はじめまして。昨年11月に入団した平井さつきです。
普段は主にアフガニスタンでの事業を担当していますが、今回は6月20日の世界難民の日にちなんで「難民」について書きたいと思います。
みなさんは「難民」と聞いてどんなことをイメージするでしょうか?
私がイメージしていたのは、アフリカの赤土の上にいくつものテントが並ぶ難民キャンプやそこで国連の食糧配布を待つ人々の長い列と一緒に並んでいる子どもたちの姿です。
でもこの仕事をするようになって、難民とは難民キャンプで暮らす人たちばかりではないということを知りました。
UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)によると、現在世界にいる難民の約3分の1が難民キャンプに暮らしていますが、その他の難民は都市や郊外の街などに暮らしているそうです。
そしてここ日本にも、様々な理由で日本に逃れてきた難民や難民認定を待っている人たちが住んでいます。
ワールド・ビジョン・ジャパンは南スーダンで難民支援、そしてヨルダンでシリア難民支援をしていますが、遠くシリアから日本に逃れてきた人たちがいます。
(特活)難民支援協会によると、2013年末までに53人のシリア難民が日本で難民申請をしたそうですが、難民認定を得られた人は一人もいませんでした。
彼らの多くは家族を残してきているので、「人道配慮による在留資格」が得られたとしても、難民認定が得られないと家族を呼び寄せることができません。そして言語の壁やそのほか様々な事情から多くの困難を抱えて生活しています。
また日本には、ナイジェリア、エチオピア、コンゴ民主共和国などシリアからだけではなく、世界約50カ国から難民が逃れてきています。
シリア難民と同じように、多くの方が日本で困難を経験しています。
日本政府はもっと難民を受け入れるべきでしょうか。それとも、日本だって国内の問題がたくさんあるのに難民を受け入れる余裕はないでしょうか。
私は「日本に住む日本人だって大変な思いをしている人が多いのに、そんな余裕はない」という感情は理解できます。でも個人的にはもっと日本政府に難民を受け入れてほしいと願っています。
なぜならば・・・
難民と呼ばれる人たちの約80%を発展途上国と呼ばれる国々が受け入れ、庇護しています。そして、東日本大震災など日本が大変な時に、私たちは先進国だけではなく途上国からも支援をいただきました。経済的、社会的にもたくさんの問題を抱えているとされている発展途上国の国々も当然のように、自国以外の人たちのために支援の手を差し伸べているのです。
「大変さ」は量ったり比べたりすることが難しいですし、問題の無い完璧な社会や国などないと思います。つまり「みんなそれぞれに大変だよね。でも困ったときはお互い様」という気持ちで、できる人(国)ができる範囲でお互いに支え合っていけたらいいと思います。そう考えると、日本にはもっとできることがあるのではないかなと思います。
私たち日本社会が、他人が抱えている困難を受け入れてあげられる、懐の深い社会でありたいと思っています。
この記事を書いた人
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大学卒業後、開発系NGOにてミャンマーとベトナムの開発支援事業に携わる。
2013年11月にワールド・ビジョン・ジャパンに入団。
緊急人道支援課 プログラム・オフィサーとしてアフガニスタン事業とWFP(世界食糧計画)の食糧支援事業を担当。
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