先日、月曜から金曜まで一週間、ソロモン国教育省主催の全国識字政策会議に参加しました。会議の中では、幼稚園、小学校、中・高等、成人教育の中での識字の現状についての発表があり、その後はグループに分かれて話し合い、そして会議参加者の意見として識字政策案を作成します。
ソロモン諸島では、国の識字政策が未だに定まっていません。ソロモン諸島では100前後の(データによってかなりばらつきがあります)言語がそれぞれの地域で話されています。共通語としてピジン語が広く普及していますが、公用語は英語です。そのため、教育現場での教科書は英語で書かれていますし、病院、役所などで使用される書類等はすべて英語が使用されています。
今回の会議でも使用言語は、ほとんどがピジン語(今回は私が唯一の外国人でした)。でも発表のスライドやプリントはすべて英語で書かれていますし、政策案はもちろん英語で書いていきます。
日本語の読み書きだけで育った私には、同時に二つの言語を使用する構造が理解できず、非常に複雑な気がします。
ワールド・ビジョン・ジャパンが実施している識字教育では、村の人たちに実際に読み書きを教えるという草の根の活動が行われています。現在読み書きができない人たちに直接読み書きを教えて、彼らの生活向上の助けをすることは非常に大事なことです。
しかしワールド・ビジョン・ジャパンの支援活動だけでソロモン諸島全体の識字率を上げることは困難です。そのためにはソロモン人、ソロモン政府による活動を活発化させる必要がありますし、国としての制度、政策を確立してもらうことが重要です。
今回、この会議に出席してさまざまな立場でソロモン国の教育に関わっている人たちと話す機会がありました。NGO関係者は私を含めて数名でそれ以外は政府関係者でしたが、政府関係者のNGOの活動に対する期待をひしひしと感じました。
ソロモン人が中心となって、識字の問題を解決することができるように、NGOとして少しでも手助けができたらいいなと思います。草の根レベルの活動を進めると同時に、政府への働きかけもNGOとしての大きな役目だと、改めて思わされました。
この記事を書いた人
- 大学院在学中にフィリピン留学をし、ストリートチルドレン保護のNGO活動に参加する。大学院修了後、他NGOにてタイ、ラオス事業を担当し地域開発に関わる。その後モンゴル駐在にてマンホールチルドレン保護事業、リベリア駐在にて帰還民支援事業などに従事する。2011年1月にワールド・ビジョン・ジャパンに入団し、支援事業部 緊急人道支援・グラント事業課 アジアチーム所属。2011年1月~2012年4月まで、ソロモン諸島に駐在。2012年11月から2016年6月まで、ベトナムに駐在。
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