カンボジア駐在員の李義真です。ワールド・ビジョン・ジャパンの活動にご支援、ご関心をお寄せいただき、ありがとうございます。
ワールド・ビジョン・ジャパンでは、7月1日~31日までの1カ月限定で、チャイルド・スポンサーシップ*の新しい始め方 Chosen[チョーズン] の参加者を200名募集しています。今日は、今回Chosenを実施するカンボジアから、いま子どもたちが置かれている状況や、Chosenがもたらす未来への可能性についてお伝えさせていただければと思います。
*チャイルド・スポンサーシップは、開発途上国に暮らす子どもたちを取り巻く環境の改善を目指してワールド・ビジョンが実施している支援プログラムです。
カンボジアでは、新型コロナの影響で学習環境や家計が悪化し、働かざるをえない子どもも増えました。元々ぜい弱な環境で生きていた子どもたちが、さらに厳しい状況に置かれています。そうしたなか、これまで以上に自分の意思を考え、伝えることが難しくなり、周囲の声に従い、状況に流されて過ごす子どもも増えているように見受けられます。
好きなこと、やりたいこと。心の中にはあるけれど
先月、支援地域で会ったある親子のエピソードを紹介します。
「学校が好き」
小さな声で話してくれたソミニアちゃん(12歳)。
弟のソペアくん(8歳)は、じっと黙っていました。
その前でお母さんが語ります。
「子どもたちには家業(小規模の商売)にもっと時間を割いてもらわないと。そうしないと食べていけないから」
教育が止まりそうな局面、しかし毎日を生き延びるのに精一杯な状況を見て、「学校は続けさせないといけない!」と偉そうに言うことはできず、言葉が出ませんでした。
そして、静かに座っている子どもたちを見て、果たして彼らは「好きなことを好き」「やりたことをやりたい」と伝えられているだろうか、と心に引っかかりました。周りの状況や声に従って日々を過ごすことがどれほど息苦しいだろうか…むしろそれが普通になってしまいあまり考えることもないのだろうか…。
Chosen[チョーズン]では、子どもたちが自らスポンサーを選びます。厳しい生活のなか、自分の意思を伝えることが難しい子どもたちにとって、自分で決断をすることの意義はとても大きく、未来を切り拓く一歩になるのではないかと思います。
実際にこれまでカンボジア国内でも何度かChosenを実施してきましたが、子どもたちの考え方や活動への参加の姿勢が、少しずつ変わっていくのを感じています。
200人の子どもたち全員が「自分で選ぶ」体験をできるように
今回Chosenを実施するボレイ・チュルサール地域では、200人の子どもたちがスポンサーを選ぶ瞬間をワクワクしながら待っています。子どもたちの親・保護者や地域の住民たちも、「子どもが自分で選ぶ」ことをとても前向きに受け止め、楽しみにしています。
Chosenの参加者募集は7月31日まで。現在お申込みいただいている方は74人。
200人全員が「自分で選ぶ」体験をできるよう、お力添えいただけないでしょうか?
「スポンサーを選ぶ」ことは一見小さなことかもしれません。しかし、それは子どもたちに確かに希望を与え、未来に残ります。皆さまのご支援で一歩踏み出すことができる子どもたちがいます。彼らの小さなスタートを、一緒に見守っていければ幸いです。
【Chosen 関連ブログ】
・佐野友紀 子どもが自分の意思で選ぶということ
・山下泉美 Chosen[チョーズン]で夢の後押しを
・山本まどか 「支援」や「寄付」に抵抗を感じる私がChosenに参加した理由
・山下泉美 Chosen[チョーズン]~選ぶ力を子どもたちに。選ばれる喜びをあなたに。
・飯干ノア 私がChosen[チョーズン]に参加した本当の理由
この記事を書いた人
- 大阪大学法学部卒、東京大学公共政策大学院CAMPUS Asiaプログラム修了。その後、約半年間の民間企業での勤務を経て、2018年10月にワールド・ビジョン・ジャパンに入団。2021年2月から2023年4月までカンボジア駐在。2023年7月からバングラデシュ駐在。
このスタッフの最近の記事
- アジア2024年3月6日バングラデシュの女性スタッフと考える国際女性デー
- アジア2023年7月4日「単なる 人助け のためだけに来たわけじゃない」~カンボジア駐在を終えて思うこと
- アジア2022年7月22日カンボジア駐在員が見たChosen[チョーズン]
- アジア2022年1月12日コロナ禍の初駐在~現場で感じた信頼関係と事業力~