ワールド・ビジョン・ジャパンは、日本政府の助成と企業からのご支援、一般の方から寄せられている募金で、アフリカ南部の国、ザンビアで、酪農支援事業を行っています。支援地は南部州マザブカ郡の、貧しい小規模農家が住む地域です。
小規模農家とは、自給自足のために農業を営む農家ですが、中でもこの事業では、エイズで親を亡くした遺児を引き取っている農家や、夫をエイズで亡くし女手一人、あるいは第2、3夫人となり、厳しい環境の中、子どもを育てている女性農家を、支援の対象にしています。
農家に妊娠した繁殖牛を貸与するとともに、適切な飼育方法を指導したり、餌となる牧草地の造成などを支援しています。
また、牛の病気に詳しい地域の獣医役の育成も行う予定です。
その結果、家計が安定し、女性や子どもたちの栄養状態も改善されることを目指しています。
この支援事業に参加している農家の方をご紹介します。
(1) ハンフィさん(男性40歳、奥さんは34歳)
両親の代まで(約20年前)は牛を持っていたが病気で全頭失い、それ以来、厳しい生活を送っている。
エイズで両親を亡くした姪(13歳)を引き取って、10歳、4歳、2ヶ月の子どもと一緒に育てている。
子どもの頃、牛を飼っていたことを覚えているので、事業活動への関心が高くとても積極的。
(2) ンポレレさん(女性55歳くらい)
ご主人には複数の奥さんがいて、ンポレレさんは第3夫人。
ご主人は近所に住んでいて、牛舎を建てるのを手伝ってくれたり積極的。娘の一人は若くして妊娠、いまは2人の子どものシングルマザーになっている。
その他、親戚のエイズ遺児も引き取っていて、6人の小さな子どもを育てている。
(3) 女性農家(名前や年齢は聞けませんでした)
10人の子どもを育てていて、2人は前のご主人との子ども(うち一人は最近、15歳で結婚)、3人はエイズ遺児(エイズで亡くなった叔父さんの子ども)、あとの5人が現在のご主人との子ども(一番下は生後6ヶ月)。特に、エイズ遺児を引き取っていることで、今のご主人からは良く思われておらず、自分も第2夫人であるため、厳しい生活が続いていた。事業に参加して、自分が自立出来る一歩を踏み出したいと思っている。
他にも、色々な背景・問題を抱えた方が、いまの生活を少しでも良くしたい、という思いで、この支援に参加しています。
次回また、活動の様子について、お伝えしたいと思います。
この記事を書いた人
- 埼玉大学工学部卒、英国マンチェスター大学(UMIST)IDPMにて開発プロジェクト計画・管理修士課程修了。国土交通省の公益法人でODAインフラ事業の形成業務や欧米諸国の建設行政に係る調査業務等を経て、2002年から2年間、UNDPタイ事務所へJPOとして赴任。2004年から約1年半、JICA東京にて都市開発課題の技術協力コンテンツ開発業務等に従事。2006年1月にワールド・ビジョン・ジャパン入団。
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