皆さんは、お腹の赤ちゃんの心音を聞いたことがありますか?
日本では最近は、産前健診では超音波健診(エコー)によって、赤ちゃんの姿を見たりしますが、ベトナムではまだまだエコーはすべての病院に普及しているわけではありません。
現在、外務省の日本NGO連携無償資金を受けて実施しています「ディエンビエン省における妊産婦・新生児の健康改善事業」では、対象地域の妊産婦と新生児の健康状態を改善することを目的としています。
実際の活動としては、保健施設の改修、医療機器の供与、保健スタッフへの医療研修、地域の女性や家族に対する啓蒙活動などを行っています。
先日、事業地であるディエンビエン省の4カ所の保健施設で、医療機器の供与が行われました。ディエンビエン省立病院、ムオンチャ郡病院、ムオンチャ郡サローンコミューン保健センター、トアンザオ郡病院、トアンザオ郡フィンサンコミューン保健センターへの医療機器を各保健施設に引き渡しました。
すでに省立病院、両郡病院にはエコーがありますが、私たちの事業が直接対象としてる山岳地域(コミューン)にあるコミューン保健センターでは、エコーはありませんでした。
自宅出産が主流であるこの地域で、危険を未然に防ぐためにも保健施設での健診・出産を勧めている私たちは、事業に協力してくださっている日本人助産師さんの助言を受けて、コミューン保健センターに胎児ドップラー心拍計を導入しました。
お腹の赤ちゃんの心音を聞けることが、保健センターに健診に来てくれるきっかけにならないかと考えました。
サローンコミューン保健センターには、丁度妊娠8カ月の保健スタッフがいました。供与したドップラー心拍計を早速試してみて、みんなでお腹の赤ちゃんの心音をはっきりと聞きました。
供与した資機材は、ベトナム保健省の基準リストに基づき、ディエンビエン省保健局や各保健施設スタッフとの協議の上、決定したものです。
国立であるこれらの保健施設では、本来でしたらベトナム国政府が必要な機材を準備するのですが、政府資金が不足しているため、特に行政の末端組織であるコミューン保健センターでは、産前健診を行うための器具も古いものを使用していたり、不足しているものが多くあります。
地域の妊婦さんが、家から一番近い保健施設にて、安全にお産が行えるように、必要な機材として、保温器、分娩台、体重計、薬品棚、そのほか専門的な医療機器を提供しました。
それぞれ病院長を始め、産婦人科・小児科のスタッフ、コミューン保健センターのスタッフは、新しい機器を非常に喜んでくれ、日本の支援者の皆さまにお礼を言ってほしいと言っていました。
新しい医療機器が用いられて、地域で安全なお産が行われ、一人でも多くの笑顔が見られることを願っています。
この記事を書いた人
- 大学院在学中にフィリピン留学をし、ストリートチルドレン保護のNGO活動に参加する。大学院修了後、他NGOにてタイ、ラオス事業を担当し地域開発に関わる。その後モンゴル駐在にてマンホールチルドレン保護事業、リベリア駐在にて帰還民支援事業などに従事する。2011年1月にワールド・ビジョン・ジャパンに入団し、支援事業部 緊急人道支援・グラント事業課 アジアチーム所属。2011年1月~2012年4月まで、ソロモン諸島に駐在。2012年11月から2016年6月まで、ベトナムに駐在。
このスタッフの最近の記事
- アジア2016年4月14日ベトナムの風景
- アジア2016年3月17日ベトナムで事業地を訪問するということ
- アジア2016年2月18日ベトナム:事業終了後の業務について
- アジア2016年1月28日ベトナム:事業終了時ワークショップ