Withコロナ、Afterコロナの働き方はどうなっていくのだろうか。
これを考えるためのチームが立ち上がったのが2020年の8月の終わりです。「働き方検討タスクフォース(働き方TF)」はクロスセクションのチームで、各部署からスタッフが集まってくれました。
働き方TFでは、非常に多岐にわたることを話し合いました。制度のこと、インフラのこと、また私たち自身のマインドセットやワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)の風土について。スタッフの声を聴き、また他社事例も研究しつつ、リモートで話し合いを重ねました。
目の前の課題はたくさんありましたが、少し遠回りをして、いちばん最初に話し合った「スタッフとして/組織としてどんな姿でありたいか」を話し合えたことは最も心に残っています。
「ワールド・ビジョンらしく、基本理念を大事にしながら、一致してより良いものを生み出したい」「国際NGOらしく、現地に必要な支援を届けることにこだわりたい。オープンで透明性ある組織でありたい」「スタッフが働きがいを感じながら、よいパフォーマンスを出せることも大事にしたい」…それぞれの現場で働くスタッフの願いや思いがたくさん、たくさん、出てきました。
それをまとめて言語化していく作業は、とても楽しいものでした。
「自律&責任」「ダイバーシティ&インクルージョン」「オープネス&参画」。これが「新しい働き方」のコンセプトになりました。
いろいろな働き方があってよい
新型コロナウイルス感染拡大期の経験を経て、スタッフ全員がテレワークの難しさと、その良さを経験できたことは、団体にとってひとつの財産だと思います。
テレワークなんて…と思ってたけど、案外できた、という体験は自信にもなりました。Afterコロナを見据え、テレワークとオフィス勤務をどう両立させるかは喫緊の課題でした。その中で、制度自体はさらに大きく進展し、今はかなりフレキシビリティ高く、多様な働き方に対応できる制度になっています。
新しい時代、自分自身の働き方を選び、上手にマネジメントする必要があることをスタッフ自身がすでに感じており、制度はそれをサポートできるものになったと考えています。
テレワーク制度は回数を一律に決めるのではなく、個人とチームとのパフォーマンスを最大化できるバランスをよく考えて決める、ということにしました。また、このコロナ禍がもう少し落ち着いたのちに、チームビルディングのために一斉出勤する日を設定していく予定です (2021年10月現在はまだ、感染拡大予防のため、出勤人数を最大3割に制限し、順番にオフィス出勤にあたっています)。
フレックスタイム制も段階的にコアタイムを柔軟にし、ワークライフバランスのとりやすい制度にしています。育児、介護、自分の勉強、いろいろな事情を抱えていたとしても、自分がいちばん力を発揮できる働き方を自分で選べるように、団体内外の方と上手に協働できるように、という思いがあります。
また、細かな運用ルール等は、普段の部署や役割を超えてより多くのスタッフに関わってもらって整備を進めています。「自分たちの制度」にして、スタッフ自身がこれから改善していけることも、重要だと考えています。
「働く場」も新しく!
そして、テレワークを組み合わせていく中で、テレワークでもできる仕事(テレワークの方がはかどる仕事)と、オフィスで顔を合わせてやりたい仕事がはっきりしてきたことも、よいことのひとつでした。
これを踏まえ、WVJはオフィスのレイアウト変更に着手しました。オフィススペースを以前の3分の2に減らして固定費の削減を行うと同時に、これまでの課題を解決できるオフィス、新しい働き方に合ったオフィスに変えること、それが2021年の新しいチャレンジでした。信頼できるパートナー会社さんが見つかり、私たちが実現したいことと、限られた資金とのバランスを取りながら、一緒に計画を練っていきました。
スペースが減るということは荷物もスリムにしなければいけません。今の場所に移ってきて9年、モノの整理・分類・お片付けはスタッフ全員で。密を避けるために、部署ごとに時期をずらしながら、お片付けを実施しました。
8月は毎週末、少しずつエリアを分けて工事を行いました。たくさんの職人さんが入って、みなさん丁寧に誠実に作業をしてくださり、新しいオフィスも大切に使わなくては、という気持ちがより一層強くなりました。また、これまで広いスペースが与えられていたことへの感謝も改めて強く感じました。
こうして夏の終わりにできあがったオフィスは様々な工夫がなされています。
オフィスでせっかく会うのなら、一緒に何かを生み出せるオフィスがよい。協働やコラボ、チームワークUP、をキーワードに、部署を取り払ったフリーアドレスに変更することにしました。
広い会議室をたくさん持つことはできないけれど、オープンスペースでも打ち合わせができるようにしました。また、その日の業務に合わせた場所に座れるように、エリアごとに家具を変えています。
こうしたオープンエリアとは別に、ご支援者様の情報や、チャイルドの情報など、機密性の高い情報を取り扱うエリアを特定し、情報をきちんと守れるような区分けをしています。またコールセンターで受けるお電話にスタッフの作業音等が入らないように、音にも配慮しています。
さらに、オフィスのメインドアを引き戸にする等のバリアフリー対応も行いました。多くのご支援を寄せていただくWVJとして、果たしていくべき大切な責任だと思っています。
スタッフ一人ひとりも、新しい私たちに
2022年度、WVJは「新5か年計画」をスタートさせました。
すべての子どもたちが豊かないのちを得られるようにするには、どうしたらよいか。スタッフ一人ひとりがこれまでの自分の範囲を広げていく必要がある、そのような共通認識にたっています。
働き方も同じです。これまでは毎日オフィスに行って、同じ席に座り、決められた時間働くのが当たり前だと思っていた。新型コロナウイルスの感染拡大を機に、私たちから見える景色は大きく変わりました。オフィスはその一つのアイコンと言えます。
働き方TFから団体に提案した「新しい働き方」のコンセプトは、「自律&責任」「ダイバーシティ&インクルージョン」「オープネス&参画」。これからこのコンセプトをスタッフとともに体現していくことになります。
オフィスでの勤務でも、自宅からのテレワークでも、場所によることなく、一人ひとりがきちんと成果を出し、組織として質の高い支援を行っていけるように。私もその一員として、ひたむきに、でも、楽しむ心も忘れずに、挑戦を続けていきたいと思います。
サポートサービス部 人事・総務課
中嶋 早苗
中嶋スタッフの過去のブログ
・やってみた「働き方改革」。そのワールド・ビジョンらしさとは?(前編)
・支えるひとを、支える仕事。
関連ブログ
・地図から放り出された、その先に
・コロナ禍で迎えた新生活
この記事を書いた人
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世界の子どもたちの健やかな成長を支えるために、東京の事務所では、皆さまからのお問合せに対応するコンタクトセンター、総務、経理、マーケティング、広報など、様々な仕事を担当するスタッフが働いています。
NGOの仕事の裏側って?やりがいはどんなところにあるの?嬉しいことは?大変なことは?スタッフのつぶやきを通してお伝えしていきます。
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