【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

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ゴミを拾って生活の糧を得る、ミャンマーのスラムで出会った少女

途上国の子どもたちの厳しい生活をドキュメンタリー形式でお伝えするテレビ番組「世界の子どもの未来のために」 この番組の取材のため、6月、私はミャンマーに向かった。

 

建設ラッシュの高層マンション、すぐ横に広がるスラム

ミャンマーと聞いても、初めは「貧困」とはあまり結びつかない印象があった。経済成長が著しく、海外から多くの企業が進出している。最大都市ヤンゴンには大きなショッピングモールが立ち並び、ファストフードチェーンなど、東京でも見慣れた看板をあちこちで見かける。

右手に見える高層マンションがこの辺り一帯に建設予定だという

 

取材当日、私たちを乗せた車は中心地の活気あふれるエリアを抜け、高層マンションが建つ予定の区画整理された広い空き地を通り過ぎた。まだ何も建っていない空き地の入り口には、パリの凱旋門に似せて作られた大きな門だけが早々と建っていた。いずれここは高級な住宅地となり、ミャンマーの中でも高収入の人たちがこの門を通るのだろう。

車はさらに数分走り、何本か細い通りを曲がると、小さな家々がひしめき合うスラム街に入った。先程の“凱旋門”から、わずかな距離だ。

 

 

ゴミを拾って生活の糧を得る、10歳の少女

ここで、一人の少女に出会った。キンちゃん(10歳)ボーイッシュなショートカットが似合う、可愛らしい女の子だ。細い手足と小さな体からは、5~6歳の子どものようにも見える。「キンは他の子より小さく痩せています。食べ物が足りないから」と、お母さんは悲しそうに話す。

キンちゃん(10歳)小さく痩せていて年齢には見えない

 

「都会に行ったら、苦しい生活から逃れられる」そう聞いて、キンちゃんの家族は地方からヤンゴンに引っ越してきた。でも、お父さんの仕事はみつかず、毎日の食事すら満足に食べられない状態だという。キンちゃんは、3年生で学校をやめることになった。生活費を稼ぐため、仕事をするためだ。

 

仕事は、ゴミ拾い。自分の体よりも大きなリヤカーを押して、道端のゴミを拾い集め、それを売ってお金に替える。スラムの周辺には売れるゴミが落ちていないので、車が行き交う幹線道路を通り、工場地帯まで歩く。そこで、工場で働く人たちが捨てた空き瓶や、空き缶を拾い集めるのだ。仕事を終えるのは、日が暮れる頃。

自分の体より大きなリアカーを押してゴミを探し歩く

 

雨の日、ゴミ拾いの仕事はさらに厳しくなる。東南アジア特有の激しい雨に道はぬかるみ、ゴミをのせたリヤカーはずっしりと重くなる。降り続く雨からキンちゃんを守るものは帽子だけ。足には何も履いていない。裸足だ。

 

雨でぬかるんだ道。裸足で働くキンちゃん(10歳)

 

キンちゃんの小さな手は、雨で冷たく・・・

後ろからついていく私は防水の靴を履き、傘をさしていた。それに比べて、この小さな女の子の無防備な姿がいたたまれず、思わず傘を差し出し、少しの間手をつないで歩いた。キンちゃんの小さな手のひらは、雨で冷たくなっていた。「せめて、今だけでも」そう思いながら、リアカーを押す手伝いをしたのだが、大人が押しても時々止まってしまうほど、ぬかるみは深かった。

本当は仕事なんかさせないで、学校に行かせてやりたい。私のように人生を終えてほしくない」キンちゃんのお母さんは涙ながらに訴える。でも、今はこうするしかこの家族が生きのびる方法がないのだ。

↓キンちゃんのストーリーはこちら↓

https://youtu.be/apYU2XM9q0Q

 

クリスマスまでに、あと3000人の子どもを救いたい。

今、世界で、
10人の1人の子どもが、児童労働に就いている。
5人に1人の子どもが、極度の貧困下での生活を強いられている。
そして、6秒に1人の子どもが、5歳の誕生日を迎えられずに命を落としている。

いったいどれだけの支援があれば、全ての子どもたちを助けられるのかと思うと、気が遠くなる思いがする。

でも。だからこそ、せめて。クリスマスまでに、あと3000人の子どもを救いたい。

目の前にいるキンちゃんすら、傘でその身を守ることしかできなかった私は、帰国後もその時のやるせなさを時々思い出す。でも、だからこそ。小さくても確実な“何か”が、自分にもできると信じて前に進むしかない。

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クリスマスまでに、3000人のチャイルド・スポンサーを募集します。

キンちゃんのように、途上国で厳しい生活を強いられている子どもたちに支援を届けるため、ワールド・ビジョン・ジャパンでは、11/1からクリスマス・キャンペーンがスタートしました。

クリスマスまでに、あと3000人の子どもを救いたい。

あなたの助けを待っている子どもたちがいます。

あなたも、3000人の1人として、今日、チャイルド・スポンサーになっていただけませんか?

 

マーケティング第1部 新規ファンドレイジング課
山下泉美

キンちゃんと筆者

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【関連ページ】

チャイルド・スポンサーになる

ミャンマー連邦共和国:子どもたちはこんな支援地域で暮らしています

 

【山下スタッフの過去のブログ】

バングラデシュ スラムの少女 怖いと感じたら生きていけない

世界最貧国のネパール、ヒマラヤ観光の裏に隠された児童労働

フィリピン、語学留学とスターバックスのすぐ隣にある、スラム

この記事を書いた人

WVJ事務局
世界の子どもたちの健やかな成長を支えるために、東京の事務所では、皆さまからのお問合せに対応するコンタクトセンター、総務、経理、マーケティング、広報など、様々な仕事を担当するスタッフが働いています。
NGOの仕事の裏側って?やりがいはどんなところにあるの?嬉しいことは?大変なことは?スタッフのつぶやきを通してお伝えしていきます。
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