キャンプでの食糧配給に参加してきました。現在は食糧といっても米のみの配布です。米はハイチでも主食。炊き込んだり炒めたり、米を使った料理のバラエティーは豊富ですが、日本人の私からするとどれもちょっと脂っこいのが特徴です。
以前もプレスリリースを通じてお伝えしていますが、この食糧配布はワールド・ビジョンがWFP(国連世界食糧計画)とパートナーを組み、一定期間毎日実施してきたものです。
今回の食糧配布はこんな流れで行われています。
1. 事前に配布対象者にクーポンを配布
2. クーポンを受け取った人は、決められた配布日時に所定の場所に集まる
3. 名前を確認・登録
4. 再度列に並ぶ人々がクーポンをもっているか確認
5. 食糧の受け渡し
6. クーポンを担当者に渡して、家に米を持ち帰る
男性たちがトラックに群がり様々な混乱と暴動があった反省や、米が女性に行き渡らないという課題から、女性が配給場所に来て米を受け取るような仕組みになりました。その量、25キロ!
ハイチでは、特に女性は、重たいものはみな頭にのせて運びます。それが難しい場合は、引きずるしかありません。健康な若い人ならともかく、年輩の人、妊娠している人、障がいのある人は大変です。
でも運搬の助けも同時に提供しているので、米を受け取った人々はみな嬉しそうに帰っていきます。今回、私が参加したキャンプでは混乱はほとんどなく、システマティックに配布が終了しました。
一見うまく回っているこの配布システム。でも、実はここにまた別の課題があるそうです。
それは、ここで配布された米がそのまま受け取った人の台所に行くことは稀で、その多くは持ち帰るその足で市場へ運ばれ、ほかの必需品と交換されるということが確認されていることです。
またせっかくうまく機能しだしているこのクーポンシステムも、偽クーポンが出回ったり、クーポン自体が売買されたり、だんだんと知恵比べになってきています。
今後、米以外の食糧配布も検討していますが、ほかの物資との交換が難しくなるからという理由で別アイテムの配布に難色を示す被災者も多いそうです。
WFPでもワールド・ビジョンでも、配布された米がきちんと被災者の食事に繋がるよう、モニタリングシステムを確立させようとしていますが、一筋縄にはいかない問題の根深さを垣間見たような気がします。
この記事を書いた人
- 神奈川県生まれ。早稲田大学・同大学院理工学研究科にて、アジアの建築史について学ぶ。在学中に阪神淡路大震災でボランティアを経験したことから、防災や被災地支援がライフワークに。卒業後は建設コンサルタント会社に勤務。自然災害を中心とした国内外のインフラ事業に従事する。2008年6月、ワールド・ビジョン・ジャパンに入団。サイクロン後のミャンマー、大地震後のハイチで復興支援に取り組む。東日本大震災後は、一関事務所の責任者として岩手県に駐在した。2014年4月から、アフリカのスポンサーシップ事業を担当後、支援事業部 開発事業第2課に所属。2017年1月から2019年12月までネパール駐在。2020年1月退団。2024年4月、ワールド・ビジョン・ジャパンに再入団。ネパール駐在。
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