【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

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「N女」の謎に迫る① ~高学歴をもって、なぜNPO業界の道へ?~

=はじめに=

NPO業界で働く女性」が、今、「N女」(エヌジョ)と呼ばれているのをご存知ですか?中でも、高学歴で大企業勤務の経験ありなど、“ハイスペック”な経歴を持ったうえで、NPO業界で働くことを選ぶ女性が「謎めいている」という理由で、注目を浴びています。「N女」という言葉を生み出した「N女の研究」(中村安希著:2016)という本との出会いをきっかけに、私、広報スタッフの堂道が、ワールド・ビジョン・ジャパンで働く「N女」の素顔に迫ってみることにしました。

現在、ワールド・ビジョン・ジャパンに在籍している85名のスタッフのうち68.2% (58名)が「N女」。今回はまず、2017年4月に新しく事務局長に就任した木内「N女」編をお届けします。

2017年4月に新しく事務局長に就任した木内も「N女」のひとり

2017年4月に新しくワールド・ビジョン・ジャパン事務局長に就任した木内も「N女」のひとり

「NPO業界で働くって、ボランティアなんでしょ?すごいね、偉いよね!」

ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)で働くスタッフの多くが、一度は言われたことがある言葉です。私は、女子フットサルチームに所属しているのですが、海外出張するたびに「今度はどんなボランティアをするの?」と聞かれます。「ボランティアじゃないけどね」と心の中で思いながら、ボランティアと思っている仲間に、仕事アピールを兼ねた説明法を探します。「現地の子どもたちの暮らしを、日本の人に知ってもらうためにね…」あたりで、仲間はすでに関心をなくしている様子。まぁ、そんなモンです。

みなさんは、「NPO業界で働く人」のことを、どのように捉えていますか?

私たちは、無償で働くボランティア団体ではなく、生活に困らないためのお給料をいただいています。プロの人道支援団体という意識を持ち、効果的に、そして確実に、最も貧しい子どもたちや地域に支援を届けるために、日々、活動しています。

「うん、まぁそうだろうね」という具合でしょうか?

実は、2017年5月現在、WVJに在籍しているスタッフ85名のうち、44%のスタッフ(37名)が修士号を取得しており(そのほとんどが海外の大学院)、「民間企業で働いたほうがもっとお給料もらえるんじゃないの?」という学歴を持っているスタッフが多いのです!「N女」に関して言及するならば、在籍している58名の「N女」のうち、27名が修士号を取得しています(46.6%)が、高給を目指した就職の選択はしなかったようです。

2017年4月に新しく事務局長に就任した木内も、そのうちの1人と言えます。
高学歴とキャリアをもった木内「N女」は、なぜ、NPO業界の道を選んだのでしょうか?

約30年前、初めて就職活動をした頃のことを思い出しながら、ゆっくりと語られた彼女の言葉を、そのままご紹介します。

「なぜNPO業界の道へ?って難しい質問だねぇ。『なぜ赤が好きなの?』って聞かれてる感じだね。」と、言葉を考える木内「N女」

「なぜNPO業界の道へ?って難しい質問だねぇ。『なぜ赤が好きなの?』って聞かれてる感じだね。」と、言葉を考える木内事務局長

Q. 新卒として就活していた頃、収入についてどのように考えていましたか?

就活していた時の、自分なりのポイントは、<やりがい>でしたね。「何か」か「誰か」の役に立てるようになりたい、そしてその道のプロになりたい、と思っていました。
収入は、生活していくには必要だと分かっていましたが、収入の多寡で就職先を決めよう、という考えはなぜかなかったです。

Q.なぜ、いつ頃から、そのように考えるようになったのですか?

親の仕事の関係で、中学校の3年間をフランスで過ごしました。世の中には、日本では見られないような人種差別の問題や、そこに起因する貧困や格差の問題があることを初めて知りました。フランスには、アフリカ系の人もたくさんいたので、アフリカのニュースも良く流れ、そういうものを見ているうちに、同じ地球で、同じ時間(とき)に、全然違う生活を送っている人がいるんだなぁ、と感じたことがきっかけだったと思います。

その頃から、途上国と呼ばれる場所に自分の身を置いて、何かできることはないか考えてみたかったですね。

私も、生活できるだけの収入は必要ですし、時々洋服も買いたいし、旅行にも行きたいし、iPhone も新しくしちゃったし、そういう物欲はあります。だけど、すごい贅沢をしながらも自分の納得がいかない仕事をするより、生活ができる収入をいただけるのであれば、<やりがい>を感じる仕事をしていたいですね。

Q. 人によっては、生活のために<やりがい>を諦めざるを得ないこともあると思いますが、そのあたりはどう考えていますか?

そうですね。生活のために<やりがい>をあきらめざるを得ない場合もたくさんあると思います。とくに格差が広がっている今の日本では、その傾向は強くなっているのかもしれません。そのこと自体は、社会全体が課題として捉えて、新しい価値を創り出すようなクリエイティブな仕事を応援したり、働く環境や働き方を変えていく試みが大切だと思います。ですから最近とくに、やりがいを感じながら仕事ができること自体が、ものすごく感謝すべきことなのだという思いを強くしています。

他方もし選択肢が、生活にはまったく困らず、贅沢もできる高収入でも<やりがい>がない、というオプションと生活はそこそこできるレベルの収入でも<やりがい>がある、というオプションの二択だったら、私は迷わず後者をとります。
その想いは、子どもが産まれてからより強くなりましたね。
息子がまだ小さい頃、彼を置いて仕事に出ることに罪悪感があったんです。でも、幼い子どもを預けて働くからには、「お母さんは、この働きをすることにやりがいを感じている」という背中を息子に見せたかったのです

熊本へ支援に向かう木内事務局長(左)

熊本へ支援に向かう木内事務局長(左)

WVJには、ママとして働いているスタッフも多くいます。まだ幼い子どもを連れて、途上国に駐在する「N女」もいます。「ママN女」もいつか取り上げてみようと思います。
さて、次回の予告です。第二弾のテーマは、「学歴はやっぱり大事?」。最近は、学歴よりも「ひらめき力」などと言われたりしますが、2つの大学院で修士号を取得した木内「N女」は、現代の日本社会における学歴をどのように考えているのでしょうか?

ご期待ください!

マーケティング第2部
コミュニケーション課
堂道 有香

 

この記事を書いた人

WVJ事務局
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世界の子どもたちの健やかな成長を支えるために、東京の事務所では、皆さまからのお問合せに対応するコンタクトセンター、総務、経理、マーケティング、広報など、様々な仕事を担当するスタッフが働いています。
NGOの仕事の裏側って?やりがいはどんなところにあるの?嬉しいことは?大変なことは?スタッフのつぶやきを通してお伝えしていきます。
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