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入団のきっかけ~私を襲った4つの災難 その2

それから数日後、私は先住民の人々の村が点在する、美しい湖のほとりを旅していた。しかし、穏やかで風光明媚な風景にはまるで似つかわしくない状況に私は陥っていた。

猛烈な腹痛、下痢、嘔吐、悪寒、高熱。

img20110920_2さわやかな気候なのに、体の震えが止まらず、歯がカチカチとなった。胃を思いきり雑巾絞りにされるような激痛が走るたびに、勢いよく便が排出されたが、形状を成していたのはごく最初だけで、すぐに液体に変わった。胸の奥からは後から後から吐き気が込み上げてくる。(食事中の方、ごめんなさい)

トイレではひっきりなしに便器に座ったり、かがみこんだり忙しい。冷たい汗が噴き出して滝のように体を流れ落ちていく。

そうして安宿のトイレで一晩中、七転八倒した翌朝、這うように村の診療所へ出かけた。医者は、本来は入院が必要だがこの村には設備がないので、何とかこれで回復してね、と抗生物質らしき薬を処方してくれた。

宿に戻り、朦朧としながら書きとめた病名を辞書で調べてみると、「細菌性赤痢」とあった。…赤痢!?それは日本でかかると隔離入院させられて、保健所から家に消毒がやって来るというあれだろうか。原因はどうやら前日の昼食のパスタに入っていたバジルらしいが、それくらいでそんな大層な病気になるのだろうか。

img20110920_3しかし私の疑問を力強く打ち消すように、便には血が混じるようになった。一人旅の病気には何とも哀愁が漂う。宿のベッドに横たわったまま、食事も摂れず、体中の水分とエネルギーを振り絞り、使い果たし、1週間が過ぎた頃、私は何とか病魔に打ち克って死の淵(?)から生還した。すっかりパサパサの干物になった気分だった。

ようやく旅を再開できて間もなく、国境を越えて新しい国へ入った。

国境を越えるかどうかが生死の分かれ目となるほどの重みを持つ国境越えも悲しいことに世界には星の数ほど存在するが、気楽な日本人旅行者にとっては楽しいイベントである。国境を越えると通貨が変わり、食事が変わり、町の様子や言葉、人々の顔立ちも少しずつ違う。

その日の国境越えは川下りをしながらボートで国境を渡るという、ちょっと珍しいもので、豊かな自然を堪能しながらの楽しいものだった。夕方、国境からほど近いのどかな村にたどり着き、小さなホテルに宿をとった。地元の人向けの食堂で初めてその国の料理を味わい、機嫌よく宿に戻った。赤痢で痛めつけられた胃はようやく本来の役割を思い出していた。

しかしそんな幸せな気分も宿の入り口の暗がりで段差につまずいた瞬間、吹っ飛んでしまった。どういうつまずき方をしたのか、手をつく間もなく、私は猛スピードでコンクリートの床に激突し、思いきり顔面をぶつけた。左上の前歯が折れ、血が飛び散った。額には巨大なたんこぶができ、顔も唇も見る見る腫れ上がってきた。鏡を見るとまるでゾンビである。我ながら恐ろしく、慌てて診療所の救急窓口へ走った。

(その3に続く)

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