エチオピアの地方都市のホテルフロントにあった時計の写真です。
首都アディスアベバは、2時17分。
そして東京も2時17分です。
エチオピアは、日本より6時間遅いのに、なぜ?
どちらかの時計が壊れているのでしょうか?
* * * * *
実は、エチオピアには「エチオピア時間」なるものが存在します。
朝6時に起床すれば、そこからが0時。
朝8時に出勤すると、それはエチオピア時間の2時。
ランチタイムは12時30分スタートなので、エチオピア時間の6時半からお昼を食べることになります。
そのため、この写真の「本当」の時間は、
アディスアベバ:午前8時17分
東京:午後14時17分
なのです。日本とはちょうど6時間ずれているため、時計ではこのように同じ時刻として表示されます。
エチオピアに初めて出張で来た時には、まだそのことを知らず、
「じゃ、会議は午後9時からね」と言われた時に
「え?そんな夜遅くに?」と言ったら、
「あーごめん。『西洋時間』の午後3時ね。9時は “Local time”」と返されました。
世界各国のスタッフが参加するインターネット会議の話をスタッフとする時には、さらにややこしいことになります。
「あの会議、何時からだっけ?」
「5時だよ。」
「それって、エチオピア時間?」
「Local time」
「え?エチオピアのLocal time? 会議場所のLocal time?」
というような会話が繰り広げられます。
駐在を開始して一年経った今では、
「明日は、朝二時にホテル出発ね」と現地スタッフに言われたら「了解~」と返し、
会議の資料で「西洋時間」と“Local time”が混ざっているものがあっても、
「あー、混ざってるな」と気がつくようになりました。
ちなみにエチオピアには「エチオピア暦」も存在します。
キリストの生誕年の解釈の違いから西暦と7~8年の差があります。西暦2017年の今年は、エチオピア暦では2009年です。
(エチオピア暦2009年の新年は西暦2016年9月11日に始まりました。)
エチオピアへの初出張の際、保健センターの壁に「2007年」や「2008年」のデータが貼ってあり、「なんでこんな古いデータはあるのに、去年のデータはないんだろう」と勘違いをしていました。今でもエチオピア暦の日にちはカレンダーを見ない限り分かりません。
以前、駐在していたベトナムでは陰暦が使われていましたが、世界には、まだまだたくさんの「時間」や「暦」があるようですね。混乱することもあるけれど、こういう違いがあるからこそ、この世界は面白いんだな、と思います。
この記事を書いた人
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上智大学比較文化学部卒業(専攻:社会学・文化人類学)。ロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院でMSc. Reproductive & Sexual Health Research修士を取得。
2010年1月 ワールド・ビジョン・ジャパン入団。2012年12月より2016年3月までベトナム、2016年4月から2018年3月までエチオピア駐在。専門領域は母子保健。
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