行動変容は外部からの情報だけでは起こりえない。「トイレの後に手を洗わずにご飯を食べると病気になるんだ」、「浄水装置からきれいな水を汲んでも水を入れる容器や水がめが汚かったらお腹をこわすんだ。」というひとりひとりの気づきが必要だ。
ワールド・ビジョンはジャパン・プラットフォームと支援者の皆様のご支援をいただいて、シルック王国パニカン郡において、浄水装置と公共トイレを現在建設している。建設と並行して、地域の人々がこれらの施設を長期的にまた安全に使用するために、また水に関する疾病予防のために、7月24日~28日の間、保健衛生普及員5人とパカン保健所のスタッフ1人に対して保健衛生トレーニングを実施した。トレーニングに参加した保健衛生普及員は、①ボランティアで地域の環境衛生向上のために働ける人、②地域の人々から尊敬を受けている人という選考基準で、ワールド・ビジョンの活動地域の村長に選ばれた、非常に熱心な普及員だ。
トレーニングでは、保健衛生と健康の相関関係を明らかにする、地域住民が互いに尊重しあう、また環境保全、保健衛生・水施設の利用方法や管理に関する計画づくりを身に付ける、といったことを学習し、地域の人々の気づきへのお手伝いすることが狙いだ。ひとりひとりの参加により、(1)保健衛生に関する問題発見、(2)発見された問題の分析、(3)問題の解決に向けた計画作り、(4)最もよい解決策の選択、(5)新しい方策と行動変容に向けた計画作り、について学んだ。学びの締めくくりは、パカン小学校の児童50人(1年生~5年生)を対象とした、トレーニング参加者による家庭内での保健衛生についての寸劇だ。寸劇の後、手洗いの大切さ、身の回りを衛生的に保つことの大切さについて話し合った。
寸劇を終えて、参加者のひとりアブラハム・ダックさん(ドール村在住)は、「今回のトレーニングを通して自分の家がいかに汚いか分かった。村の人々に保健衛生のことを語る前に、自分の家をきれいにしないといけないということが分かった。」と語ってくれた。
今回のトレーニングが地域の人々の行動変容への第一歩となるように、保健衛生普及員が各地域で、また小学校で保健衛生啓発キャンペーンを実施する予定だ。
この記事を書いた人
- 大学でスワヒリ語(東アフリカの言語)・アフリカ地域学を学んだ後、在ケニア日本大使館において在外公館派遣員として勤務。そこで、ストリートチルドレンへのボランティアを経験したことから、困難な状況にある子どもたちへの支援がライフワークに。留学、タンザニアでの協力隊を経て、2003年2月よりワールド・ビジョン・ジャパンに勤務。リベリア、スーダン、南スーダン駐在を経て、2010年5月より東京事務所勤務。現在、緊急人道支援課長。関西に住む3人のかわいい甥っ子・姪っ子たちの成長が元気の源。
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