ワールド・ビジョン・ジャパンは、現在約5万人のチャイルド・スポンサーの方にご支援いただいています。しかし、この数字の背景に、もっとたくさんの方がいらっしゃることをご存知でしょうか。企業や教会、そして、教育機関で支援をしてくださっている方々がいらっしゃるのです。
私が担当をさせていただいている「グローバル教育」では、幼稚園・保育園・小学校・中学校・高校・大学・大学院と幅広い年齢層を対象に世界に目を向ける機会をお届けしています。今回は特にチャイルド・スポンサーシップの支援をしてくださっている教育機関の皆さまの取り組みをご紹介したいと思います。現在 33 の教育機関からチャイルド・スポンサーシップのご支援をいただいており(2024 年 4 月現在)、支援金の集め方などはそれぞれ異なります。さらに、「難民支援募金」や「能登半島地震緊急支援募金」など募金のご協力をしてくださっている教育機関は、教会学校や塾などを含めると 189 団体にのぼります。各教育機関の園児・児童・生徒数はそれぞれ異なりますが、本当に多くの方が教育機関を通して支援に参加してくださっていることを心から感謝しています。
2002 年からチャイルド・スポンサーシップの支援をしてくださっている三鷹小鳩幼稚園の園長先生に支援を始めてくださったきっかけや、どのようにチャイルド・スポンサーシップの支援金を集めてくださっているのかお話を伺いました。
支援を始めたきっかけ
松本:まずは、チャイルド・スポンサーシップの支援を始めてくださったきっかけを教えてください。
園長先生:きっかけはテレビ CM でした。「1 日あたり 150 円、ペットボトル 1 本分のご支援で子どもたちの未来が変わります」という内容で、とてもインパクトがありました。世界には、食料や水の不足、貧困や教育環境の問題、児童婚など、様々な問題があります。残念ながら、生まれてくる子どもたちの将来が約束されていない状態がたくさんあり、このままではいけないと思っています。どこの国の子どもであっても、子どもたちは大切な存在であり、健康に大きく育っていってほしいというのが私の願いです。困難な状況に生きる子どもたちのために、できることは少ないですが、少しでも何かやっていこうと思っています。
月に一度の「梅干しふりかけ弁当」の日
松本:三鷹小鳩幼稚園さまでは、どのようにチャイルド・スポンサーシップの支援金を集めてくださっているのですか。
園長先生: 三鷹小鳩幼稚園は創立 67 年を迎えておりますが、開園当時は大変経営も苦しい時でもありました。そんな時にたくさんの方々に支えていただき今日を迎えております。二代目園長及川美穂子はそのときの感謝の気持ちを大切に持ち続け、自分たちにも何か社会のお役に立つことはないかと考え、月に一度「梅干しふりかけ弁当」の日を設け、おかず代を日々の生活に苦しんでいる世界の子どもたちに献金することを保護者の方々に提案し、賛同を得て今日まで「難民献金の日」として継続しております。「チャイルド・スポンサーシップ」も前記の趣旨に倣って始めました。
松本:園児さんの成長にどのような意味があるでしょうか。
園長先生:子どもたちが困っている人へ手を差し伸べる気持ちを積み重ねていって、何十年後かに、どこかで何かにつながればいいなと思っています。幼児期は記憶に残らない時代だからこそ、身体で覚えていくような知恵の積み重ねをしています。知る機会、考える機会を繰り返して、この時期に目には見えない無形の財産を積み上げているのです。それを大切に、真剣にやらなければ、子どもたちがおとなになってつくる社会がよいものにはならないのではないかと思います。ワールド・ビジョン・ジャパンの方が幼稚園でお話をしてくださった日の午後に年中の子どもが園庭で外遊びをしていた時に砂場の泥水を見て「チャリちゃん(お話の中に出てきた子)は、こんな水をのんでいるんだね」とつぶやく姿があったと担任から報告がありました。子どもたちは話を聞いて理解し、人のことを思いやれる気持ちであふれていることを実感しました。
保護者:最初は心配だった
松本:続いて保護者の方にもお話を伺います。「梅干しふりかけ弁当の日」をどのように感じておられますか。
保護者:最初は子どもがお腹を空かせてしまうのではないか心配でした。でも、子どもが幼稚園で食べ物がなくて困っているお友達のお話を聞き、家に帰ってきて、そのことを話してくれるようになり、とても大切な取り組みだと思うようになりました。今は、お弁当を用意する時に、ご飯だけをお弁当箱に詰めて、このおかずの分を食料不足の子どもたちに届けてあげたいという気持ちで参加しています。そして、我が子がお腹を空かせているのに、あげられるものが何もないという状況は、同じ子を持つ親として、心に痛みを感じます。悲しさ、くやしさ、不安や絶望、言葉にできない思いがあるのではないかと想像します。「梅干しふりかけ弁当」は、そんな親御さんへの応援の気持ちも込めています。
松本:お子さんはどのような反応ですか。
保護者:支援のことは、まだ難しくて理解できていない部分もあるかもしれませんが、食べ物がなくて困っているお友達がいるということはわかっているようです。小さな年齢の頃から困っている人を助ける、自分の持っているものを分け合うという気持ちを持ってくれるといいなと思います。好き嫌いをせずに食べ物を大切にしようということも話しています。また、子どもが幼稚園でシリアとトルコで地震が起きた話を聞いた日に家で「しりあで、じしんがあって、いえがこわれたおともだちがいるんだって」と話してくれた時には驚きました。自分以外のお友達を大切にする気持ちを育むことにつながっていると思います。
園児さん:水は思っていたより大事
松本:園児の皆さん、「ケニアに住むチャリちゃん」のお話を聞いた感想を教えてください。
園児さん:
・タンクをもってみて、すごいおもかった
・水がないって、たいへんなんだな
・チャリちゃんがかわいそうだったけど、(貯水)タンクができて、うれしそうで、よかった
・きれいな水で、病気にならなくなって、よかった
・水は思っていたより大事だなと思った
園長先生、保護者の方、園児の皆さん、インタビューのご協力をありがとうございました。お話を伺い、教育機関としてチャイルド・スポンサーシップの支援をしてくださっている皆さまの想いを知ることができました。ひとつの教育機関に在籍される園児・児童・生徒の皆さま、先生方、そして保護者の方々、多くの方が世界の子どもたちへ思いを寄せてチャイルド・スポンサーシップに参加してくださっていることに改めて心から感謝いたします。園長先生のお話にあったように、子どもたちが知る機会、考える機会を積み重ねていけるよう「グローバル教育」の取り組みに励んでいきたいと思います。
マーケティング第1部 コミュニケーション課 グローバル教育担当
松本謡子
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この記事を書いた人
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世界の子どもたちの健やかな成長を支えるために、東京の事務所では、皆さまからのお問合せに対応するコンタクトセンター、総務、経理、マーケティング、広報など、様々な仕事を担当するスタッフが働いています。
NGOの仕事の裏側って?やりがいはどんなところにあるの?嬉しいことは?大変なことは?スタッフのつぶやきを通してお伝えしていきます。
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