ワールド・ビジョンでは、2月11日から14日までの4日間、支援地域25コミュニティのリーダー75人(男性61人、女性14人)を招いて「平和」をテーマとしたワークショップを開いた。「平和」という言葉は、今なお2百万人以上が避難生活を行なっているダルフールでは非常にセンシティブなテーマだ。そのため、この種のワークショップはほとんど行なわれてこなかった。
参加コミュニティは、国内避難民キャンプ、国内避難民の帰還先コミュニティや定住コミュニティで、内戦の影響を程度の差こそあれ受けている地域である。ここ何年も、家畜への襲撃、殺し合いを続けてきたため、村同士の交流を一切止めていたニテガとコラバシからもこのワークショップに参加した。ワークショップ開会時には会場には緊迫感があったが、最終日がバレンタインデーと重なったことが偶然とは思えないほど、和やかな雰囲気でワークショップを終えることが出来た(写真:ワークショップの模様)。以下は、ワークショップ終了時の参加者のコメント。
「コラバシ村からこのワークショップに参加できてよかった。お陰で、ダルフール和平協定[i]調印後初めて、ニテガ村のリーダーと会って話をすることができたよ。これがコラバシ村とニテガ村との間の平和への一歩になることを望んでいる。」と語るのはコラバシ村のモハメッド・アバカールさん。
「ワールド・ビジョンが平和ワークショップを開いてくれたお陰で、コラバシ村のリーダーと同室で学び、一緒に食事をとり、話し合いをすることができた。これまで3年間も敵対関係にあったから、このような機会は格別だ。」と語るのは、ニテガ村のムッサ・イブラヒムさん。
「言葉や民族の違うコミュニティからワークショップに参加し、平和について学ぶことができ感謝している。」とガルディ村のアルナジブ・アルブシュラさんは語る。
75人の参加者は各コミュニティに戻って、平和トレーナーとしてワークショップで学んだことをコミュニティの住民にシェアをしていく予定だ。
[i] 2006年5月5日、ナイジェリアのアブジャにおいてスーダン政府と反政府勢力のSLA(ミニ・マナウィ派)との間で調印された。
この記事を書いた人
- 大学でスワヒリ語(東アフリカの言語)・アフリカ地域学を学んだ後、在ケニア日本大使館において在外公館派遣員として勤務。そこで、ストリートチルドレンへのボランティアを経験したことから、困難な状況にある子どもたちへの支援がライフワークに。留学、タンザニアでの協力隊を経て、2003年2月よりワールド・ビジョン・ジャパンに勤務。リベリア、スーダン、南スーダン駐在を経て、2010年5月より東京事務所勤務。現在、緊急人道支援課長。関西に住む3人のかわいい甥っ子・姪っ子たちの成長が元気の源。
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