=はじめに=
「NPO業界で働く女性」が、今、「N女」(エヌジョ)と呼ばれているのをご存知ですか?
中でも、高学歴で大企業勤務の経験ありなど、“ハイスペック”な経歴を持ったうえで、NPO業界で働くことを選ぶ女性が「謎めいている」という理由で、注目を浴びています。「N女」という言葉を生み出した「N女の研究」(中村安希著:2016)という本との出会いをきっかけに、私、広報スタッフの堂道(どうみち)が、ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)で働く「N女」の素顔に迫ってみることにしました。
現在、ワールド・ビジョン・ジャパンに在籍している85名のスタッフのうち68.2% (58名)が「N女」。今回からは、スタッフ編をお届けします。
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「ワールド・ビジョン・ジャパンって、覚えにくいですよね。
初めて団体を知ったとき、ワールド・チルドレンだったかな、とか、セーブ・ワールドだったかな、とか、なかなか覚えられなくて(笑)」
そう笑って話すのは、「N女」歴4カ月の新入団スタッフ、平田優子さん。
彼女は、大手外資系金融会社のゴールドマン・サックス証券会社から突然「N女」になった、まるで「謎めく女性」のお手本のようなスタッフです。
なんで、なんで?なんで!?!?!?
そんな日本中の皆さまの疑問に答えるべく、今回は、平田「N女」の謎に迫ってみました!
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Q. ゴールドマン・サックスではどんな仕事をしていたのですか?
私は、17年間、ファイナンス部門(財務)で仕事をしていました。債券とか株式を売り買いするトレーディング部門の収益管理や、ファンドに投資しているお客様に対してリターンの分析をして、情報を提供する部署にいました。(私の頭ではついていけず、メモをうまく取れないという、プチパニック状態)
Q. ゴールドマン・サックスの1番好きなところは?
「やりたいと思った仕事をやらせてくれる」ところですね。しかも、新卒の時から。私は大学時代に「簿記」という、会社の1年の活動が一発で見える、しかも万国共通で採用されている、という完璧なシステムに魅了されて、経理、会計学、米国公認会計士の勉強などをしました。なので、就活の時は、入社してすぐに経理の仕事をしたかったのですが、「まずは営業職から」という会社が多くて。その中で、ゴールドマン・サックスは、「入ったその日から経理の仕事ができる」と言ってくれたので、魅かれて入社しました。挑戦するガッツを認めてくれる企業文化が強いので、経理業務以外にもたくさんの仕事をさせてもらいました。
あと、人柄が良い人が集まっています。内定もらうまでに10~12人ぐらいと面接したのですが、そこで会った全ての人たちの話に親和性を感じ、「こういう人たちと働きたい」と強く思いましたね。
Q. そのような選び方でゴールドマン・サックスに入社したということは、ワールド・ビジョンにも同じものを感じたのですか?
すごく感じました。
面接した人は10人もいなかったですが、最初から「こういう人たちと働きたい、学びたい」と感じました。1~1.5時間お話しする中で「働くってどういうこと」とか「1度しかない人生をどう使いたいのか」とか、そういうところに深い意識を持っている人が多いんだなぁ、と感じました。
Q. 17年も勤めたゴールドマン・サックスを辞めたきっかけは何ですか?
信頼して尊敬していたマネージャーが、若くして突然退職したことが1番のきっかけですね。あと、当時の私は、後進指導(人材育成)をするポジションにいたので、なんていうか、人間としての成長が止まる気がしたんです。もちろん、部下を育てるのも人間として成長できるのは分かっていたのですが、違う成長をしたかったんですよね。十分なお給料はもらっていましたけど、もともと入社の動機に高給はなかったので、高給は Job satisfaction (仕事への満足度)に結びついていなく、高給を捨てることにあまり迷いはなかったです。
それでも、世間を知らなかった私を大切に教育してくれて、貴重な経験の場を与えてくれたゴールドマン・サックスには本当に、心から感謝しています。
Q. 次の行き先を、なぜワールド・ビジョン(NPO業界)に?
小・中・高の夢のひとつが、国連で働くことでした。会計学と出会って、いい意味で(笑)道はずれたんですけど、やはり関心と憧れはずっとありました。
毎日、会社で8~9時間過ごす間に、「他の人のためになっている」とか「つらい状況にある人たちに、希望を与えるようなことをしている」ことをもっと直接的に実感できるほうが、私にとってはずっと幸せなように思います。WVJは、友人がスタッフとして働いていたので知っていましたが、ちゃんと知ったのは、応募したときです(笑)。ワールド・チルドレンだっけ、とか、セーブ・ワールドだっけ、とか、最初はなかなか覚えられなかったですね。
