【スタッフ・ブログ】国際NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

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TVディレクターが決心した「僕の使命」

ワールド・ビジョン・ジャパンは、厳しい貧困に生きる子どもたちのことを日本の皆さまに知っていただくため、ドキュメンタリー番組「世界の子どもの未来のために」を制作しています。自身も二児の父であるディレクター亀山さんが、カンボジアの子どもたちとの出会いを通して感じた思いをブログにしてくださいました。

ワールド・ビジョン・ジャパン制作テレビ番組「世界の⼦どもの未来のために」
番組ディレクター 亀山典敏

ディレクターの仕事

世界には色々なケースで貧困に苦しむ子供たちがいます。住んでいる地域に水がなく毎日何時間もかけて水汲みに行く子どもたち。お金がなくて大人と同じように働く子どもたち。両親がいなくても何とか生きぬく子どもたち。

国や状況は違えど、貧困に苦しむ子どもたちが世界中にたくさんいることを、この番組を通して知ってもらい、一人でも多くの方に支援の手を差し伸べてもらうこと、それがこの番組の役割です。そして、そんな子どもたちのことを、日本の皆さんに分かりやすく伝えるのがディレクターの仕事だと思っています。

線路脇のスラムで撮影中の亀山ディレクターとカメラマン(カンボジア)

線路脇のスラムで撮影中の亀山ディレクターとカメラマン(カンボジア)

 

3年前にも、この番組の取材でカンボジアを訪れました。その頃に比べ、首都プノンペンは近代化が進み、インフラが整備され、高層ビルも建っていました。日本でよく見かけるお店も増えていました。ですが、取材した子どもたちが住むスラムの様子はその頃と変わりがなく、まるで時代に取り残されている感覚さえ覚えました。

レアちゃんの取材中、感じた“違和感”

線路沿いのスラムでレアちゃんという9歳の女の子に出会いました。重たいリアカーを押して、しじみを売りに行くのが彼女の仕事です。僕もリアカーを押してみましたが、大人でも重いと感じました。空腹でも文句1つ言わずに仕事をする彼女はとても健気でした。

仕事場へは柵のない線路沿いや交通量の多い大通り通るのですが、危険な撮影に慣れたカメラマンさえ歩くのを躊躇するような場所。いつ電車や車に轢かれてもおかしくない道です。

車通りが多い道をリアカーを押して仕事場に向かうレアちゃん

車通りが多い道を、リアカーを押して仕事場に向かうレアちゃん

レアちゃんの取材中、ずっとある違和感がありました。
朝から夕方まで一日中一緒にいたにもかかわらず、レアちゃんはずっと笑いませんでした。初めは緊張のせいかと思っていたのですが、ここまで笑わない子は初めてだったので、少し戸惑いました。他の子どもたちは、はじめて会う日本人や、カメラに緊張していても、数時間一緒に過ごすうちに慣れ、笑顔を見せたり、撮影の合間に遊んだり、時には僕たちの帰り際に「帰らないで」と言われたりします。

でも、レアちゃんは言葉を発することも少なく、笑顔もありませんでした。

さらに驚いたことに、レアちゃんが仕事をはじめたのがわずか3歳ということ。
僕自身は二児の父親で、今4歳と2歳の子どもがいます。3歳と言えば、うちの子はオムツすら取れていない時期でした。一人で着替えることも難しいし、話せても言葉はうまく出てこないし、やれることは多くありません。そんな小さな時から働いていると聞いて驚き、そして悲しくなりました。
ましてや、子どもが笑わないことなどないです。自分の子どもに置き換えてみてそう思いました。

だからこそ、絶対に伝えなくてはいけない

笑わないとはどういうことか。環境なのか仕事なのか、ここへ来て色々と考えさせられました。レアちゃんが歩んできた人生全てを知ることはできませんが、やっぱり子どもが笑わないなんてことは絶対に良くないことだと感じました。だからこそ、番組を通してそこだけは、絶対伝えなくてはいけないと思いました。貧困はごはんが食べられない、学校に行けない。でもそれだけじゃない。子どもらしくいるべき“子ども時代”を奪ってしまうものなんだということを。

結局、この日レアちゃんの笑顔は見られませんでした。

撮影中レアちゃんの笑顔は見られませんでした

撮影中レアちゃんの笑顔は見られませんでした

今回のカンボジアの取材でたくさんの貧困に苦しむ子どもたちを見てきました。皆、とても素直でかわいくて、そして将来の夢を持っていました。ディレクターとして自分に出来ることは少ないですけれども、精一杯の気持ちを込めて番組を制作しました。この番組を通して、少しでも多くの子どもたちに明るい未来を見せることが出来たらと思っています。そして、レアちゃんのような子どもたちが笑顔を取り戻すきっかけになればと願っています。

クリスマスまでに、あと3000人の子どもを救いたい。

WVJは厳しい環境に生きる子どもたちに支援を届けるため、11月1日(金)~12月27日(金)まで、3000人のチャイルド・スポンサーを募集しています。あなたも、チャイルド・スポンサーになって、レアちゃんのような子どもたちを支える1人になっていただけませんか?

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この記事を書いた人

WVJ事務局
世界の子どもたちの健やかな成長を支えるために、東京の事務所では、皆さまからのお問合せに対応するコンタクトセンター、総務、経理、マーケティング、広報など、様々な仕事を担当するスタッフが働いています。
NGOの仕事の裏側って?やりがいはどんなところにあるの?嬉しいことは?大変なことは?スタッフのつぶやきを通してお伝えしていきます。
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