3.恐ろしい痒みと腫れとの戦い!
南京虫の事件はあったが、ルワンダでの調査は順調で収穫の大きいものであった。幸い刺された虫の正体も判り、その後の自覚症状も蚊に刺された程度のものであったので懸念することもなかった。そして、次の目的地のケニアに向った。ケニアは、日本の高原のような気候のルワンダに比べるとずっと気温が高かった。そのせいなのかどうなのか、南京虫に刺された箇所の痒みが時を追うごとに激しくなっていった。
通常蚊に刺されれば、刺された後に一時の痒みと腫れはあるが、後は時間が経つにつれて引いて行く。この南京虫の症状も同じパターンと思って安心していたが、蚊とは逆に日が経つにつれて徐々に痒みと腫れは増して行った。ケニアに着いた時はすでに刺されは夜から5日程経っていたが、刺された箇所は激しい痒みと共に、卓球ボールぐらいの大きさに赤くこんもりと膨れ上るほどになってしまっていた。
また、刺された箇所も当初5~6箇所と思っていたが、どうも左首筋から左上腕部そして背中に渡って10箇所以上あるようで、腫れと腫れがくっ付いてこぶのような状態になってしまった所もあり、上半身全体が熱を帯びてきてしまった。たまらずプロジェクトに同行してくれたケニアのスタッフに事情を説明し、刺された箇所を見せた。ケニアのスタッフも南京虫など話で聞いた程度で実際に見たことも刺されたこともなかったので、私の上半身の刺された部分を見てその酷さにびっくりし、早速電話で知り合いの医者に連絡を取ってくれた。医者は、痒み止めを塗り、傷口感染を避けるため抗生物質の服用を勧めた。スタッフはさっそく近くの薬局に行き、痒み止め軟膏と抗生物質を私のために購入してくれた。その薬を服用してから徐々に痒みと腫れは引いて行き、5日後日本に帰国した時は、痒さも腫れも半減していた。
アフリカでも殆ど表舞台に登場することの無くなった南京虫に刺されたことは貴重と言えば貴重な体験であったが、それが世界的に有名な○○テルで起きたことには,依然大きな怒り覚えるのである。
さて最後にアフリカに行かれる方々のご参考までに、南京虫に刺されるとどのような症状になるのか、一番腫れのひどかったケニアのホテルで、鏡を利用し苦心して撮った患部の写真を恥を忍んで公開することにする。刺された箇所はすっかり完治し、何の跡も残っていない。 しかし今でもこの写真を見ると、首筋から背中あたりが疼いてくるのである。
この記事を書いた人
- 大学卒業後オーストラリア留学などを経て、青年海外協力隊に参加モロッコに2年間滞在。1989年にワールド・ビジョン・ジャパン入団。タイ駐在などを経て、1997年より支援事業部部長(旧 海外事業部)。現在までに訪れた国数約85カ国。4人の子どもの父親でもある。2014年3月退団。
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