国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパンのスタッフブログ

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ナイル川を下って

少し前になるが、ジャパン・プラットフォームという機関から助成を受けて実施している南スーダンの教育、水衛生事業のモニタリングで現地を訪れたときのこと。現地のスタッフからこんな忠告を受けた。

「ナイル川はワニとカバが出るから気をつけて下さいね」

「カバのほうがワニより動きが早く獰猛なので、見つけたらすぐに離れてくださいね」

事業地で現地スタッフと(右側が筆者)

事業地で現地スタッフと(右側が筆者)

南スーダンのような治安が良くない国を訪れる時は、その国や訪れる地域の治安状況に関する説明を、専門のセキュリティ・オフィサーから受けることが義務付けられている。
私が訪れた事業地は、南スーダン北部のアッパーナイル州ファショダ郡。州都のマラカルから、モーターボートでナイル川を1時間半ほど下った場所にある。

陸路での移動も可能ではあるが、反政府勢力に襲われる危険があるので、移動には比較的安全な水路を使うことになっている。

反政府勢力による襲撃や、家畜の強奪などの事件が起こっていることは知っていたが、まさか、動物園でしか見たことがない、あのカバが敵に回るとは思わなかった。実際、カバに人が襲われ、死に至るケースも多いそうだ。

モーターボートでナイル川を下る

モーターボートでナイル川を下る

そして、いよいよ出発の日。モーターボートに乗り、快晴の空の下、ナイル川を下り始めた。

モーターボートはスピードが速く、これならカバに襲われる心配はないように思われた。どこまでも続く地平線、緑に覆われた川縁、青い空…絶景と通りぬける風の心地よさが、私を眠りの世界に誘う…

そのとき
「ブルン…プスンプスン……」

不吉な音とともに、ボートドライバーがボートを川縁に移動し始めた。どうやらエンジンの調子が悪いらしい。水上で、ボートドライバーが応急処置を行うことになった。

幸いボートは再び動き出したが、止まっている間、私はかなり挙動不審だったに違いない。そんな心配とは裏腹に、晴天のナイル川は太陽の光を受けてキラキラと光って実に美しかった。

結局、最後までカバに出会うことはなく、無事に事業地のモニタリングを終えることができた。

この記事を書いた人

村松良介
村松良介支援事業部 緊急人道支援課 プログラム・オフィサー
【経歴】
2010年、北海道大学法学部卒業。
2012年1月、英国のエセックス大学大学院(人権理論実践学)修了。在学中は札幌のNPO法人やガーナ、バングラデシュの人権関連NGOにてボランティア、インターンを経験。
2012年1月ワールド・ビジョン・ジャパン入団。支援事業部緊急人道支援課 プログラム・オフィサー。2014年8月より10カ月間、南スーダン難民支援事業担当駐在員としてエチオピア駐在。

【趣味】
音楽鑑賞、歌うこと、卓球

【好きな言葉】
ある舟は東に進み、またほかの舟は同じ風で西に進む。ゆくべき道を決めるのは疾風ではなく帆のかけ方である(『運命の風』E.W.ウィルコックス)
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