こんにちは。ボランティアコーディネーターの辻です。
ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)のボランティア活動は、団体設立から4年目の1991年、1人の大学生からの電話から始まりました。1人の行動力はやがて全国に広がり、現在は、日本・海外各地で約340人の皆さまがボランティアとしてWVJの活動を支えてくださっています。そのうちの約20%が10年以上、中には20年以上と、長期にわたりWVJと歩みをともにしてくださっている方が多いことも特徴の一つです。
バラエティに富んだ事務所ボランティア
東京の事務所では、1日約15人の方々が、主にWVJの活動の大きな柱であるチャイルド・スポンサーシップの手紙交流に関わる事務や翻訳、ご支援者にお届けする動画やデジタル素材の編集、WVJからのご案内の発送など、多種多様な業務を担ってくださっています。
毎週定期的に通われているリタイア世代や主婦の方、仕事のシフトを調整したり貴重な有給休暇を充ててくださる現役世代、授業がない日や合間に来てくださる大学生、春休みや夏休みの体験学習で来てくださる中高生など、年齢層も幅広くバックグラウンドも様々です。
また、黙々と集中して翻訳する方、パソコンでの作業が得意な方、手際の良さや几帳面さが活かされている方・・・それぞれの持ち味を発揮していただいています。長年継続いただいている場合、この方にお任せすれば安心だからと、専属でお願いしている作業もあります。
そんな多様な皆さまが集っているランチや休憩時間の話題は豊富です。世界・日本各地の旅先の珍しく美味しいお土産も集まります。
ご一緒させていただく中で思わされるのは、皆さま好奇心旺盛、新しいもの好き、ユーモアや遊び心をお持ちで、それこそが元気の秘訣なんだなということです。
経済的な支援は難しいけれど、時間と労力なら提供できるからと、ご自分でできる方法で何かしらの役に立ちたいという思いの方もいらっしゃいます。
それぞれの形で人生を豊かに歩まれている皆さまから、私も日々エネルギーをいただき、学ばせていただいています。
心をつなぐ翻訳ボランティア
手紙による交流は、世界各国のチャイルドとチャイルド・スポンサーの心をつなぎ、双方にとって大きな励みとなります。その架け橋としての大切な役割を担っているのが翻訳ボランティアです。
手紙翻訳のうち、チャイルドからチャイルド・スポンサーへの手紙の日本語訳は、主に200人以上の在宅翻訳ボランティアの皆さまがご協力くださっています。チャイルド・スポンサーの約70%の方が日本語訳を希望されており、昨年度は、年間約4万通にのぼるチャイルドからの手紙のうち、約2万7,500通を翻訳してチャイルド・スポンサーの皆さまにお届けしました。
また、チャイルド・スポンサーからチャイルドへの手紙の英語訳は、事務所ボランティアの皆さまが担われています。昨年度の翻訳数は約4,400通で、中には便せん数枚におよぶチャイルド・スポンサーの思いがぎっしり詰まったものもありますが、同封されているプレゼントの内容も含めて忠実に訳してくださっています。
翻訳にあたっては、単なる直訳ではなく、書き手(チャイルド/代筆者/チャイルド・スポンサー)の目線・立場に立った言葉遣いや表現に心を砕き、例えば、チャイルドの年齢によっても言葉遣いを変えてくださっています。英語力だけでなく、日本語の表現力、想像力なども駆使して一通の手紙を翻訳されています。このような翻訳の機微は、まだまだAIには追いつけないのではないでしょうか?(笑)
手紙を受け取られたチャイルド・スポンサーからは、「翻訳のおかげでチャイルドの様子が分かり、ニュースなどでもチャイルドの住む国について関心が向くようになり、世界が広がりました」といった感謝の声をいただいています。
思いは一つ
お一人おひとりのバックグラウンドやボランティア活動への関わり方は様々ですが、「世界の子どもたちのために」という思いは同じです。そのために自分の経験やスキル、労力が役に立つのなら、という温かいお気持ちが集まり、大きな力となっています。
聖書には、「あなたがたはキリストのからだであって、一人ひとりはその部分です」(コリント人への手紙第一12:27)という言葉があります。頭から足まで、それぞれの特性が活かされてはじめて一つのからだとなるように、私たちも一人ひとりに与えられている賜物(神様からの贈り物)が活かされることで全体の働きが成し遂げられます。WVJのボランティア活動は、そんな聖書の言葉が表れていると思います。
「当たり前」と思っていた日常のありがたさ
以上が、WVJのボランティア活動の日常風景です・・・が、今年、「当たり前」と思っていたこの日常風景を大きく揺るがす事態が起きました。言うまでもなく、新型コロナウイルス感染症の影響です。
2月末以来、残念ながら東京事務所でのボランティア活動は無期限で休止中。その結果、手紙交流に関わる業務が大幅に縮小され、在宅での翻訳も一時休止となりました。WVJ史上で初めてのことです。
現在は事務局体制の一部縮小が続き、これまでボランティアの皆さまに担っていただいた業務を、どうにかこうにか限られた人数のスタッフで分担して行っています。(とてもすべては分担しきれず、優先度の高い業務に絞り込んでいる状況です)
ボランティアの皆さまのお力のおかげで、日々、多くの業務が「当たり前」のように滞りなく進められていたこと、皆さまの存在の大きさ、お働きの大きさを改めて実感しています。
お休み中も、「生活のリズムになっていただけに、事務所に行けなくて寂しい」とおっしゃりながら、感染拡大が懸念される途上国の子どもたち、人々へのお心遣いや、スタッフへの労りや励ましの言葉をかけてくださる皆さまに、心より感謝いたします。
今後も、欠くことのできない大切なパートナーであるボランティアの皆さまとともに、心の通った支援を届けていきたいと願います。
支援者サポート課・ボランティア担当 辻 智子
※文中のボランティア人数や手紙通数は、2019年度の数字です。
※現在、ボランティアの募集を休止しています。募集を再開しましたらこちらのページでご案内します。
関連ブログ
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・「今、私にできること」~ボランティアスタッフの私に出来ること~
・英語力と日本語力を生かして、子どものために「何か」はきっとできる!
この記事を書いた人
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世界の子どもたちの健やかな成長を支えるために、東京の事務所では、皆さまからのお問合せに対応するコンタクトセンター、総務、経理、マーケティング、広報など、様々な仕事を担当するスタッフが働いています。
NGOの仕事の裏側って?やりがいはどんなところにあるの?嬉しいことは?大変なことは?スタッフのつぶやきを通してお伝えしていきます。
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