Q. ゴールドマン・サックス時代と今だと、だいぶ給料が違うと思いますが、生活は変わりましたか?
あまり変わらないかも。お給料はたくさんもらっていましたが、貯金していたので、毎月使うお金は変わらないですね。ただ、ゴールドマン・サックス時代は、買おうか迷ったものは買ったんですけど、今は買わないです(笑)
Q. ゴールドマン・サックス時代の友人に、今の仕事のこと話したりしますか?
話して、新しい名刺を渡すんですけど「へぇ~」で終わります(笑)
やっぱり、「どこどこのワインがおいしい」とか「どこどこのホテルが良かった」という話題に移ってしまいますね。
そういう時、NGOって、本当に知られていないんだな~と感じます。他方で、海外の友だちは「WV知ってるよ、どういう業務を担当してるの?」と聞いてくれる人が多いです。日本と海外で、いかにNGOやWVに対する認識が違うか、というのを痛感しています。NGOの活動を知ってもらう、もっといえば、NGOを支援することによっていろんなカタチの社会参加ができることを知ってもらう、それが今の私のチャレンジだと思っています。
Q. ゴールドマン・サックスとワールド・ビジョンの1番の違いは何だと感じていますか?
これは先輩から言われたんですが、証券業って、おおざっばにいうとゼロサムゲームなんです。(ゼ、ゼロサムゲーム?プチパニック状態、ふたたび)はい、つまり、証券の売買において、ドコカが勝つ(=儲ける)と、ドコカが負ける、全部足すとゼロになる世界です。また、お客様とのお付き合いは基本的に一対一です。でも、WVJは、たくさんのパートナーとWIN-WIN の関係を築き、 1 +1から3とか4の成果を生み出そうとしていますよね。そのダイナミックさが新鮮だと思ってます。
あとは、WVJのスタッフは、コミュニケーション能力がすごく高い!開発経済とか人道支援とかそれぞれの分野の専門知識を備えているのはもちろんのこと、相手が考えていることを汲み取って思いやりを持って接するのがとても上手だと思います。支援事業地で厳しい状況に生きる住民に寄り添う仕事をしている人たちの習性なんでしょうね。団体内のコミュニケーションがスムースで無駄がなく、非常に心地良いです。
Q. 将来的には、ゴールドマン・サックスとWVJがパートナーとして繋がれるといいですね!
そうですね!ゴールドマン・サックスは会社として社会貢献活動に熱心に取り組んでいるので、粘り強くアプローチしたいと思います。
今、私は、個人と企業の両方に支援事業を提案する仕事をしていますが、日本の企業のあいだでも社会貢献を積極的に推進する会社が増えてきているので、先輩スタッフや上長に色々と教えてもらいながら、社会課題に長年取り組んできたWVJならではの提案をしていけるようになりたいです。
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皆さまに、聞き手(わたし)のパニック感が伝わったか分かりませんが、ハイスペック「N女」の話についていくのって、大変なんです。流暢、かつ知的に、金融業界やそこからのキャリアジャンプ(転職)について話す平田「N女」を私は何度も遮り「も、もう1回言ってください」と、、、謎の汗だくです。
大手外資系企業から「N女」になったストーリー、いかがでしたか?
次号も、大手外資系企業から「N女」になったスタッフを特集します!!!!
彼女の名は?
どうぞご期待ください!
マーケティング第1部
コミュニケーション課
堂道 有香
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【関連ページ】
・「N女」の謎に迫る① ~高学歴をもって、なぜNPO業界の道へ?~
・「N女」の謎に迫る② ~何でみんな「高学歴」なの!? 学歴ってやっぱり大事?~
・「N女」の謎に迫る③ ~国際協力に、英語ってどれくらい必要!?~
・堂道スタッフの過去のブログ① ここでは、涙の数だけ、強くなれない
・堂道スタッフの過去のブログ② 「生きていれば、また会える」という嘘
・ワールド・ビジョン・ジャパンの採用情報
この記事を書いた人
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世界の子どもたちの健やかな成長を支えるために、東京の事務所では、皆さまからのお問合せに対応するコンタクトセンター、総務、経理、マーケティング、広報など、様々な仕事を担当するスタッフが働いています。
NGOの仕事の裏側って?やりがいはどんなところにあるの?嬉しいことは?大変なことは?スタッフのつぶやきを通してお伝えしていきます。
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