【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

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中東の国を訪れて -子どもの力-

首都アンマンの旧市街

首都アンマンの旧市街

先日、ヨルダンを訪問しました。

首都アンマンは旧約聖書に登場するアンモン人の国があったそうですし、旧市街の丘の上にローマ時代の遺跡も残る、歴史ある美しい街です。

ヨルダンは、テロの発生はありますが、それよりは交通事故が心配だと言われるくらい、治安面では安全な国だと言われています。

このヨルダンには、シリアからの難民が60万人以上いると言われています。その中には難民キャンプで生活している人の他に、町のアパートに住んでいる方が大勢います。

首都アンマンから車で2時間弱かけて、イルビドに。ザルカーという地域でも支援活動を行っている

首都アンマンから車で2時間弱かけて、イルビドに。ザルカーという地域でも支援活動を行っている

そこに住む子どもたちのための教育支援活動を、日本人駐在員が中心となってワールド・ビジョン・ジャパンが行っています。

シリアとの国境に近い、イルビドという町の学校と、シリアからの難民のご家庭を訪問しました。

ヨルダンとシリアは同じアラビア語を話しますので、コミュニケーションをとることは、それほど難しいことではないようです。

アビアさんとその子どもたち

アビアさんとその子どもたち

義理のお母さんと6人の子どもたちと暮らすアビアさんご一家。ご主人はシリアに残っているそうですが、シリアから逃れてきてもう4年が経とうとしているそうです。国際機関の支援で何とか生活はできているものの、とても厳しいそうです。

私が驚いたのは、「このような状況をどう思うのですか?」 と質問した時に、
「やはり平和なシリアの生活に戻りたい。でも、今ここに生かされていることがアラーのおぼしめしなので、ここで精いっぱい生きていきます」という答えです。

補修学校が開かれている学校。アビアさんの子どもも補修学校に通っている

補習授業が開かれている学校。アビアさんの子どもも補習授業に出ている

私は、半分あきらめの言葉なのか、と思いましたが、お話しする中で、決してあきらめではないのだ、と感じました。

多分、当初は、恨み辛みの気持ちや、失望、明日をも知れぬ不安があったのでしょう。でも今は、生きることに積極的に向き合っている様に感じました。子どもたちを育て、義母の面倒も見る母としての強さ、したたかさを布で隠れて少ししか見えない顔の表情から見た思いでした。子どもたちの存在が生きる力、支えの一つになっているのでしょう。

子どもたちも元気な様子です。子どもには力がある、人を生かす力があるのではないでしょうか。世界どこででも子どもたちの笑顔には癒されます。厳しい難民としての生活の中に見た、子どもたちと女性の強い生きざまでした。

アンマンの旧市街をバックに佇む筆者

アンマンの旧市街をバックに佇む筆者

 

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この記事を書いた人

片山信彦 理事長ワールド・ビジョン・ジャパン理事長
大学卒業後、三井住友海上火災保険株式会社(旧大正海上火災)入社。1982年同社を退職し、キリスト者学生会(KGK)の関東地区主事となる。海外との文化交流事業、日本人学生の海外派遣事業、在日留学生の支援事業等も行う。フィリピンにおける2カ月間の研修および中国、タイ、インド、インドネシア等の視察を行う。
1992年同会を退会し、特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン入団、2000年から2017年まで事務局長。2017年4月から常務執行役員、常務理事などを歴任。2023年10月より現職。
その他の役職: 社会福祉法人キングス・ガーデン東京 理事長
公益財団法人国際開発救援財団 理事
福音主義医療関係者協議会 顧問
1999年イギリス マンチェスター大学大学院IDPMにて「社会開発」と「NGOマネージメント」を学ぶ。
2020年 立教大学大学院キリスト教学研究科修了(神学修士)
共著:「連続講義 国際協力NGO」(日本評論社)、「国際NGO が世界を変える」(東信堂)
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