【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

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きのこクラブ

鍋がおいしい季節になってきました。
南国というイメージのベトナムでも、北部では12月には5度近くに下がります。支援状況の調査・調整のために現在訪れているベトナム北部のイエンバイ省でも、一昨日の朝晩はダウンジャケットを着てちょうど良いくらいの気温でした。

スターフルーツ入り鍋

スターフルーツ入り鍋

ベトナムでも、冬はやはり鍋を食べるそうです。日本でも、鍋には地域色が出るようですが、バンエンのチャイルド・スポンサーシップの支援プログラム(以下ADP)のスタッフとオフィス近くの庶民食堂で食べた鍋には、鳥ガラ(?)ベースのスープに、鳥肉のつくね、春菊、きのこ、スターフルーツ、香草、にんじん、じゃがいも、ウズラの卵、トマト、パイナップル、豆腐が入っていました。
具が少なくなると、牛肉、エビ、ラーメンなどを鍋にどんどん投入していきます。最後には、もはや何鍋だったのか分からない状態になりますが、それでもおいしいのが不思議です。
タレには、ヌックマム(魚醤)やライムジュースを使ったものがありましたが、なんといっても驚いたのが、「ワサビと生赤唐辛子のスライス」という「辛さ業界2トップ」のコラボダレでした。豆腐に少しつけて食べたところ、ワサビのツーンと鼻の奥にくる刺激と、唐辛子のじわ~っと舌にくる辛さが時間差で私の口を訪れました。どんな味なのか知りたい方は、ぜひ一度試してみることをお勧めします。

順調に育ってきたきのこ

順調に育ってきたきのこ

さて、これからが本題なのですが、「鍋」といえば、きのこ、ではないでしょうか?(ちょっと強引?!)
チャンエンADPでは、生計向上プロジェクトの一環として、地域の中でも特に貧しい村落住民を対象に「きのこ栽培」のための研修と栽培を始めるための小屋や殺菌窯などの設置支援を行いました。
支援状況の調査・調整のために訪れた「きのこ栽培グループ=きのこクラブ」では、20人1組で、きのこの栽培を行っています。集会所に集まったきのこクラブメンバーの住民たちは、「きのこ栽培は、力を使わなくてもよいので、女性や力仕事が難しい男性にとっても、負担の少ない農作業です。遠くの畑まで通わなくても良いし、農閑期の収入源にもなるし、時間をかけなくても済むので、家で家族と一緒に過ごす時間が増えました。」と、話してくれました。

きのこクラブメンバーが、きのこに水をやっている様子

きのこクラブメンバーが、きのこに水をやっている様子

さらに「前は、米やメイズ(トウモロコシの一種)栽培や工場での短期間労働など、家庭ごとにバラバラに働いていましたが、きのこ栽培をするようになって、初めてグループで協力してお互いを助け合うようになりました。研修や実際の栽培を通して一緒に学んでいく良い機会になっています」という、うれしい発言もありました。

このグループでは、1日5回の水やりを交代で行い、きのこが生育するのにちょうどいい環境を管理しています。また定期的に集会を開き、栽培方法などを話し合っています。きのこが収穫できると加工を行い、卸業者に売り、利益を投資分と収入分に分けます。
きのこ栽培が今後さらに村落の小規模ビジネスとして成り立つように、ADPでは村落開発普及員を対象にマーケティングや簿記の研修を行い、彼らにグループ活動の定期的な調査・調整や指導を行ってもらっています。

クラブメンバーのお母さんの赤ちゃん。大きくなったら、お母さんたちが作ったきのこをたくさん食べられるといいね。

クラブメンバーのお母さんの赤ちゃん。大きくなったら、お母さんたちが作ったきのこをたくさん食べられるといいね。

「市場のきのこは高いし、たくさん農薬も入っているので、今まできのこを子どもに食べさせたことはありませんでした。でも、研修で農薬を使わなくてもきのこを育てられることを学んだので、子どもにも安心して自分たちが作ったきのこを食べさせられるようになりました。もちろん、私たちも食べますよ。やっぱり食べ物は、作った人が先に味見しなきゃね。」
収穫を心待ちにする、きのこクラブメンバーたちは、笑いながらそう話していました。

このような村落では、残念ながら、先に紹介したような鍋は、高価だったり、遠隔地のため食材が手に入らないので、なかなか食べることはできません。きのこ栽培により、安定した収入を確保することによって、きのこクラブメンバーの家庭の食卓が少しでも豊かになることを願ってやみません。
チャンエンADPではこれからも、引き続きこのような活動を行い、地域の持続的な開発を目指します。

「“何もかも”はできなくても“何か”はきっとできる」
クリスマスまでにあと約1600人の子どもたちが、チャイルド・スポンサーを待っています

この記事を書いた人

木戸梨紗
木戸梨紗エチオピア駐在 プログラム・オフィサー
上智大学比較文化学部卒業(専攻:社会学・文化人類学)。ロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院でMSc. Reproductive & Sexual Health Research修士を取得。
2010年1月 ワールド・ビジョン・ジャパン支援事業部開発事業課(旧 海外事業部開発援助事業課)、ジュニア・プログラム・オフィサーとして勤務。2012年1月より、プログラム・オフィサー。2012年12月より2016年3月までベトナム駐在。2016年4月からエチオピア駐在。
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