ワールド・ビジョン・ジャパンは、厳しい貧困に生きる子どもたちのことを日本の皆さまに知っていただくため、ドキュメンタリー番組「世界の子どもの未来のために」を制作しています。この番組制作を支えてくださっているプロデューサーの梅原さんが、世界の子どもたちとの出会いを通して感じた想いをブログにしてくださいました。
ワールド・ビジョン・ジャパン制作テレビ番組「世界の⼦どもの未来のために」
プロデューサー 梅原 力(うめはら りき)
この夏、わたしは撮影のためにカンボジアのスラムを訪れました。
10年ほど前からワールド・ビジョン・ジャパンのテレビ番組の制作チームにいたのですが、現地に赴いて撮影に同行するのは初めてでした。
周りのスタッフたちはカンボジアやミャンマー、ネパールなどでこの番組の撮影を経験していました。ゴミ山で生きる子どもや、家とも言えない場所に住んでいる子どもたち。撮影現場の話は聞いていましたし、映像でも見ていたのですが、正直、日本に住んでいる私にはその現実をうまく想像できませんでした。
カンボジア、プノンペンの空港に到着した時、ホテルまでの移動の間、道路には高級車が走り、高層ビルがたくさん建っていました。こんな場所のすぐ近くに、スラムが存在するという事が不思議な気がしました。
30分ほど車に乗ると、トタンで出来た簡易的な住居が何軒も連なっている場所に着きました。車を降りると、独特な匂いが充満しています。
学校に行っていないのか、平日の午前中なのに、サンダル履きでサッカーをしている子どもたちもいます。芝生でもコンクリートでもない、砂利やガラス片があるところで子どもがサッカーをしているというのは、日本では見たことのない光景でした。
今回の渡航で私が一番印象に残った出会いは、ソリカちゃんという女の子でした。
彼女は耳の不自由なお父さんと、スラムの一番奥まった4畳半ほどの場所に2人で暮らしていました。バイクタクシーの仕事をしているお父さんは、お客さんの声が聞こえないのでソリカちゃんも一緒に乗って、お客さんとの交渉役を務めます。
早朝の新聞配達の仕事にもついていき、お金のやり取りをソリカちゃんが担当していました。午後はソリカちゃん一人で屋台の仕事をし、夜はベビーシッターの仕事をして生活費を稼いでいました。その合間をぬって学校の勉強をし、成績もクラスでトップと聞いて驚きました。
インタビューで話を聞くと、お父さんはソリカちゃんに申し訳ない気持ちでいっぱいな様子でした。それでも自分ができる精一杯で愛し、成長を願っている姿に胸を打たれました。
ソリカちゃんはそんなお父さんのことが、大好きでたまらないといった感じでした。お父さんがいてくれることに、感謝していました。
二人のインタビュー中、私はなぜだか現場で涙が溢れ、嗚咽が止まりませんでした。カメラは回っています。音を出すわけにはいきません。撮影する側の人間なのにプロ失格です。
わたしにも二人の娘がいます。だから、娘を愛するお父さんの気持ちが痛いほど伝わってきました。こんなにがんばっているのに、どうしようもない現実が切なくて、涙がとまりませんでした。
わたしの涙をよそに、ソリカちゃんの目は強く輝いていました。
「学校の先生になりたい」という夢に向かう、信念のようなものを感じました。
今回初めてスラムの撮影現場に立ち会った私は
“もっとこのことを日本や、世界の人に知ってほしい”と心から思いました。
日本だったら12歳の子どもが学校に行けず、働かなくてはいけないなんて想像も出来ません。ただ、ここではそうならざるを得ない。
どこの国に住んでいても、子どもたちには夢は叶えられるという希望を持って欲しい。
そのために私たち大人はどうすればいいのか。
この番組を見た方に、少しでもそういう想いが芽生えてくれたらと思います。
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ソリカちゃんのような子どもたちのために、今、あなたにできることがあります。
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この記事を書いた人
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世界の子どもたちの健やかな成長を支えるために、東京の事務所では、皆さまからのお問合せに対応するコンタクトセンター、総務、経理、マーケティング、広報など、様々な仕事を担当するスタッフが働いています。
NGOの仕事の裏側って?やりがいはどんなところにあるの?嬉しいことは?大変なことは?スタッフのつぶやきを通してお伝えしていきます。
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