【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

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白熱!バスケ試合@難民キャンプ

「将来のバスケットボール南スーダン代表選手がここに?!」
なんて、思わず感じてしまった白熱の試合。実は、難民キャンプの敷地内にある中等学校に通う生徒たちによる試合でした。今回のブログでは、先日エチオピアのガンベラ州にあるジョウィ・南スーダン難民キャンプで開催されたバスケットボールの試合を観戦したときの様子をご紹介します。

プレーする生徒はもちろん、応援する生徒も大盛り上がり!!
イキイキとした生徒たちの表情が、今も私の目に焼き付いています

晴天の空の下、ユニフォームを着て整列!試合開始!(ユニフォームも支援によって提供が実現できました)

晴天の空の下、ユニフォームを着て整列、試合開始!(ユニフォームも支援によって提供)

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ワールド・ビジョン・ジャパンは、2014年より南スーダンの紛争から逃れてエチオピアに避難してきた難民の子どもたちを支援しています。ジョウィ難民キャンプには、2016年まで中等学校(日本の中学3年から高校)がなく、小学校の卒業生は、教育を受け続けることができませんでした。選択肢が限られた難民キャンプでの避難生活でも学び続けることができるようにと、ジャパン・プラットフォームによる助成金と皆さまからのご支援により、2016年から中等教育支援を開始しました。
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スポーツクラブの生徒たちが開催したクラス対抗バスケットボール・トーナメントの記念すべき第1試合。時間は、朝11時頃。太陽は高く昇り、容赦なく降り注ぐ強い日差し。要するに、この日のガンベラ州はとにかく暑い!気温は、40度近くあったかも。
「この暑い中、屋外コートでバスケ?!いやいや、私が生徒だったらさぼりたい…」と、本気で思いました(笑)。

ところが、生徒たち、コートの周りを囲んで、大盛り上がり!試合開始前から、応援の声に熱が入ります。試合が開始したら、さらにエキサイト!女子生徒たちも、選手がシュートを打つとキャーキャー(これぞ「黄色い声援」か?!)。「好きな子がプレーしているのかな?」中学なんて、もう〇年も前の私、ついつい、生徒たちの純粋な気持ちに少し感動してしまいます。あっ、でも周りを見渡してみたら、ちょっと離れた木陰でたむろしている生徒たちも。「これは(これも)、日本の中学と同じ光景!?」と、思わず笑ってしまいました。

ナイスパス!このままアリウープ(ジャンプしたままダンク)なるか?!長身の南スーダンの生徒たち、バスケがとっても似合います

ナイスパス!このままアリウープ(ジャンプしたままダンク)なるか?!長身の南スーダンの生徒たち、バスケがとっても似合います

こんな平和な中等学校の1日。まるで、当たり前のことのように書いてしまいましたが、ここは、あくまでも南スーダン難民が暮らす難民キャンプ。
決して、平坦な道のりではないのです。

まず、私たち、支援者側の視点。
支援を届けるには、常時、大小さまざまな問題があります。急展開は日常茶飯事。停電による国のシステムや通信システムの停止、なかなか約束を守ってくれない業者(多数!)、同僚のマラリア感染、難民支援に関わる様々な団体(エチオピア政府、UNHCR、他NGO等)との度重なる調整会議、事業地への急な政府関係者VIP訪問により予定していた活動がすべてキャンセル、そして、民族間の対立による急な治安悪化のリスクもあります。そんな中、私の課(緊急人道支援課)の先輩スタッフをはじめ、ワールド・ビジョンのスタッフが日々健闘してきました。今日も、少しでもより良い支援を届けようと奮闘しています。

そして、最も大切な、難民の生徒たちの視点。
命の危険を感じて南スーダンからエチオピアに逃げてきた生徒たちの中には、目の前で大切な人たちを失った経験をもつ子どもたちもいます。母国・南スーダンの情勢は未だ落ち着かず、帰国の目途は立ちません。難民キャンプでの生活は困難が多く、満足のいく衣食住が得られないことがあります。大人になる過程の中で、「この先どうなるのだろう?将来はどうなるのだろう?」と不安な思いが強まります。

だからこそ、今思い返してみると、この日こうして中等学校に通う生徒たちにとって、この限られた時間だけでも、「平和に」バスケットボールの試合ができたことは、特別なことだったのかもしれません。プレーした選手も、観戦していた生徒たちも、とっても楽しそうでした。

教育を通じて、南スーダン難民の生徒たちが、将来と希望を取り戻すことができますように

教育を通じて、南スーダン難民の生徒たちが将来と希望を取り戻すことができますように

キャンプからの帰り道、ガンベラ州で一緒に働く同僚たちと、こんな会話をしました。

「このジョウィ難民キャンプ中等学校の卒業生から大学に進学できる生徒がいるといいよねぇ!」
「そうそう、いつか南スーダンの大統領になって、平和な国の指導者になってくれるといいよねぇ!」

この夢がいつか現実になるように、生徒たちが将来への希望を取り戻すことができるように、南スーダン難民のための教育支援を続けていきたいと思っています。
ぜひ、難民支援のための募金にご協力ください

ワールド・ビジョン・ジャパンは、故郷を追われた人々への物資支援とともに、子どもたちへの補習授業による教育支援を行っています。今、手を差し伸べることで、子どもの未来は変わります。
募金は、紛争により避難生活を送るなど困難な環境にいるシリア南スーダンの人々のために役立てられます。詳しくはこちら>>

撮影。日本では身長が高い方の私が、ここではだいぶ小柄に(ちょっと嬉しい!笑)

生徒たちと一緒に写真撮影。日本では身長が高い方の千田スタッフ。「ここではだいぶ”小柄”になれるので、ちょっと嬉しい!笑」

支援事業部 緊急人道支援課 プログラム・オフィサー
千田 愛子

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【関連ページ】
世界の問題と子どもたち:世界の難民危機と子どもたち
ワールド・ビジョン・ジャパンの緊急人道支援
TAKE BACK FUTURE キャンペーン
3分でわかる南スーダン ~南スーダンって、どんな国?~
「世界難民の日」特別シンポジウム(2018年6月2日開催)

 

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この記事を書いた人

古賀(千田)愛子
大学卒業後、民間企業に2年間勤務したのち、NGOのキャンペーンスタッフやインターンとして開発支援に関わる。
その後、一般社団法人での南スーダン能力開発プロジェクトのコーディネーターを経て、2015年7月にワールド・ビジョン・ジャパン入団。
南スーダンの教育支援事業とWFP(国連世界食糧計画)の食糧支援事業を担当。
2020年2月家庭の都合により退団。2021年7月に再入団。マーケティング第2部サービス開発課に所属。
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