こんにちは、ワールド・ビジョンスタッフの山下泉美です。
桜の季節を迎えると、新入学や、新学期スタートの時期ですね。
お子様をお持ちのご家庭は準備に忙しい日々を送っていらっしゃる頃でしょう。
私は、日本のみなさんに途上国の子どもたちのことを知ってもらうためのテレビ番組「世界の子どもの未来のために」の制作を担当しているのですが、そこには学校に通うことを夢見ながらも、
「貧しくて制服や学用品が買えない」
「家計を支えるために働かなくてはいけない」
などの理由で、「学校に行く」という夢すらもかなえられない子どもたちが大勢います。
学校に通うことができず茶畑で働く7歳の女の子 アニエスちゃん
東アフリカの国、ルワンダで出会った少女アニエスちゃん(7歳)は丘の上の家で、お母さんと5人のお兄さんたちと暮らしています。
お父さんは、アニエスちゃんが生まれてすぐ病気で亡くなりました。
アニエスちゃんは、お母さんや兄弟と一緒に茶畑で働いています。
お父さんが亡くなって、お兄さんたちは学校を辞めて仕事をすることになりました。
アニエスちゃんも1年生になる年齢ですが、まだ学校に行ったことはありません。
栄養が足りていないことは、アニエスちゃんの痩せて細い手足を見てすぐわかりました。
近所の人のおさがりの服がアニエスちゃんの体には大きすぎてぶかぶかで、それが彼女の体の小ささを際立たせていました。
「夢はなんですか?」に絶句したアニエスちゃんの答え
「夢はなんですか?」
取材で出会った子どもたちに必ずする質問を、アニエスちゃんにもしてみました。
いつもなら、貧困で厳しい環境にいながらも、子どもたちの将来を夢見る力、可能性を秘めた姿を目の当たりにできる瞬間。
でも、アニエスちゃんは黙ったまま。
そして、少し待つと、消えそうな声でこう言いました。
「food(食べ物)」
通訳をしていた現地スタッフはその答えを聞いて涙ぐみました。答えの意味がつかめず、私が不思議そうな顔をしていたので、スタッフがアニエスちゃんの思いを訳してくれました。
「この子はおなかがすいていて、“何か食べたい”と言っている。それが “夢”だと言っている」
想像していなかった答えに絶句しました。
そして、とりあえず持っていたビスケットや飲み物を渡し、食べてもらいました。
落ち着いたところでもう一度聞いてみました。
「夢はなんですか?」
すると、アニエスちゃんはようやく力強い声で答えてくれました。
「学校に行きたい」
食べてなくなるビスケットより、未来につながる教育を
ビスケット一箱をすごいスピードで食べきったアニエスちゃんと兄弟たちを見て、「もっとたくさんの食べ物を渡せたらよかった」と思う自分がいました。
でも、どれだけ食べ物を渡しても、それは食べたらなくなってしまいます。だからこそ、「自分たちで生きる力」をつけてもらうことが大切なんだ、と実感する時でもありました。
子どもたちの家族や、地域の人々に「自分たちで生きる力」をつけてもらうための支援、それがワールド・ビジョンのチャイルド・スポンサーシップです。
一時的にお金やモノを渡すのではなく、子どもたちの成長を見守ながら、十分な食事や安全な水を確保し、学ぶ環境を整え、家族が、それを支える経済力を持てるようにするためのプログラムです。
アニエスちゃんのような子どもたちが学校に通い、未来を育む力をつけるために。
新学期を迎えるこの時期、あなたもチャイルド・スポンサーシップの支援を始めてみませんか?
マーケティング1部
新規ファンドレイジング課
山下泉美
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【関連ページ】
【山下スタッフの過去のブログ】
・ゴミを拾って生活の糧を得る、ミャンマーのスラムで出会った少女
・バングラデシュ スラムの少女 怖いと感じたら生きていけない
・フィリピン、語学留学とスターバックスのすぐ隣にある、スラム
この記事を書いた人
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世界の子どもたちの健やかな成長を支えるために、東京の事務所では、皆さまからのお問合せに対応するコンタクトセンター、総務、経理、マーケティング、広報など、様々な仕事を担当するスタッフが働いています。
NGOの仕事の裏側って?やりがいはどんなところにあるの?嬉しいことは?大変なことは?スタッフのつぶやきを通してお伝えしていきます。
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