南スーダンの季節は2つ。乾季と雨季だ。もう乾季は過ぎたのだが、まとめとして乾季の過ごし方をご紹介したい。
地域によって異なるが、アッパーナイル州だと、大体1月から4月までが乾季、5月くらいから雨が降りだし、雨季は12月まで続く。乾季は当たり前のように暑い。さらに空気が乾燥している。
長いこと亜熱帯で暮らしてきた私には、気温が平均して44度近くまで上がり、カサカサに乾燥するこの地域では、生きるために必要な活動すべてが辛い。
熱い息を吸って、熱い息を体から放出していて、呼吸することが暑苦しい。食べるのも暑苦しい、動くことが暑苦しい。蚊が少ないのはいいのだが、これだけ暑くて乾燥していれば、外に出てこない蚊のほうが、よほど生きる知恵を心得ていると見える。
昼間はそれでも、仕事をしたり移動したりしているので、そこまで辛い、というのを感じないのだが、夜になると、じわじわと暑さが部屋にこもって、頼んでもいないのにサウナにいる気分が体感できる。ベッドのマットレスが、スポンジのようなもので出来ていて、肌を不必要にそっと包み込む感じで、これがまた非常に不快だ。
寝返りを打ち続け、途中で何度も起き、無理やり眠る。寝た気がしないため、寝不足気味になる。朝方に、一瞬涼しくなるのだが、太陽が昇るとまた、生きること全般が暑苦しくなる。とにかくこの期間は暑い、という単語しか出てこない。
夜眠ることができないのは仕事に支障が出るので、私と部屋をシェアしている同僚は、以前駐在されていた課長の教えてくださった「ウェットシーツ睡眠法」を実践していた。ベッドシーツを水に浸して、体に巻きつけて床で眠る方法である。最初は体にべたっとする感覚が気持ち悪いが、暑苦しいよりよほどましなのだ。ただしこの睡眠法、30分ほどたつと、なま渇きの雑巾のにおいを発するので、それまでに眠りにつくことが条件だ。
乾季の過ごし方の醍醐味は、カラカラなので、洗濯物がいつ洗っても30分後に乾いていること、当たり前だが「雨が降るかも」という心配をしなくていいこと、蚊が少ないこと、夕日や星がきれいに見えること。あと、家の中が暑いので、自然と一緒に暮らしている同僚たちと、よく外で夕涼みをしながら話をする機会が増えることだ。仕事がひと段落して、みんなで集まって、それぞれの国の話をしたりするのは、心休まる時間だし、意外な一面を知ることができて嬉しい。
今は、雨季に入り始めた。雨季は雨季で、また面白い生活を送っているので、次にご紹介できたらいいなと思う。
この記事を書いた人
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イギリス、マンチェスターメトロポリタン大学にて政治学部卒業。
大学在学中にWFP国連世界食糧計画にてインターン。
2010年9月より支援事業部 緊急人道支援課(旧 海外事業部 緊急人道支援課)ジュニア・プログラム・オフィサーとして勤務。2012年9月よりプログラム・オフィサーとして勤務。2016年7月退団。
趣味:読書、映画鑑賞、ダイビング
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